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「カーサ・ガラリーナ」にお引っ越ししました


by galarina
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プラダを着た悪魔

「働きマンとして物申す」
プラダを着た悪魔_c0076382_18203594.jpg

ファッション好きと致しましては、数々の素敵なお洋服&アクセサリーに目を奪われ、楽しめたことに間違いはないが、一働きマンとしては、ツッコミどころ満載。彼を取るか、仕事を取るかで悩むと言うわかりやすい構図にしているのは、多くの女性の共感を呼ぶためだろう。しかしながら、アンディは元々ジャーナリスト志望。あーた、ジャーナリストなんかになったら、それこそ24時間仕事でっせ。ボクのお誕生日を一緒に祝ってくれない…なんてチンケなボーイフレンドで、ジャーナリストの仕事が務まると思う!?

確かにアンディはミランダの要求をこなしてのし上がるけど、精神的には甘ちゃん。洋服選びは同僚任せだし、壊れかけた恋人との仲を修復しようと努力しない。もし、彼女が自分の仕事にプライドを持ち始めたのなら、彼を説得するはず。つまり、彼女のファッションセンスはぐんぐん上がっていくけど、ひとりの働く人間としての精神的な成長を描いていない。パリの夜では男の誘いを頬を引っぱたいて断るような変貌ぶりを見せてくれれば良かった。

「仕事ばっかりだったあの時の私、ごめんね」なんて元彼に言うのもおかしい。その時、その時にプライドを持って働いていたのなら、こんな言い訳には絶対ならない。しかも、その舌の根がかわかぬ内に、仕事一色になるであろう新聞社に面接に行く。どうもね、一貫性がないんですよ、この物語は。このラストなら、「じゃあ、最初っから新聞社を片っ端から面接してれば良かったじゃん!」と突っ込みたくなる。

話の大枠としては、いろいろ寄り道したけど、最終的には本当に自分がやりたいこと(=ジャーナリスト)に向かって歩き出すというものにしたいのよね。でも、その寄り道で彼女が得た物ってナニ?ファッションをあんなに馬鹿にしていたけど、どんどんオシャレになることで変わったことってあるでしょう?それはナニ?なんだかね、ランウェイでの私をリセットしてしまうようなエンディングに見えるの。「ここは私がいる場所じゃない」それを悟るだけの職場だったの?それって何だか寂しすぎる。

なんでこんなに辛口かって言うと、実はファッションそのものも、ファッション業界の描き方も、すごく楽しめたから。何よりメリル・ストリープの演技がすばらしくて。とどめのひと言「That’s all」がツボにはまりまくり。離婚をほのめかすシーンのすっぴんのメリルの演技もさすがです。というわけで、ランウェイという職場でアンディが得たものは何だったのか、そこをしっかり描けていれば文句なく五つ星。
by galarina | 2007-09-19 23:37 | 映画(は行)