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「カーサ・ガラリーナ」にお引っ越ししました


by galarina
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ハチミツとクローバー

2006年/日本 監督/高田雅博

「舞台あらし、蒼井優」

ハチミツとクローバー_c0076382_23323588.jpg
蒼井優、恐るべしですねえ。「はぐ」としての雰囲気はもちろんですが、あのしゃべり方には度肝を抜かれました。あれは監督による演出なのか、それとも自ら編み出したものなのか。本作の蒼井優を見て、私は「ガラスの仮面」の「舞台あらし」というエピソードを思い出しました。端役でありながらも観客がみんな北島マヤを見てしまうため、座長に「あんたはもう来なくていい」と言われてしまう。「アンタは舞台あらしだよ!」と言わしめてしまう北島マヤの天性。蒼井優も天性の女優ですね。

彼女はまさに「はぐ」としてそこに存在している。個性派と言われる加瀬亮でさえ、本作においては別の俳優がやっても同じじゃなかったのか、と思わせるほど際だっている。つまり他の俳優を「食ってしまう」んです。ですから、本作のような群像劇の場合、ひとりだけ存在感が際だっていることは本来あってはならない。しかし、彼女の放つ魅力はそんな屁理屈をねじ伏せてしまうほど圧倒的。あの儚げな外見に一体どれほどの表現力が潜んでいるのかと本当に驚かされる。

さて、そんな蒼井優に並んで伊勢谷友介が今まで見てきたどの作品よりも光った演技を見せる。そりゃ、東京芸術大学美術学部大学院卒業で、アーティストとしても活動しているだもん。言っちゃあ、そのままの自分ってこと。意地悪く言えば演技じゃないってことだけど、「はぐ」がまさに「はぐ」として存在しているわけで、そのままのアーティスト伊勢谷友介が隣にいてもちっとも違和感ないわけ。まあ、イイ男ぶりがグンと上がりましたね、伊勢谷クン。

上っ面で歯が浮くような物語なんて聞いていたのですけど、いえいえ、なかなか芸大生の悲喜こもごもが丁寧に描写されていて、原作を読んでいなくとも楽しめました。まあ、蒼井優の演技に引っ張られた部分が大きいのですが。

最後に。エンディングがスピッツに続けて、嵐の曲。出演タレントの曲を使わないと出してやんないというジャニーズのごりよしには辟易する。こんなことを続けていたら、事務所のタレントはいつまでもたっても映画俳優として認められない、ということにいいかげん気づくべきじゃないだろうか。
by galarina | 2007-07-24 23:32 | 映画(は行)