「カーサ・ガラリーナ」にお引っ越ししました


by galarina
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タグ:日本のドラマ ( 12 ) タグの人気記事

きみはペット

2003年/TBS

「若い男の子を飼うということ」
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放映時は、男の子をペットにするということが様々な物議を醸したようです。仕事に疲れたOLが若い男の子をかわいがる。いいじゃあ、ありませんか。この子は自ら「俺をペットにしてくれ」と転がり込んできたわけですからね。我が家のベルも鳴らないもんでしょうか。

携帯電話の出現以降、コイバナ系ドラマは本当につまらなくなったのですが、本作は大健闘。面白さのカギは、昔のラブストーリー、今のラブストーリー、それぞれに欠かせない王道テーマを両方バランス良く配合していることだと思います。前者は、「背伸びして憧れの相手を選ぶか、一緒にいて安心できる相手を選ぶか」。例えば「東京ラブストーリー」のヘタレ男カンチは背伸びする勇気が持てずリカを捨て、安らげる里美を選びました。恋愛ものでは、何度も何度も繰り返されるテーマです。本作では、憧れの相手が蓮見先輩、安らげるのがモモ。最終的にスミレがどっちを選ぶのか、最後までヤキモキさせられます。

後者は「恋愛と仕事の両立に悩む働きマンの現実」です。男性と同等に働き、残業し、仕事道を邁進する現代女性が、いざ恋人と二人きりになれば、彼氏を優しく包んであげるような女性らしさを要求される。そこに生まれる価値観のギャップが物語の面白さとなります。本作では、仕事はできる女「スミレ」を通して、恋愛のあれこれが面倒くさい働きマンの実体が見えてきます。

そして、マツジュン演じるモモのキャラクターについては、現代男性像を考えるに格好の材料だと思います。モモはヒモではないんです。誰かのそばにいたい。ナデナデして欲しい。最近、流行りの「草食男子」の先駆け的キャラではないでしょうか。そして、ナデナデすることで、スミレも安らぎを得る。ドラマの中盤辺りは、双方「癒されたい」欲求がまあるく収まる理想型のようにすら見えてきます。しかし、モモに自我が芽生えてこの理想型は破綻し始める。連ドラとしては、最終回に向けてうまい盛り上がり方です。ところが、迎えた最終回。私は全然納得できませんでした。

というのも、若い男の子をペットにするという、実に面白いテーマを投げかけておいて、「アクシデントによるめでたし、めでたし」という結末だからです。これは、当時まだマンガが連載中だったから、という枷があったからかも知れません。でも、やっぱり主人公は自分の道を自分で選択しなきゃならないでしょう。でないと、なんのために10回分のストーリーが存在するの?ってことで。ちなみに、私が望んだのは、モモを解放してあげて、蓮見先輩にきちんと告白する、というものでした。それができて初めて、スミレは恋に自立した女になれたんじゃないでしょうか。仮にテレビ局の思惑として、モモとのハッピーエンドになったとしても。それでもやっぱり、スミレが彼を選んだという展開にして欲しかった。「アンタは好きなバレエをとことんやればいい。お金のことは私に任せて」と留学先まで追っかけて、啖呵でも切ってくれれば、それはそれで面白かったのに。

それにしても「東京ラブストーリー」から時代は変わったと言え、やはり「安らげる相手」を選ぶという無難な着地点。何だかもの足りませんねえ。シチュエーションが奇抜なだけに、エンディングも「そう来たか」というくらいの驚きが欲しかったです。事故や病気、なんていわば反則ネタ。面白かっただけに、ことさら残念。まあ、回を追うごとに増していくマツジュンの愛らしさ。これについては、申し分なし。おかげで「花男」なんてミーハードラマも道明寺派ですっかりハマってしまいましたから。
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by galarina | 2008-11-13 18:23 | TVドラマ

クライマーズ・ハイ

「原作に忠実で面白い、ということに価値がある」

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これから、映画版を見に行こうと言う方に水を差すわけではないのですが、NHKによるテレビ版は、原作のクオリティをそのまま保ったドラマと言えます。この作品のおかげでNHKのドラマって面白いじゃないかと思い直し、「ハゲタカ」にもハマりました。

私は横山秀夫の作品は、ほとんど読んでいるのですけど、警察物は今イチなんですよね。やたらと暗いし、署内の人間関係の駆け引きがメインで、警察業界をあまり知らない人間としては、興味をそそられるものがあまりなくて。でも、この「クライマーズ・ハイ」は、新聞記者の日常を知らない私のような人間でも、この未曾有の事件の中で、様々な思惑が行き来する緊迫感が最後まで持続して、読後の満足感がすごく高かった。読み終わって、はぁはぁと肩で息をするような感じでした。

で、このドラマ版は原作に忠実に作られています。ここがポイント。横山秀夫ってね、案外原作通りに映像化するとつまらないものになることが多い。その最たる物が「半落ち」です。これは、本当に失敗でした。横山作品は登場人物たちの心理合戦が醍醐味の一つで、「これ」という具体的な映像で説明できるものでもありません。今アイツは何を考えているのか。なぜアイツはこんなことをさせるのか。目の前の人物の裏側を想像させるような作りにしないと、横山作品の本当の面白さは伝わらない。そこで、大切なのは一体何だろう、と考えたのですが、まず第一に下手なエンタメ風にしないってことです。そして、演出の粘り強さだと思います。キレイに撮るとか、テンポ良く収めるということよりも、ねちねちと人物の懐に入り込むような粘り強い演出が焦燥感をあぶり出すんではないでしょうか。

ドラマは前後編で、150分。映画館で150分と言えば、なかなか長編で疲れますけど、これは一気に見てしまいます。今ならレンタルできますので、前後編セットで借りてぜひどうぞ。
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by galarina | 2008-07-28 00:35 | TVドラマ
クラシックの本場、ヨーロッパロケを贅沢に行って、なかなか楽しいスペシャル版でしたね~。年末年始のドラマではダントツに面白かった。

本作はとにもかくにも、上野樹里だろうと思います。玉木くんの白目も話題にはなりましたが、それは開き直れば誰でもできることです。のだめ演じる上野樹里は「ハチクロ」の蒼井優を思い出させます。本来の彼女の性格も似ているのかも知れませんが、これは自分からのだめと言うキャラクターに歩み寄るのではなく、明らかにキャラクターを自分自身に引き寄せている。演技者としての才能を感じます。また、演奏シーンは明らかにダミーであることは誰しも重々承知ではありますが、彼女のピアノを弾く姿には引き込まれます。グレン・グールドしかり天才ピアニストと呼ばれる人は独特の演奏スタイルがありますが、それを演技者が自然に見せるというのは、案外難しいことではないかと思うのです。私は通常ドラマから先日のスペシャルを通じて、のだめが可愛くて可愛くてたまりません。

さて、このドラマは、フジテレビが得意とする「おふざけが過ぎる」ことが、功を奏しました。随所にちりばめられたマンガ的な演出がドラマを大いに盛り上げます。何しろ、音楽の力が大きいですし、クラシックという実に硬い素材を使っているわけですから、他の部分がおちゃらけなほど、コントラストが効いてくる。

ただし。一番懸念されるのは、これでフジテレビが調子に乗ってしまうのではないかということです。(すでにだいぶ調子こいてますが)なぜなら、これは漫画の原作が非常に良くできているからです。フジテレビは、借り物で商売しているんだということを肝に銘じて欲しい。良い素材をよそから拝借して、うまく調理しているのです。ドラマがはやったので映画にしよう、というテレビ局のスタンスには、私は強い疑問を覚えます。映画というメディアは、映画館というハコとあの大きなスクリーンを使って表現したい、という製作者の強い意志があってこそ生まれるべきものです。ドラマにはドラマの、映画には映画のフィールドがあり、そこはしっかりと棲み分けされるべきです。まさか、のだめも映画にしようなんてことにならないことを祈ります。
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by galarina | 2008-01-07 23:21 | TVドラマ

ハゲタカ 6(最終回)

2007年/日本 NHKドラマ

「キレ味あり、幸福感アリの万歳!最終回」
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大空電機の実権を握ったホライズンは、技術力の高いレンズ事業部をアメリカの企業に売却しようと画策する。儲かる事業部は残し、儲からない事業部は切る。黒字を出すということを第一優先に考えると間違いないけれども、本当にそれでいいのか…。これまた、多くの大企業に当てはまるテーマだ。私は基本的に浪花節が嫌いな人間だが、企業を「人間が集う集合体」だと考えると、やっぱり働く人間の「やる気」って一番大事。その事業を切ることで社員のやる気がなくなるんだったら、赤字でも残す意味はあるに違いないと思う。

このドラマは金融や経済について詳しくない人もハマったわけだけど、それは改革を取るか、人の気持ちを取るかっていう、素人にもわかりやすい対立図を作ってきたから。だけども、本来経営なんてそんなに簡単に割り切れるものでもない。そこに持ってきたのがEBOという案。社員が資金を出して自らの会社を買収するEBOという手段は初めて知ったが、これは大胆な改革でもあり、社員のやる気がないと実現しない方法でもある。そのあたり、うまい方法で着地させたなあ、と感心した。

そして、生死をさまよった鷲津を元の舞台に戻したのは芝野。以前鷲津から「あなたと私は同じです」と言われ突っぱねた芝野が最終回では「俺とおまえは同じだ」と返すあたりはしびれましたなあ。そして、ホライズンに一泡吹かせるという大どんでん返しは、最終回にふさわしいドラマチックな展開。リハビリから復帰して、いつもの金縁メガネとスーツ姿でホテルのバーに佇む姿に「鷲津、カンバーック!」と思わず心の中で拍手。全てが丸く収まる展開ではあるが、多くの痛みと犠牲を払ってきた鷲津と芝野の来し方を考えると実に納得できる最終回だったと思う。

というわけで、低視聴率だったにも関わらず、鷲津萌え~な婦女子が急増中らしい。やっぱ、過去に傷を負ったクールな男に惹かれるのは私だけじゃなかったのね。でも、ライバル増えるのも微妙だぞ。

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<とびきりオーラの違う田中泯>
メゾン・ド・ヒミコ」でもそうだったけど、やっぱこの人はそこに立っているだけで存在感が違う。会社の行く末を担うキーパーソンとしての役割を彼に与えたのは大正解。ホテルのバーで鷲津と対面するシーン。セリフの前にひと呼吸あり、頬のあたりを指でさすって、ポツリとつぶやく。この「間」がすごいの。「頬を指でさする」という何気ない動作にぐーっと引き込まれる。さすが、舞踏家。大したもんです。そして、若い社員たちに技術者としての誇りを問うシーンは、最終回のクライマックス。田中泯がおいしいところを全部持っていっちゃいますよ、必見。
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by galarina | 2007-09-10 23:45 | TVドラマ

ハゲタカ 5

2007年/日本 NHKドラマ

「恋愛モードまるでなし。それでいいのだ」
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常に挑発的な態度で日本企業に攻撃をしかけてきた鷲津が初めて受けて立つ側となる第5回。かつて鷲津によって父親を事故死に追いやられた「西乃屋」の長男、治がIT社長にのし上がり、挑戦状を叩き付ける。本社に隠れて裏で画策を練り始める鷲津、その真意は三島製作所の存続にあるのだが、栗山千明演じる三島由香に特別な思いがあるのかどうか…。

予期した通りではあるが、このドラマには色恋沙汰は一切描写なし。由香が鷲津の真意を知ったからと言って、二人が抱き合うわけでもなし、言葉をかけることすらない。この辺、ちょっと色気のある脚本家なら、ふたりのロマンスを描きたいところなんだろうけど、ぐっと我慢。見ている私も鷲津のラブシーンなら見てみたいけど、これまたぐっと我慢。つらいとこだが、全体の硬質なムードを損ねるくらいなら、恋愛描写は入れない方がいい。これ、社会派ドラマの鉄則。

今回の佳境はテレビ番組での討論会だが、キャスターを本物のNHKアナウンサーが務めているため、とてもリアルだし落ち着きがある。この辺は民放が作るとやたらと嘘くさくて、派手な演出になるんだろうな。で、ラストに鷲津が撃たれる場面で、第一回の冒頭に繋がっていく、という構成もうまいねえ。頂点に立った鷲津がついに人間らしい気持ちで行動したら、それが裏目に。果たして彼は冷徹な男に戻るのか、新たな道を見つけるのか。大空電気の行く末だけでなく、主人公鷲津の人間性を、どのスタンスで着地させるかが最終回への焦点へとなっていく。

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<親父のDNAを見せつける松田龍平>
インターネットの世界でのし上がってきた西野治。人物背景から言って、もろホリエモンがモデルなんだけど、似ても似つかぬ男前です(笑)。それにしても斜に構えた物言いといい、孤独感のにじみ出る佇まいと言い、父・松田優作にすごく似てきたなと今回しみじみ感じた。

「御法度」でデビューした頃は、若さが邪魔していきがってるだけのイメージだったが、段々年相応に影のある男道を突き進んでいる模様。こういう冷たいキャラクターがうまい俳優は、浅野忠信やオダギリジョーなどがいるけど、松田龍平は俺なんかいつ死んだっていいと言わんばかりの虚無的な表情が印象的。手を差し伸べても、逆に刃物で刺されそうな凄みを本作では見せている。
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by galarina | 2007-09-07 23:03 | TVドラマ

ハゲタカ 4

2007年/日本 NHKドラマ

「キャスティングの大勝利」
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いよいよハゲタカの狙いは日本を代表する大手メーカーへ。レンズ作りを基本に戦後大企業と成長した大空電気の大株主となったホライズンは大胆な人員削減を提案するが、決してリストラしないことを主義とする大木会長と真っ向から対立する。家族主義&終身雇用を死守するか、ドラスティックな改革で会社を立て直すか。構図としては、よくあるパターンだし、これまでも散々扱われてきたテーマではある。しかし、大木会長のカリスマとしての存在感をバックに真っ向から両者が対立する様は見もの。というのも、この回から新たに菅原文太、大杉漣、田中眠というビッグネームお三方が参戦。役者陣の層がハンパなく厚くなるからだ。

病床の大木会長が語る「モノ作りの原点」。大空電気の事業内容を見れば、キヤノン+松下がモデルかと思うが、シャープなり、サンヨーなり、ホンダなり、日本のメーカーにお勤めの方なら、我が企業に置き換えて見ることができるだろう。大木会長の熱意にほだされて何とかまとまりを見せる株主総会。うーん、それでいいのかあと思っていたところへ、「とんだ茶番だ」と言う松田龍平のセリフがすかさず入る。本作、視聴者として、時には日本企業側の気持ちになるし、時には改革者の気持ちにもなって、両サイドを揺れ動く。その揺らし方が絶妙。この両者の対立が一体どのように収集がつけられるのか、と最終回に向けて期待は膨らむばかりなのだ。

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<これでもかと声のイイ俳優を集めた脇役陣>
「ハゲタカ」の重厚感の大きな一翼を担っているのは渋すぎる脇役陣。しかも、やたらと低音ボイスが心地よい中年俳優をどっさりつぎ込んでいる。宇崎竜童、中尾彬、嶋田久作、志賀廣太郎、大杉漣…。特にハゲタカファンドにお勤めの嶋田久作と志賀廣太郎は、出演シーンは少なくても声だけで存在感ピカ一。中尾彬にしても、いつもの悪代官みたいな役回りではあるのに、あくどさが浮き出ず全体の登場人物に馴染んでいる。それは、おそらく同じトーンの声の役者が集まっているからではないかと思う。

今回、このドラマを見ていて、声質が似通った役者陣が多いと言うのは見ていてこんなに落ち着くものかと思った。出力レベルが一定、とでも言うのだろうか。まさか、声だけでキャスティングはしていないだろうけど、落ち着きと存在感、全体のバランスなど、キャスティングの勝利と言ってもいい。よく民放のドラマにおいて、この俳優が出ている時はなぜかこの女優も一緒出ている、ということがよくある。そういう場合は、ほぼ間違いなく同じ事務所のセット売り、というやつだ。NHKにも全くないとは言わないが、民放ほどは事務所の売り込みや企業の思惑がキャスティングを左右しないもんなんだろう。全6回というコンパクトなドラマの中で全てのキャストがぴしっと決まった爽快感がこのドラマには満ちている。
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by galarina | 2007-09-03 23:58 | TVドラマ

ハゲタカ 3

2007年/日本 NHKドラマ

「それぞれの再出発」
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金融素人の私には何から何まで目からウロコなストーリーだけれども、この第三回の「サンデートイズ」が民事再生法を適用されてからのプロセスも「倒産した会社ってそうなるんだ!」という驚きの連続であった。スポンサー決め、そして入札と、こうなりゃつぶれた会社は「どれだけの価値があるかを図るモノ」。そこで働く人も、会社の歴史も、そんなもん、関係ないったらありゃしない。その間に行われる丁々発止を見て「金の亡者」と決めつけるのは簡単だが、価値のあるものには投資する、利益の出ないものは切り捨てる。それが資本主義だし、こんな時だけ浪花節になったとて、会社が再生するわけでもない。

しかし、あまりにドライなやり方は日本人の心情には馴染まない…ってホントにそうですかねえ。バブル期のようにウハウハ儲かってる時には、モラルとか思いやりとか全く関係なしに浮かれぽんちになってた日本人。それが、形勢が悪くなると、いきなりそういう大義名分を出してくるなんておかしいでしょ。このドラマは、3つの企業の顛末を描いているけれども、実はどの企業の栄枯盛衰も、日本人という国民が「お金」に対して見せてきたスタンスを見事に切り取っていると思う。

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<病を乗り越えて主演した柴田恭兵>
肺ガンであることが判明し、本ドラマの撮影も延期されたとか。そして手術後の復帰を待ってクランクイン。それだけの価値はある演技だったと思う。手術の影響からか、幾分声量が落ちた感じがするが、却ってそれが芝野らしい慎重さや思慮深さに結びついていた。柴田恭兵と言えば、あぶない刑事などの弾けたイメージがどうしても拭えないが、本ドラマでは最初から最後まで苦悩しっぱなし。常に人のやりたがらない仕事の矢面に立ち、正義を貫こうと奔走し続ける。

腐りきった金融業界の正義や倫理観のシンボルとして芝野は描かれており、最終的には正義が勝つという結末。それは、もちろんドラマ的大団円と穿った見方もできるが、やはり第一回から第五回までの芝野の苦悩と人柄があるからこそ、この結末には大きなカタルシスがある。病み上がりの痩せた顔つきで言葉少なに苦渋の表情を見せる柴田恭兵は、私は今まで見たことのない柴田恭兵だった。
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by galarina | 2007-08-30 23:05 | TVドラマ

ハゲタカ 2

2007年/日本 NHKドラマ

「ハゲタカは企業を食い尽くすワルか?」
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第一話で描かれていたのは、バブルの波に乗ってゴルフ場経営に手を出したばかりに本業の旅館を手放さねばならなくなった「西乃屋」。第二話&第三話では、宝石や着物など私物に金をつぎ込む女社長(名古屋在住の名物社長、またはアパホテル社長を彷彿させる)が経営する「サンデートイズ」。いずれも会社が傾くのは自業自得に思える。確かに鷲津の言う「あなた達を救いに来ました」という高飛車な言葉にはムカツクけれども。

それでも、やはり諸悪の根源は、社長の経営者としての手腕と、長期視点に立たずに金を貸し続ける日本の銀行のせい。しかし、ドラマはあくまでも「ハゲタカ」を悪党として描くことに徹する。それは、そうすることで、逆に「ハゲタカ」へのシンパシーを視聴者が持つようにするためではないか。そして、日本企業の甘えの体質を浮き彫りにするため。私はそう受け止めた。

それにしても、本ドラマ視聴率が5~6%前後だったとか。そんなにみなさん、金融業界のドラマに食指が動かないもんですかねえ…。

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<見事なイメージチェンジに成功した大森南朋>
いつからか、彼が出ていない日本映画はないというほど露出が目立つようになり、「第二の田口トモロヲ」と私は勝手に命名していた。しかしひねくれた役やアクの強い役が多く、金縁眼鏡のアメリカ帰りの金融マンでしかも主人公なんて務まるのかしらと心配していたが、嬉しいことに杞憂に終わった。

得てしていい俳優は、演技者としての力量以外に、「影」を感じさせる生来の魅力を持ち合わせている。つまり、母性本能をくすぐる男。本作では、銀行の貸し渋りのせいで取引先のおやじさんが自殺したという暗い過去を引きずる役。主役ではあるが、ダーティーヒーロー。そこが、彼本来の「影」の部分とうまく呼応して魅力的な男、鷲津を作り上げた。

常に冷酷な言葉を吐き続ける鷲津だが、その言葉の裏には彼なりの優しさや葛藤があるのではないか、ついそんなことを思わせてしまう色気がある。各人物の心理状況に迫る演出からか、アップのシーンが多く、個人的にはやや多様し過ぎなのでは?と思う部分もあるが、金縁眼鏡から遠くを見つめる鷲津の悲しげな目は、多くの女性ファンを鷲づかみにしたことでしょう。(ダジャレじゃありませんよ)って、傷を持つ男にめっぽう弱いワタシだけかな(笑)。
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by galarina | 2007-08-29 23:59 | TVドラマ

ハゲタカ 1

2007年/日本 NHKドラマ

「久しぶりの五つ星ドラマ」
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日本のドラマがさっぱり!面白くなくなった昨今、久しぶりに5つ星のドラマに出会えた。そもそも、「ヴァイブレータ」でハートをぶち抜かれた大森南朋主演ってことで、興味を持ったのだけど、実に骨太なドラマで役者陣の演技も見応え抜群。こんなに必至でドラマを見たのは、いつ以来だろう。未見の方はDVDが既に発売されているので、ぜひご覧頂きたい。

バブルが弾けてから、現在に至るまでの日本を描く本作。ホワイトナイトやら何とかパラシュートなど、金融専門用語が飛び交い、ホリエモンやら村上ファンドを思い出させる。しかしながら、ホリエモン出現以降、日本の金融マネーの本当のところというのは、メディアによるワイドショー的お祭り報道のせいで、その根幹たるやなんなのか、私のような金融素人にはさっぱりわからなかった。メディア批判でこのレビューの文字数を増やすつもりは毛頭ないが、彼らの報道姿勢による功罪はとてつもなく大きいと私は思っている。

で、バブル後の日本は、どのようにして坂道を転がり落ちたのか、そのプロセスの中で日本が失ったものは、得たものは何なのか。このドラマを見れば実によくわかる。しかしながら、本作は「金融入門手引書」的ものでは全くなく、前面に打ち出されるのは人間ドラマとしての凄みである。何と言っても、そこがドラマとしての5つ星たる由縁である。

最近の民放発の人間ドラマと言えば、「華麗なる一族」や「白い巨塔」などが挙げられるだろうが、それでもこれらのドラマには、物語をドラマチックに仕上げようという演出が見られ、それは一も二もなく民放だからしょうがいないのだけれど、「ハゲタカ」には、盛り上げてやろう的演出は極力抑えられている。小道具などの見せ方や金融用語がテロップで入るなど、全体のメリハリとしての盛り上がりはあるが、とにかく役者陣の演技は昨今のドラマにはない抑制ぶりと言っていい。

主演の大森南朋と柴田恭兵、松田龍平、田中眠。特にこの4名の存在感がすばらしく、1人ずつレビューを書きたい衝動がただ今抑えきれません。見ていない方はぜひ。個人的には、大森南朋ファン、あまり増えないで欲しいんだけどね。
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by galarina | 2007-08-28 23:58 | TVドラマ

砦なき者

2004年/日本 監督/鶴橋康夫 脚本/野沢尚

「テレビを信じてはいけない」
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破線のマリス」に引き続き、テレビ局の功罪をよりセンセーショナルに描いた傑作。テレビドラマだけど、DVDも出ているので多くの人にぜひ見て欲しい。

「破線のマリス」よりもメディア批判はさらにパワーアップしてる。実際公式HPの原作者よりというページで野沢氏自身が、『この「砦なき者」のテーマは、テレビを信じてはいけないということ』、と言い切っている。テレビドラマというジャンルで曲がりなりにもギャラをもらっている人が、ここまで痛烈な批判を行う勇気はあっぱれだと思う。

そして、恋人の自殺はメディアの報道にあると訴えて一躍カリスマになっていく妻夫木聡が非常にいい。実は、私はオンエア当時、この悪役を妻夫木君がやると聞いて、少々不安だった。でも、蓋を開けてみればなんの、なんの。影のある青年を見事に演じてる。2003年の「ジョセと虎と魚たち」、2004年の「砦なき者」で妻夫木聡は、確実に演技派への階段を上ったと思う。

妻夫木聡演じる八尋樹一郎は、報道の被害者という世間の同情をうまく利用してカリスマになっていく。これは、メディアそのものが「叩かれることに慣れていない」ことをうまく利用しているわけだ。つまり、被害者だと訴えられたことで萎縮してしまい、彼に対してまるでお手上げ状態。お祭り騒ぎは上手だが、批判されるとめっぽう弱いメディアの体質。しかし、メディアをそのように甘やかしているのも私たち自身なのだ。メディアに映るものを本質と受け取ってしまう、大衆心理の愚かさ。我々、日本人は実に「批判精神」が欠けている。

メディアに復讐したい男、八尋と八尋によって人気キャスターの座を追われた長坂(役所広司)が対決するラストシーンもすばらしい。揺れ動く人間心理を巧みに描く野沢尚氏の脚本が、一級品のドラマを創り出す。最初から最後まで続く緊張感は見応え充分。見終わった後、確実にメディアなんて信用できない、という気持ちになるだろう。そして、そんな批判精神でメディアを捉え続けた野沢尚のドラマがもう見られない、という事実もまた、深く胸に迫る。
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by galarina | 2007-03-04 14:07 | TVドラマ