「カーサ・ガラリーナ」にお引っ越ししました


by galarina
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始皇帝暗殺

1998年/日・中・仏・米 監督/チェン・カイコー

「様式美を凌ぐ人間ドラマ」
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始皇帝の物語は、日本で言うとさしずめ忠臣蔵のようなものでしょうか。いろんな解釈を加えたりして、様々なスタイルで映像化されている歴史物語なんでしょう。すぐに思いつくのは、チャン・イーモウの「HERO」なんですが、あちらはとことん様式美に徹した作品。特に独創的なアクションシーンが鮮烈な印象を残します。これはこれで、徹底的に映像を楽しむ、ということで面白い作品です。対して、チェン・カイコーは、すさまじい予算とエキストラを動員してこれまた圧倒的な様式美を生み出していますが、それ以上に人間ドラマとしての面白さが圧巻です。数十億円かけて作った宮殿のセットにひけを取りません。

始皇帝と言いますと血も涙もない鉄のような男を思い浮かべますが、本作の始皇帝は駄々をこねたり、喜んで飛び跳ねたり、実に人間味あふれる様が描かれています。「さらば、わが愛」同様、血の通ったキャラクターを描き出すのがチェン・カイコーは実に巧い。また、セリフの中には格言や隠喩が数多く盛り込まれ、それぞれの人物の思慮深さ、品格が見事に表現されています。とりわけ感動するのは、いわゆる大陸的な物の捉え方、鷹揚さの部分です。目の前の出来事に対処するのではなく、ずっと先を見越して行動する。「人間ひとりでできることなどちっぽけなもの」と言う諦観と、「人間ひとりの考えや行動で国をも動かせる」と言う強い意志、その対極的な物事の捉え方を同時に併せ持っている。なんとも、懐の深い人物ばかりです。

一番の見どころは、趙姫と始皇帝の駆け引きでしょう。こういうシーンを見ていると、そりゃ中国との外交は難しいよな、なんて妙にしんみりしてしまいます。相手の裏をかくということが全ての大前提になっていますから。趙姫を演じるコン・リーが本当に美しい。お飾り美人ではなく、強い意志を秘めた凛々しさが際だっています。ただ、最新作「王妃の紋章」(未見ですが)でも、女帝のような役をしていたと思います。どうも、彼女未だにこの手の役が多いのは、いかがなものか。「ハンニバル・ライジング」はレディ・ムラサキだし。たまには、等身大の年相応の役もやって欲しいなあと思います。
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by galarina | 2008-06-04 01:40 | 映画(さ行)

カンフーハッスル

2004年/中国・アメリカ 監督/チャウ・シンチー

「家族全員で大爆笑できる作品ってそうそうない」
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映画館で見たのに、テレビで見て、やっぱり爆笑しました。「○○の達人」の○○がどいつもこいつも、思わずぷーっと吹き出してしまうような馬鹿馬鹿しさです。こりゃ、まるでドラゴンボールだね、なんて言ってしまい、なんのこたーない、ドラゴンボールが香港クンフー映画に多大な影響を受けているんでしょうから、なにをか言わんやです。

馬鹿馬鹿しい描写があまりにクオリティ高くて、天晴れと言いたいです。本場クンフー映画の実力と、Mr.Boo以来、綿綿と培われてきたコメディセンス、そして最新のCG技術。何もかもが、馬鹿馬鹿しさに向けて最大限のパワーで集結しています。その圧倒的な「突き抜け感」が本当に見ていて気持ちいい。下品でしょうーもないギャグも多いんですけど、それらが脱線せずにしっかりと作品の中に組み込まれているのは、作り込みがしっかりしているからに他ならないと思います。見どころと呼べる格闘シーンが惜しげもなく次から次へと出てきて、家族全員で「がはは」と大笑い。これぞ、一家団欒の極みです。

主演のチャウ・シンチーは、とっても私の好みなんです。突然「気」の流れが変わったなんて、都合のいい展開もご愛敬。白いチャイナブラウスに黒いズボンとカンフーシューズを履いて、バッタバッタとなぎ倒す姿は素直に「キャー、カッコイイ~」。そもそも、私が20代の時クンフー映画にあまり興味が持てなかったのは、ジャッキー・チェンのルックスが…(以下省略)。と、いうわけで新作が6月下旬に公開されるようです。「少林少女」を楽しみにしていた息子につまらないらしいから止めておけ、と説得したオカンとしては、こちらに期待。インディの新作よりも、シンチーの新作を楽しみにしている親子であります。

少し話は変わりますが、実はこの「カンフーハッスル」をテレビで見た次の日に、日本の空手映画「黒帯」を見たんですね。(数日前にレビューしました)香港のクンフーは技のレベルの高さに加えて、エンタメ精神にあふれ、少々下品だろうか思い切り笑い飛ばすほどの大らかさ。片や、「黒帯」は神棚を奉った道場で鍛錬にいそしみ、横やりを入れるのは帝国陸軍の将校。なんだかね、もの凄い温度差を感じてしまったんです。やっぱりアクション映画はスカッとしている方が私は好きだな。
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by galarina | 2008-05-14 11:49 | 映画(か行)

ラスト、コーション

2007年/アメリカ、中国、台湾、香港 監督/アン・リー
<TOHOシネマズ梅田にて観賞>

「壮絶なる愛の形に私はひれ伏す」

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美しく着飾るのも、女らしくあるのも、引いては仲間たちの謀議の上で好きでもない男に処女を奪われるのも、全てはイーを誘惑するため。そんなワンがいつしかイーを愛したとて、何の不思議があろう。もう少しで手に入れられたものがするりと逃げ去ったことで、彼女の心はますますイーの元へ飛ぶ。イーを追いかけ、イーに求められる女を演じることが彼女の人生そのもの。イーとの愛を全うしなければ、ワンという女の人生もまた、完結しない。何というつらい、そして報われぬ運命。しかし、嘘とまやかしで塗り固められた2人の関係の中に真実の愛が煌めく。それはまた、煌めいた途端、2人を地獄に突き落とすものでもあるのだ。

まるで、相手をいたぶるような激しいセックス。常に命を狙われ、誰にも心を許さない男、イーは、そのような方法でしか女を愛することができない。いや、イーは、女を愛撫することができないと言った方が正しいか。その柔肌を優しく撫でることも、乳房にそっと唇を重ねることもできはしない。己に溜まったよどんだ沈殿物を掃き出すかのように、女の体にぶちまける。あらゆる体位を尽くして結合しているその瞬間だけ、イーは生を実感する。そんなイーがワンの歌に胸を打たれ、彼女の手をそっと握る。初めての愛撫。愛の始まり。しかし、それは決して成就せぬ愛。

台詞の少ない脚本、巧みな心理描写、見事な上海の街の再現。全てにおいて、完璧。158分があっと言う間に過ぎた。アン・リーの挑戦する意欲に素直に敬服する。また、シックでエレガントなチャイナドレスにも目を奪われたし、日本人街の違和感のなさにも舌を巻く。そして、主演のふたり、新人女優タン・ウェイとトニー・レオンの存在も圧倒的。恐ろしいほどに目で語る。目を見ていれば、心の内まで読めるよう。タン・ウェイの体当たりの演技は、今後の彼女の中国における生活が無事滞りなく送れるのかといらぬ心配をしてしまうほど。しかし、映画初挑戦でこの演技は実に天晴れ。そして、今回もトニー・レオン、フェロモン全開。一貫して冷たい男なのに、常に哀愁漂う。本心を見せぬミステリアスな雰囲気に惹かれない女などいまい。シーツのしわをなぞるラストシーンが未だに目に焼き付いている。また、結局は、ワン頼みという運動仲間たちの狡さも巧みに表現されているのもいい。そして気に入ったのが麻雀のシーン。退廃のムード漂う。「ポン」や「チー」と言う夫人たちの台詞がやけにエロティックに聞こえた。

なぜ、ワンは最後にあのような行動に出たのだろうか。あのまばゆいばかりに美しい指輪ではないか。中国語で指輪は「指戒」。「戒」とは、「誓い」。イーはワンに愛を誓ったのだ。もはや、ワンはその愛に嘘で塗り固められた姿で応えることはできなかった。そして、仲間の侮蔑と恨みを一身に背負いながら地獄に堕ちることを自ら望んだ。その壮絶な生き様を、私は羨ましいと思った。傑作。
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by galarina | 2008-03-08 23:08 | 映画(ら行)

HERO/英雄

2002年/香港・中国 監督/チャン・イーモウ

「ゆらぐ信条」

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なぜ、チャン・イーモウにこれが撮れて、チェン・カイコーはできなかったのだろう。「PROMISE」はあまりにCGがしょぼくてその話題に終始してしまい書き損ねましたが、愛は運命を変えられるのかというチェン・カイコーらしい世界観というのは根底に流れていました。しかし、この「HERO」はどうでしょう。チャン・イーモウがなにゆえこのような一大アクション巨編を撮れたのか。映画は監督のもの。常々そう思って映画を見ている私は、この作品ほどその信念が揺らいだことはありません。

私の勝手な想像ですが、アクション監督、カメラマン、CGスタッフに至るまで、一流と呼ばれる全ての技術スタッフの力を100%チャン・イーモウが引き出した。そう考えるしかありません。もしかしたら、大陸的な粘り(そうイーモウ監督の作品によく出てくる市井の人々が持っているあれ)でもって、まとめあげた結果がこの作品なのかも知れません。

アクションを担当したのは「少林サッカー」も手がけるチウ・シントン。無名と長空が戦うシーン、雨のしずくが落ちるスローモーションや老人のつまびく不思議な楽器に合わせて、繰り広げられる格闘が非常に独創的。見せ方一つでアクションシーンって、こんなにも様々な表情が創れるのだと驚く。各エピソードにイメージカラーがあり、はらはらと舞う衣装がとても美しいのですが、この色分け効果は、実は2度3度見ると飽きてくる。しかしながら、羅生門スタイルで繰り広げられる物語は、虚実ないまぜで、観客が混乱してしまいがち。それを回避するために、おそらくこのスタイルを選択したのでしょう。あのエピソードは赤いシーンと頭にインプットされ、複雑な物語を整理できる。この選択は正解。

そして、何より、トニー・レオン。フェロモン全開。この匂い立つような色香はなんでせう。私は、彼の毒気にあてられてめまいを起こしそうなくらいクラクラ。あのジェット・リーすら、かすんでしまう。砂に書をしたためる、というあれは、中国古来の芸術なんでしょうか。長髪を無造作にしばり、女物のような着物をひらひらさせて、砂に文字を書くその姿。惚れない女はおりません。今年公開予定の「ラスト・コーション」はラブシーンがいっぱい、ということでこれまた楽しみです。
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by galarina | 2008-01-25 23:36 | 映画(は行)

あの子を探して

1995年/中国  監督/チャン・イーモウ

「とてもいい話なのに、どこまで素直に受け止めていいかわからない」

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過疎の村の小学校の代用教員になった13歳の少女ウェイは、1ヶ月間生徒が誰ひとり学校を辞めなかったら50元もらえるということで、授業もそっちのけでひたすら生徒たちの監視を続けていく。そんなある日、クラスのひとりホエクーが、出稼ぎに行ってしまった。ウェイはチャンを探しに町へ赴くのだが…。

これほど、感想を書くのが難しい作品は未だかつてないかも。なぜなら、セミ・ドキュメンタリーという構成は、どこまでが現実でどこからが虚構なのか、わからなくなってしまうからだ。表向きは感動作品であり、もちろん、このまま素直に受け止めればいい。ラストの黒板のシーンなんて、とっても美しくて思わず泣けてきた。ところが、このシーンにとあるナレーションがかぶさって、一気に私の涙が止まる。それは、ウェイがテレビに出たことによって、これこれの寄付があり、そのお金をこのように使いました、と言う内容のものなのだ。

ホエクーが出稼ぎに出かけ、必至にウェイが街で彼を捜し、テレビで涙の訴えをする。それらは、私はあくまでも素人の子供たちを使った架空の物語だと思っていた。もちろん、この物語の背景である中国や抱える教育問題は事実なんだろうと思う。過疎で貧しい子供たちが直面している現実。それこそがこの作品の訴えたいことであろう。しかしながら、この物語がきちんとした脚本に基づいたものだとしたら、この寄付をした人はいっぱい食わされたということにならないだろうか。

それとも、ウェイが代用教員になったことも、ホエクーが出稼ぎに出かけたことも、事実なの?だったら、寄付の話も納得できるんだけど。本作、メイキングが出ているらしいので、この疑問もそれを見ればわかることなのかも知れない。でも、メイキングを見ないとはっきりとした感想が書けない作品って、どうも納得できない。だから、セミ・ドキュメンタリーという作風は感想が書きづらいのだ。

出てくる大人が、子供たち対して冷たい。これにしても、本当にそういう反応だったのか、それともイーモウ監督の演出なのか。どちらかによって、私の感想も変わってくる。ああ、ややこしい。

子供たちの生き生きとした様子は見ていて気持ちよかった。貧しいながらも女の子たちが来ている洋服がかわいくてね。やっぱり女の子だから赤い色の洋服が多くて、それが村の景色と相まってすごくきれいに見える。ホエクーに勉強をさせたいわけじゃなくて、ただお金が欲しいから探しに行くんだって言う動機も実に子どもらしくていいなと思う。ウェイという女の子の性格は、とても頑固なのよね。融通が効かないの。いつもぶすっとしているし。その辺は妙なヒューマニズムを持ち込んでなくて、とてもいいと思う。ラストに向けて「いい話だなあ」とじわ~んとしていただけに、なんで最後の最後になって現実に戻すようなナレーションを入れたのか、本当に合点がいかない。
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by galarina | 2007-11-19 23:21 | 映画(あ行)

初恋のきた道

2000年/中国 監督/チャン・イーモウ 
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今をときめくチャン・ツィイーのデビュー作。おさげでモンペ姿で、ただひたすら好きな人を待ち続けるその姿に胸がキュンとなる…って人がホントに多いのだろうか?とにかくチャン・ツィイーがおさげ髪をぶんぶん振るシーンが多すぎて、ちょっと「もう、ええわ」って感じ。こういった、アタシってかわいいでしょ的カットをもっと少なくしてくれたら良かったのに。きっと、監督のチャン・イーモウがこういうのが好きなんだろうな。そうとしか思えない。

村に赴任した若い先生が食事をしに家にやってくるというその日、先生は「右派」の人間だということで、町へ連れ帰されてしまう。このあたりの詳しいいきさつは、物語の中では一切語られない。が、この若き先生が何者であり、どういういきさつでこの過疎の村に教師として赴任してきたのか、もう少し肉付けが欲しい。

どうしてもラブストーリーの場合、女性は女性の立場で物語を見てしまう。そこで、主人公に感情移入できなければ、その先のストーリーはちっとも楽しめない。そういった意味で、私はチャン・ツィイーの立場で彼を好きになろうと努力したけれども、ダメだった。なんせ彼のことはちっとも語られず、チャン・ツィイーの切ない思いばかり延々と描かれるんだもの。

私としては、チャン・ツィイーが出てくるカラーの過去物語よりも、モノクロで表現されている死んだ父をおぶって帰るという現代の方が心にぐっと来た。もちろん、過去編で紹介されるふたりの初恋話が切ないほど、その男が死んだという現実の重みが出てくるわけだけども、それにしてもなあ、何度も言うがおさげ降りすぎ。まっ、素直に見れない人もいる、ということで。

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by galarina | 2006-07-12 18:09 | 映画(は行)