「カーサ・ガラリーナ」にお引っ越ししました


by galarina
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タグ:エリック・ロメール ( 7 ) タグの人気記事

友だちの恋人

1986年/フランス 監督/エリック・ロメール
<6つめの格言:友だちの友だちは友だち >

「揺れ動く乙女ゴコロ」
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主人公は、パリ近郊の新都市セルジー=ポントワーズで市役所に勤めるブランシュ。キーカラーなんだろうか。いつもブルーの服を身にまとっている。それは、ブランシュ自身の煮え切らない気持ちから来る「ブルーな気分」を表しているようにも見える。また、舞台となっているセルジー=ポントワーズという街。計画的に開発された都市らしく、ブランシュの住むマンションを始め、スタイリッシュな建物も見どころ。この洗練された街の雰囲気とブランシュの幼さが、面白いギャップ感を生み出しています。

ブランシュには親友のレアがいて、その恋人がファビアン。いやあ、ロメール作品には珍しいイケメンくん。大人しいブランシュに対して、自由奔放なレア。恋人のファビアンもそんなレアに振り回されている。ブランシュは、ファビアンの知り合いのプレイボーイ、アレクサンドラを紹介され、一目で気に入る。でも、彼の前ではどうもうまく自分を表現できない。気取ってみたり、嘘をついたり、素直になれない…。

ところがある日、レアが恋人ファビアンをほっぽり出して、ナイショで別の男とバカンスに出かけてしまう。残されたもの同士、ブランシュとファビアンは水泳をしたり、食事をしたり、共に日々を過ごすうち、互いにとてもしっくり来ることに気づくのだが…。

男女4人を取り巻く恋模様。気持ちがあっちに行ったり、こっちに行ったり。まあ、よくあるお話ではあります。主人公のブランシュ。お役所勤めの割にはキャリアっぽくないと言うか、引っ込み思案でくよくよしてて、まだまだ「女の子」って感じ。フランス人女性って、自分の意思がしっかりあって、自由奔放で、恋愛の手練手管もバッチリ。なんてイメージがあるもんだから、そのギャップにとまどってしまう。でも、この格言シリーズに出てくる女性はみんなそうなのよね。「緑の光線」のデルフィーヌもそうなんだけど、「もうちょっとハッキリしなさいよ」とおせっかいを焼きたくなるようなキャラクター。

ロメールのような粋で知的なフランス人男性の周りには、きっと仕事も恋愛もバリバリ積極的なフランス人女性がたくさんいると思うんです。なので、こういうキャラクターの女性にばかりスポットを当てるのには、何か理由があるのかなあなんて、思ってしまいます。

ブランシュは相手を騙したり、自分を大きく見せたりとかしない。すごく素直な女の子で、シリーズ最終作品ってこともあるんでしょうか。とても素敵なハッピーエンドが待っています。いちばんそばにいる人が大切な人。いちばん飾らないでいられる人が必要な人。まるで、甘酸っぱい思春期の物語のよう。ふたりが抱き合うラストカットもとても微笑ましい。実はこのラストを迎える前に、偶然出会ったブランシュとレアが自分が好きな男の名前を伏せたまま会話をしたため、誤解が生まれ、そのままみんな別れちゃうの!?と思わせる展開があるんです。ただの会話のすれ違いなんですけど、ドキドキさせられました。ロメールって、何気ない会話のこういうちょっとしたシークエンスにやられちゃうんです。
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by galarina | 2008-11-01 00:24 | 映画(た行)

緑の光線

1986年/フランス 監督/エリック・ロメール
<5つめの格言:ああ、心という心の燃えるときよ来い>

「泣いてばかりのデルフィーヌ」
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まず、ベネチアで金獅子を撮ったこの作品の特徴は、ロメール監督が無名の女性スタッフ3人と即興的な演出で短時間で撮ったということでしょう。憂鬱なバカンスを過ごすパリジェンヌをとらえたその映像は、まるでドキュメンタリーのような手触り。バカンスにゆく先々で交わされる会話に、脚本はあるんだろうか。セリフがかぶったり、ヘンな間が空いたり、互いにぎこちなかったりするので、ついそんな風に考えてしまう。ただ、このぎくしゃくする会話が見事にそれぞれの、特に主人公デルフィーヌの性格を映し出しています。全編に渡る、この即興演出の妙こそ、他作品にはない本作の味わい。

さて一方、主人公デルフィーヌは、この独特の演出によって、非常に自然体、等身大の女性として映し出されます。そこに、もちろん共感する部分も多いのですが、パリジェンヌという語感からは程遠い、うじうじぶりにちょっと辟易します。バカンスって、フランス人にはそんなに大事なもんなんですね。ひとりは寂しい。それは、わかった。それにしても、です。友人の言葉で泣き出したり、第三者の好意をかたくなに拒んだり。どう見ても、デルフィーヌは極度の情緒不安定。特に、友人が手を差し伸べてくれたシェルブールのバカンス先でのランチの場面。テーブルに並ぶごちそうを目の前にして、私はお肉が食べられないの。獣を殺す行為に思いが及んでしまうから、といったようなことを言った時は、ちょっと唖然。こんなに周囲に気づかいのできない女性では、ボーイフレンドはおろか、友人も離れてしまいかねない。

ロメールは、本シリーズではそれぞれの主人公に、ひとりの大人としてはやや欠落したものを持っている、そんなキャラばかりを選んでいます。そりゃ格言シリーズなんですから、彼らのその欠けたモノを皮肉ったり、諌めたりしているわけです。その中では、このデルフィーヌは最強キャラじゃないでしょうか。ただロメールのいいところは、彼らの人間性そのものを決して否定したりしないところ。やや離れた位置で観察しながら、さりげない方法で彼らの性格を表出させ、いいところも悪いところも見せつつ、それも人間さ、もっと人生は良くなるさ、と締めくくる。そこには説教臭さは微塵も感じられません。そしてまた、それは神の視点というような大それたスタンスでは決してなく、強いて言うならば、敢えて苦言も呈しながら優しく包み込んでくれる親戚の伯父さんと言った感じでしょうか。そんな暖かい雰囲気が作品を包んでいる。そこがロメール作品に惹かれるところです。デルフィーヌという女性はどうしても好きになれないですが、こうした作品のムードに引っ張られ、「緑の光線」は果たして見られるのかという盛り上がりを持ってエンディングを迎えます。
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by galarina | 2008-10-28 23:42 | 映画(ま行)

満月の夜

1984年/フランス 監督/エリック・ロメール
<4つめの格言:人の妻を持つ者は心をなくし、二つの家を持つ者は分別をなくす>

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「自由を謳歌するには大人の分別が必要」
パリ郊外に引っ越してきたルイーズとレミのカップル。パリで働くルイーズは、週末の夜遊びが大好き。せめて金曜の夜は自由に遊ばせてくれ、浮気するわけじゃない。私はたまには、自由の時間が欲しいだけなんだから。それで、きっとあなたのことも、もっと愛せるようになる。ルイーズは、週末用にとパリに部屋を借りてしまうのだが…。

アイタタタ…。このルイーズの自己主張、まんまワタシの持論と同じだぁ。耳が痛い(笑)。現在、田舎暮らし中の私は、仕事用に都会にも部屋が欲しいと思ってまして。ほんと、ルイーズの言うことなす事、鏡を見ているようでつらい。でも、こうやって客観的に見ると、ルイーズのやってること、すごくワガママに見える。ちょっと、考えを改めなければならないのか!?とかなり身につまされる作品でした。

ルイーズはパリにいる時は妻子持ちのオクターブと遊ぶことが多い。このふたり、肉体関係のない、いわばプラトニックな関係。一見して、良き友人として付き合っている、例えば「SEX AND THE CITY」のキャリーとスタンフォードのような関係かと思いきや、おっとどっこい。オクターブの心中には、チャンスさえあればルイーズと寝たいという欲望はくすぶっている。

これまた、フランスらしい個人主義と言いますか、彼は彼、男友達は男友達と割り切った人間関係をみんな認め合っている社会なんだな、というのがよくわかる。ただ、そのためには大人としてのセルフコントロールがとても大事で、ルイーズはまだまだ子どもなんですね。正論を振りかざせるほど、自己抑制できていないオンナの子。だから、オクターブにもつけこまれちゃうし、最後にはレミから痛い目にあっちゃう。でも、この子は反省したりしないんだろうなあ。ちょっと苦い経験したけど、また別の男を探すわよ、なんて切り替えていきそう。

ルイーズを演じているパスカル・オジェ。鈴木保奈美のような三白眼で舌っ足らずな甘えた口調が印象的。クラブでルイーズをひっかける男の子をクリスチャン・バディム(ロジェ・バディムとブリジット・バルドーの息子!)が演じているんだけど、正直イケメンとは言えん。レミにしても、オクターブにしてもそうなんだけど、ロメール作品にはイケメンが全然出てこない。フランス人なら、背の高いすらっとしたオトコマエがうざるほどいるだろうが!と思うんですけどねえ(笑)。
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by galarina | 2008-10-26 15:18 | 映画(ま行)

海辺のポーリーヌ

1983年/フランス 監督/エリック・ロメール
<3つめの格言:言葉多き者は災いの元>

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「まぶしいばかりのラストショット」

15歳のポーリーヌは、従姉妹のマリオンとヴァカンスでノルマンディーの別荘にやってくる。マリオンは知り合ったばかりの中年男アンリにのぼせあがるけど、昔のボーイフレンドピエールに言い寄られて困ってしまう。ポーリーヌは同じく避暑で来ている少年シルヴァンといい感じになるのだけど…。

15歳の純真少女ポーリーヌを演じるアマンダ・ラングレがとっても可愛い。そして、この少女の目を通して描かれるのは、大人たちのずるさと愚かさ。もうね、みんなバッカじゃないの!ってくらい、自分勝手なのよ(笑)。離婚経験したくせに、すぐによく知りもしない妻子持ちに夢中になるマリオン。男のエゴを絵に描いたようなアンリ。自分の気持ちだけ押しつける直情男のピエール。ポーリーヌじゃなくとも、大人って馬鹿よね~とため息尽きたくなりまさあな。

結局、いちばん聡明なのはポーリーヌなのね。アンリに裏切られて、愚痴るマリオンに対して、優しく話を聞いて包み込んであげる。年齢にしても、人生経験にしても、普通逆だろ?と思うんだけど。ポーリーヌは、大人の事情に巻き込まれていくシルヴァンと最終的には縁を切っちゃう。ほんと、彼女がいちばん大人よね。別荘を去ってゆくポーリーヌを車の中で捉えたラストショット。ふわふわと軽やかなボブカットに木漏れ日がたくさん当たって、本当にキレイ。、ひとまわり成長した少女の美しさが凝縮されたすばらしいカットです。

従兄弟のマリオンを演じているのは「美しき結婚」にも出ていたアリエル・ドンバール。この人のふわふわの金髪とナイスバディには、クラクラしちゃう。作品では、アンリに一目惚れしちゃう尻軽女ですけれども、なぜか憎めません。ロメール作品の女性陣は、軽薄で思慮の浅い女性陣もたくさん出てくるのですけど、この憎みきれない理由は、彼女たちに打算が見えないからという気がします。自分に素直、思いのままに行動し、傷つき、嘆くけれども、またすくっと立ち上がる。そののびやかさを見ていると、しょうがないなあなんて気になるんですね。

それにしても、バカンスと称して、仕事もなにもかもから解放されて、海辺の街でのんびりできるヨーロッパ人がつくづく羨ましい。
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by galarina | 2008-10-24 16:26 | 映画(あ行)

美しき結婚

1981年/フランス 監督/エリック・ロメール
<2つめの格言:どんな心も、野で獲物を追い、空中に楼閣を建てる>

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「妄想オンナの微笑ましい暴走」

美術学校に通うサビーヌは、不倫という恋愛関係に終止符を打ち、突然結婚願望に目覚める。親友のクラリスに弁護士エドモンドを紹介してもらうも、「私はこの人と結婚する」と猪突猛進。ひとり結婚への妄想が転げ落ちる雪玉のように膨れあがり、彼女の行動はどんどんエスカレートしてゆく…。

「飛行士の妻」の思い込み男フランソワが、今度は女性になった感じでしょうか。端から見ていると「なんで、そうなるの!?」というサビーヌの的外れな行動ぶりに開いた口がふさがりません。さて、この勘違いオンナ、サビーヌを微笑ましく見られるか、それとも冷ややかに見てしまうか、これまた観客の印象は分かれてしまうところ。正直同性としては、鼻持ちならんオンナだなあってもありますが、主演のベアトリス・ロマンがとてもキュートで、他人事として見る分には、なんだか微笑ましい部分もいっぱい。

この作品の面白さは、一目惚れした弁護士エドモンドとの結婚妄想に走るサビーヌを誰もいさめないということなんですね。これがフランスの個人主義ってもんなんでしょうか。中でも一番の驚きは、母親の反応。なんだかんだ言って、最終的にはアンタの好きなようにやりなさいって、ところに落ち着く。こんなの日本じゃ考えられません。

それでも、お騒がせ少女の周りにいる人たちは、彼女に同調したり、慰めたり、本当に大変。サビーヌがひとりで空回りしているから、周りの人たちとの会話も全然噛み合ってない。このズレを楽しめるのは、観客がいちばん客観的な立場にいるからこそ。ちょっと「アメリ」なんかも、感じが似ていますね。適当にあしらっていたエドモンドがサビーヌに押しかけられて、ようやく「キミとは付き合えない」と宣告する。男たちよ、態度をはっきりさせないと、オンナって生き物は妄想で突っ走るから気をつけたまえ、という皮肉でいっぱいの作品かも知れません。

しかも、最終的には結婚するわけでもなく、むしろサビーヌの結婚願望は打ち砕かれてしまう。それで、「美しき結婚」というタイトルなんですから、その意地悪ぶりに笑ってしまいます。
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by galarina | 2008-10-22 17:42 | 映画(あ行)

飛行士の妻

エリック・ロメールって、とても好きな監督。特にちょっとした男女のすれ違いをベースにしている昔の作品群は、物語として大したことは何も起きないのに、どうしてこんなに面白いのと思えちゃう。ロメールは「○○シリーズ」と称して、連作を撮ることが多い。私の一番のお気に入りは春・夏・秋・冬にちなんだタイトルがついた四季シリーズだけども、今回は「喜劇と格言劇集」。これまでバラバラに見ていたので、最初から順番に見てみる。

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1980年/フランス 監督/エリック・ロメール
<1つめの格言:人は何も考えずにはいられない>
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「アパルトマンでの饒舌な長回し」

夜郵便局でバイトをしているフランソワは、夜勤明けに年上の恋人アンヌを訪ねるとアパートから男が出てくるのを見てしまう。アンヌは浮気をしていると思い込み、しつこい電話作戦、待ち伏せ作戦に出るけど、アンヌが逆ギレ。たまたま、同じバスで件の男を見つけ、今度は尾行作戦に出るのだけど、なぜか自分が尾行されているとこれまた勘違いした少女に付きまとわれてしまう…。ロメールの映画って、こうやってストーリーを書くと、ほんと大したことないんだなあ(笑)。こんな物語のどこが面白いの?って感じでしょ。

年下で学生のフランソワは年上の彼女アンヌに対して、いろいろとひけめを感じている。それが、余計にいらぬ疑念をよんでしまうんだけど、彼のその若さゆえの直情的な行動をカワイイと思えるか、うっとおしいと思えるか、見る人によってそれぞれでしょうね。正直、私はこの子ウザいな(笑)。

勘違いが勘違いをよんで、なぜか浮気相手でもない男を、なぜか偶然出会った少女と尾行するはめに陥る。このどんどんズレていく感じは、見ていてとっても楽しい。「私をつけてたんでしょ?」「違うよぉ~」という誤解から始まり、最終的にはカフェで恋の相談に。で、この間、フランソワと少女リシューはのべつまくなしにたわいもないことを喋り続ける。この「たわいもない」おしゃべりの楽しさがポイント。全然、中身のない会話で、ただおしゃべりしてるだけで、これだけ間を持たせられるっていうのは、すごいテクニックだと思う。それは、セリフの間とかテンポが良いこと、ふたりの会話がとても自然なこと、尾行しているハラハラ感がちょっとしたアクセントになってること。いろんな要素が溶け合ってるんです。

公園での長い尾行が終わり、ラストはアンヌの部屋。真偽を問い糾そうとするフランソワに、頼むから帰ってくれと懇願するアンヌ。この辺りからカメラは嘆き、怒り、涙するアンヌを延々と撮り続ける。一体、何分ぐらいあるでしょう。10分はゆうに超えてると思います。でも、全然空気がだれないってのが凄い。

長回しって、視点をある程度の時間固定することによって、観客がまるでその場にいるかのような錯覚を持たせる効果があると思います。でも、そこにちょっとでも不自然な雰囲気が漂うと、途端に居心地が悪くなる。例えば、先日見た「ぐるりのこと」でも、今日はセックスをする気がしない、いやしなくちゃいけないと、夫婦が何ともくだらん会話を部屋で延々とする長回しがありました。これも、やってることは同じなんですよね。だけど、こっちは見てていいかげん、カメラ切り替わんないかな、なんて思っちゃった。

本作の場合、部屋のベッドに下着姿でぺたりと座りこむアンヌという、実にミニマムな構図。このスクリーン上に余計な物が何もないって言うのがいいんでしょうね。元カレに決定的な別れをつげられ、年下の男にはいらぬ嫌疑をかけられ、くたくたになったアンヌから発せられる泣き言にじいっと耳を傾けてしまう。この繰り言は本当に脚本に書かれたセリフなんだろうか、と疑ってしまう。また、ロメールはパリらしい小さいアパルトマンの部屋の中のシーンというのがとても多くて、よくこんな狭い空間で面白い映像が撮れるもんだなあと感心してしまうのです。
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by galarina | 2008-10-20 16:54 | 映画(は行)

グレースと公爵

2001年/フランス 監督/エリック・ロメール

「これは映画なの?まるで油絵の世界」

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御歳81歳の巨匠、エリック・ロメールが描くフランス革命、となれば、ベルばらファンとしては見ないわけにはいかないでしょう。んでもって、とってもとってもステキな作品でした。かなり感激。

まずですね、さすが本家本元のフランス人が描くパリは、リアル&ビューティー。衣装や小物、セットが実に「らしい」感じ。いえ、何も豪勢な感じではないんですよ。「SAYURI」における、真っ赤な長襦袢や桜吹雪で、そうじゃないんだよって日本人が感じる違和感あるでしょ?あれと同じで、フランス人の手によって作られたこれぞ正真正銘の「パッリー」って雰囲気。

しかも、本作、街並みは油絵!で人物をCG合成している。実は、最初CGがらみってことを聞いて見るのをやめようかと思ったんですけど、これがめちゃくちゃしっくりきてるんですねえ。感激したのは、その油絵独特の濃淡が屋内撮影でも存分に導入されていること。ベッドに横たわる貴婦人、紅茶を飲むオルレアン公、針仕事をするメイド…何もかもが本物の油絵みたいなの。これには驚きました。とにかく、明度の低い映像なのに濃淡の出方がスゴイ。

さて、舞台は、革命まっただ中のパリ。主人公は、英国人で王党派のグレース・エリオット。彼女は、イギリスからルイ16世の元にやってきて、その美貌と知性から国王のいとこであるオルレアン公の愛人になった人物。愛人関係を解消した後も、二人は恋愛を超えた信頼関係で結びついている。彼女の視点から当時のパリを描くわけだけど、フランス革命はバッチリ!と思っていた私も彼女のこと、知りませんでした。まだまだ勉強不足だなあ。

グレースはイギリスから来た外国人でありながらもフランス王室を愛している。そんな彼女が誇りを持って立ち居振る舞い、革命の嵐に翻弄される男たちに毅然と自分の意見を述べる。フランス革命って、これまでアントワネットの立場でしか見てないもんだから(笑)、周辺人物の口から語られることが何もかも新鮮でした。結局オルレアン公は、革命を指示する側に周り、グレースとは思想的には対立するわけです。しかし、二人の愛情は変わることがない。これが、いかにもフランス的大人の関係だと思いませんか。実にエリック・ロメールらしい。愛情を超えた信頼関係ってどうなの、なんて凡人は思ってしまいますが、知性と教養にあふれた男と女ならば可能なのですね。

まあ、とにかく絵の美しさと時代を映し出す再現力、そして恋愛を超えた大人の男と女の物語を存分に堪能いたしました。ただ、ひと言。フランス革命に詳しくないと、時代背景さっぱりついていけないと思います。なーんも説明ありませんから(笑)。詳しくない人は事前のお勉強が必要かもね。
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by galarina | 2007-10-04 23:04 | 映画(か行)