「カーサ・ガラリーナ」にお引っ越ししました


by galarina
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タグ:イギリス映画 ( 21 ) タグの人気記事

ブーリン家の姉妹

2008年/アメリカ・イギリス 監督/ ジャスティン・チャドウィック
<TOHOシネマズ梅田にて鑑賞>

「ため息のDNA」

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タイトルが「ブーリン家の姉妹」ですので、ひとりの男を奪い合う姉妹の確執にとことんスポットが当てられています。ですので、史実をひねり過ぎはないかとか、王様は政治もせんと女のことで頭がいっぱいすぎる、と言った突っ込みどころは満載なのです。それでも、ある程度は歴史的に間違いないのですから、このドロドロ劇をとことん堪能しようではありませんか。本当のところは、もっと悲惨な物語が隠されているようですし。

多くの方が連想されたように、観賞後私も「大奥」を思い出しました。政治の道具として利用される女性たちの波瀾万丈な生き様。その人間性などまるで無視されたようなひどい扱いぶりに同性として腹立たしい思いでいっぱいになる。ところが一方で、誰が生き残るのか一寸先は闇というサバイバルゲームをワイドショー感覚で楽しんでいる自分がいる。そんな自分に嫌悪感を感じたりもして。結構、この手の作品って、「かわいそう」と「オモロイ」のアンビバレンツに悶え苦しむのです。これは、きっと女性特有の感覚でしょうね。

そして、生まれた赤ん坊が「女の子」であった時の静寂。喜ぶ者はひとりもいない。無音のスクリーン。でも、私にはため息が聞こえるのです。女で残念、と言う皆々のため息が。命の誕生。それは、最も喜ばしき瞬間。なのに、女はこうして何世紀もの間、女で残念という刻印をDNAに刻み込まれ続けてきているように感じて居たたまれなくなる。だから、晩年のメアリーは幸福に過ごした、というラストのナレーションにも安堵感を感じるどころか、ごまかしのように聞こえる。やっぱり、この手の作品を見ると、女性として賢く生きるって、なんだ?と思わされるのです。だって、男性として賢く生きる、という文脈は存在しないでしょう?

さて、作品に戻って。フランス帰りで洗練されたというアンが、「あんま、変わってないやん」というところがちょっと残念。史実では6年も待たせたんですってね。だったら、なおさら変身ぶりを見せて欲しかったなあ。宮殿もセットを組んだということですし、衣装も豪華絢爛。歴史大作としてのスケール感はかなり堪能できました。女性が頭にかぶっている、顔を五角形の鋲なようなもので覆うアレはなんというのでしょうかね。既婚者がかぶるものでしょうか、ずいぶんイカツイ。フランス王朝のロココファッションは、もっと軽やかで優雅なんですけど、そういう違いも面白かった。

それにしても、やっぱりイギリスは階級社会。「大奥」ならどんなに身分が低かろうと男の子さえ生めば安泰なのに、正式な王位継承者でなければ私生児でしょ。アンにしてもメアリーにしても、王を取り巻く貴族たちが出世するための道具。「大奥」でも男たちの出世のためにという背景はあるけど、「大奥」という箱は与えられているので、案外日本の方が環境は上かもと思わされます。だって、アンの最期はとても壮絶なんですもん。「エリザベス」及び「ゴールデン・エイジ」が未見なので、基礎知識ができたことだし、見てみようと思います。
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by galarina | 2008-11-05 15:07 | 映画(は行)

ホテル・ルワンダ

2004年/イギリス・イタリア・南アフリカ 監督/テリー・ジョージ

「究極の選択」

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ヨーロッパ人が統治しやすいようにと勝手に振り分けられた「ツチ族」と「フツ族」。第三者の目から見れば、不条理極まりない闘争も、いったん火が付けば、誰もが当事者となり、己の名誉や欲のために、敵を殺すしか道はなくなるのか。同じ人種でも、いがみ合い、殺し合う悲しさ。そして、間に入れど手をこまねいているしかない国連軍。彼らの姿に何もできない自分をつい重ねてしまいます。そんな無力感が増せば増すほど、自分のふがいなさに打ちのめされる。それが昨今の戦争映画で味わう苦々しさです。

ところが、ポールという人の生き方については、深く考えさせられました。ポールはヒーローになりたくてあのように行動したわけでもないし、根っからの善人であったわけでもない。そこにこの作品の見どころがあるという意見には私も賛成します。しかしながら、もう一歩踏み込んで、ポールは常に「Aを取るか」「Bを取るか」という二者択一の場面で、「私」よりも「公」を、「利己」より「利他」を選択します。そこに私は深く感動しました。ただひとりのちっぽけな人間の選択。それは、私にもできる選択。しかし、あの究極の局面でそれが私にできるだろうか、と。また、ホテルの支配人として培った交渉術、人の扱い方が随所で活きてくるのですが、これもまた然りです。窮地に陥った時に我が身を守るための何かを自分は身につけているだろうか、と。

図らずも紛争に巻き込まれてしまった普通の男の物語という様相を呈しつつも、究極の選択をあなたはできるか、と問いかけられているような気持ちになりました。己の選択に慌てふためくでもない、悦に入るでもない、等身大のポールを演じるドン・チーゲルも光ります。いい作品です。
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by galarina | 2008-10-08 16:36 | 映画(は行)

イースタン・プロミス

2008年/イギリス・カナダ・アメリカ 監督/デビッド・クローネンバーグ
<京都シネマにて観賞>

「暴力の刻印」
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前作「ヒストリー・オブ・バイオレンス」に引き続き、暴力がテーマのクローネンバーグの新作。ロンドンにおけるロシアンマフィアの世界を独自の世界観で描き出していて、力強い映像美を堪能しました。主演のニコライを務めるヴィゴ・モーテンセンの存在感がすばらしく、どのショットも「絵」になります。最初に出てきたときからボスのような存在感で、運転手なんてチンケな仕事には全く見えませんでした。最も気に入ったのは、真っ赤なソファに半裸で寝そべり、タトゥーを入れてもらうところ。非常にエロティックで官能的なショット。もちろん、真っ裸のサウナでの格闘シーンもド迫力。互いにタイルに叩き付けられ、グチョッ!グニャッ!と言う音が聞こえてきそうな生々しくて、痛いシーン。このあたりの描写はクローネンバーグの真骨頂と言った感じです。

マフィアの血を受け継ぐ赤ん坊、レイプされた少女の日記、ロシアンマフィアの証明であるタトゥー。それぞれが、暴力のメタファーとなって、物語が絡み合い展開します。それぞれに共通する今回のテーマ、私は「刻まれる暴力」と捉えました。赤ん坊は「血」に、日記は「文字」に、タトゥーは「体」に、暴力が刻み込まれている。それらは、決して逃れられない、変えることのできない悲しい運命のように見えます。しかしラスト、赤ん坊の行き着く先と共に、ほのかな希望が映し出される。己の血の中に暴力の刻印を残す赤ん坊は、その過酷な運命を逃れたのかも知れないと。

ところが一方、己の体にタトゥーを刻んだニコライの行く末は、実に曖昧としたまま終わります。まあ、このラストカットのヴィゴが実にカッコイイのですけどね。ネタバレになるので書けませんが、実はこの作品、ちょっとしたどんでん返しがあります。それを含めて、ニコライがどういう道を選択するのか、実に余韻が残るエンディングです。

それにしても、渋さ全開。ロシアンマフィアという存在についてあまり知りませんでしたので、その世界が非常にミステリアスですし、履歴書となっている全身タトゥーも凄い。大人の映画、という雰囲気満点でした。ナオミ・ワッツ好きとしては、もう少し彼女をいじめて欲しかったかな、なんて思ったりして。いえいえ、困難な道を敢えて選択し、苦悩する役どころが彼女は実に巧い。ロシア製のオートバイを乗り回し、マフィア相手に真っ向から立ち向かう女性を熱演していました。ヴィゴとベッドシーンでもあるのか期待しましたが叶わず。クローネンバーグの描くねっとりとしたベッドシーンが好きなので、そこんところはやや欲求不満。次作に期待します。
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by galarina | 2008-07-31 14:52 | 映画(あ行)

クイーン

2006年/イギリス・フランス・イタリア 監督/スティーヴン・フリアーズ

「スポットライトの当て方が弱い」
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イギリス女王の孤独と誇りを訴える。これ、ダイアナ死後の約1週間という短い期間では、いささか時間不足ですね。それに、彼女の焦燥の火種となる描写に、当時のニュース映像をインサートするという手法が、ちょっとずるいなと思う。事実として説得力はあるかも知れないけど、それを使わずに表現してこそ、もっと上質な映画になったのではないかと思うのです。

結局、この作品を見るに、イギリスではダイアナなくしてイギリスの王室は語れない、ということ。ですからむしろ、ダイアナの何がそこまで国民の心を捉えたのか、という方に興味が湧きます。そして、鑑賞後そのような感想を持ってしまうこと自体、女王そのものを描ききれなかったという欠点を露呈しているんではないしょうか。

ただね。前半部は結構興味津々で見ました。これ、ひとえにゴシップ心が満たされるからなんですね。ダイアナが亡くなった時、王室ってこんなんだったんだ、なんて。だから、ダイアナを取り巻くメディアだとか、それを利用するブレアだとか、まるで「週刊女性」を読んでるような感覚になっちゃうんです。そこんところがね、(冒頭述べたニュース映像もそうですけど)最終的に王室の威厳とか尊厳に落とし込めない大きな障害じゃないでしょうか。そして、このゴシップ感覚が最後まで抜けきらない作品で最優秀主演女優賞?と言う気がします。

女王の気持ちは理解できます。「なぜ、あの女ばかりがもてはやされる?」慎ましやかに伝統を守って生きるより、メディアに出て批判する方がよっぽどラクですもんね。でも、彼女の心の奥底には、何が渦巻いていたのでしょう?ダイアナへの嫉妬か、国民への失望か、理解者を得ぬ孤独か。その辺、もっともっと研ぎ澄ませて欲しかった。意を決して、バッキンガム宮殿に降り立つ彼女の後ろ姿に、もっと心の奥底から込み上げるような感情を味わいたかったのにできませんでした。
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by galarina | 2008-07-13 17:56 | 映画(か行)

明日へのチケット

2005年/イタリア・イギリス 監督/エルマンノ・オルミ、アッバス・キアロスタミ、ケン・ローチ

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有名監督による3部作ですが、どれも甲乙つけがたいほどいいですね。もう随分昔の話ですがユーレイルパスでヨーロッパを列車で旅すること、3回。「パリ、ジュテーム」に引き続き「ヨーロッパ行きたい病」に胸を掻きむしられる思いです。それにほとんど列車内の映像なのですが、あの揺れまくる列車の中で一体どうやって撮影したのだろうと驚くばかりです。通路は狭いし、機材の持ち込みも大変だったでしょう。また、あれだけ窓があれば、撮影スタッフは映り込みそうなものです。これは編集段階で処理するようなことがあったのでしょうか。いずれにしろ、その撮影の苦労を微塵も感じさせないような、軽やかで爽やかな作品に仕上がっているのが本当に素晴らしいと思います。

エルマンノ・オルミ監督による第一話
女性秘書に思いを馳せる老教授の食堂車でのほんのひと時のお話。ただ、彼女を思い出してあれこれ想像を膨らませるというだけですが、なんとまあ豊穣な世界が広がっていること。私はこの作品が一番好き。初恋の思い出も交えながら、回想と妄想が交錯する様が絶妙です。別れの後、揺れる列車内で、あれやこれやと思いを巡らせる経験は誰にでもあるはず。老人の妄想は控え目でありながら、彼女に触れられたいという欲望もちらりと覗かせます。そして、ヴァレリア・ブルーニ・テデスキの何と麗しい表情。彼女の作品は結構観ているのですが、実に印象的な佇まいで魅了されました。

アッバス・キアロスタミ監督による第二話
窓に映り込む景色がとても美しいのです。青年兵士がうつろな表情で窓外を見やる。その背景に流れゆく木々の緑。老婦人に翻弄される彼の心情の揺れと見事にオーバーラップしていきます。この老婦人と青年は一体どういう関係なのかを推察したり、携帯を取られたと喧嘩になったその行く末にハラハラしたり、他の2作に比べて様々な不安が呼び起こされます。しかし、この車内の一角という限られたシチュエーションで、気持ちのすれ違いが起こす人情の機微を鮮やかに切り取っています。実に味わい深い作品。

ケン・ローチ監督による第三話
切符がない。よくあることです。そこから、まさかこんな心温まる物語に集結するとは思いもしませんでした。切符は盗まれたのだと主張する赤毛の青年の何と腹立たしいこと(笑)。そんな彼が勇気を出せたのは、難民たちが同じ車両の乗客だったからと考えるのは言い過ぎでしょうか。同じ空間の中で、同じ方向に向かって、同じ揺れを感じて旅をすることで生まれる連帯感。しかし、列車を降りれば、もうその繋がりは消えてなくなる。その刹那的な出会いに列車の旅の醍醐味が詰まっています。セルティックの応援歌は、そのまま旅ってすばらしいと言う賛歌に聞こえた、実に鮮やかなエンディングでした。
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by galarina | 2008-06-14 15:38 | 映画(あ行)

ジギー・スターダスト

1973年/イギリス映画 監督/D・A・ペネベイカー

「ここに宇宙人がいます」

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「プレステージ」のボウイがあまりにステキだったもので、久しぶりに昔の彼を見てみたくなり観賞。ロックの殿堂と言われるロンドンのハマースミス・オデオンが会場ですが、ここ、YMOオタクの私としては、彼らの2度目のワールドツアー会場でもあり感慨深いものがあります。

私がボウイを知った時、既に彼は「ロックスター」ではなく「ポップスター」でした。ナイル・ロジャースがプロデュースした「レッツ・ダンス」が大ヒットし、日本でも行われたのが「シリアスムーンライト・ツアー」。当時16歳だった私もこのコンサートを観に行きましたが、あまりに妖艶で完璧にノックアウトされました。確か「チャイナ・ガール」の中盤のインスト部分でくるっと観客に背中を見せ、両腕で自分の体を抱きしめ、正面から見るとまるで女と抱き合っているかのように腰をくねらせ踊る。そのセクシーな後ろ姿は、今でもありありと思い出せます。

生のボウイを見て、いよいよこの人はただ者ではないと悟り、グラムロック時代まで彼を遡っていくことに。この作品のボウイは、そのロックスターを極めた最高潮の時のライブです。ひと目見て思いますよ。この人は人間じゃないって(笑)。まさに、宇宙人がここにいますって、感じ。「プレステージ」のボウイを見て、宇宙人みたいって思ったのは、この感覚が綿綿と私の中に残ってるからだなあ、と再確認。

奇抜な衣装も見どころの一つ。山本寛斎も衣装を提供していると聞いたことがありますが、んまあ、こんな衣装一体誰が着るの!ってなくらい、キテレツもキテレツ。トップはパフスリーブの真っ白なブラウス、なのにボトムはまるでふんどし!で、素足に真っ白な膝丈のロンドンブーツですからね。ぶっとびまくりです。宇宙人が歌う「スペース・オディティ」は、観る者を遙か宇宙の彼方へ誘います。まるで、ドラッグにやられたように、虚ろな目の女の子たち。そりゃ、そうでしょう。今まさに観客たちは、さながら宇宙空間を漂っているような感覚にどっぷり浸っているんですもの。日本にも、ビジュアル系バンドなんてものがありますが、やはり足下にも及びませんね。本当のスターとは、こういう人のことです。
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by galarina | 2008-02-19 22:09 | 映画(さ行)

ラブ・アクチュアリー

2003年/イギリス 監督/リチャード・カーティス

「クリスマスよ早く来い!って気分にさせられる」
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まあ、イギリスのスターが勢揃いって感じですね。クリスマスを前に誰もがあったかい気持ちになれる良品と言ったところかしら。アクの強い作風が好みの私としては、ビル・ナイ扮する売れない中年ミュージシャンのエピソードがいちばん面白かったかな。新しくレコーディングしたクリスマス・ソングを自ら「クソみたいな曲」(全く同感!)と自虐的に言ってみたり、売れたからエルトン・ジョンのパーティに呼ばれたなんて話を入れたりして、業界を皮肉るような表現がイギリスらしくて面白い。

ヒュー・グラントが首相ってのは、かなりアリなんじゃないでしょうか。各国女性大臣はメロメロで、外交もスムーズに行きそうだなあ。そんな彼がややおデブちゃんの秘書に恋をするなんて、かなり好感度アップよね。本当に実現するかも。シュワルツネッガーの知事より、何十倍もスマートだわ。ポインター・シスターズの曲に乗ってノリノリで踊ってるヒューを見て、こりゃやっぱり「ラブソングができるまで」を見なきゃ、なんてことも思いました。この曲ディスコでよく踊ったもんです。

親友の妻に恋してしまった、大好きな相手と言葉が交わせない、と言う切ない物語があったかと思うと、ラブシーンのリハーサル専門の女優と男優がいつもすっぽんぽんで親交を深めていくなど、それぞれの恋のカタチのバリエーションがとっても豊かなのね。それが本作のすばらしいところ。恋のカタチは十人十色。それを巧みにまとめあげてる。ちょうどクリスマス3週間前からスタートするので、今が見頃かも。クリスマス気分を盛り上げるには格好の作品じゃないでしょうか。
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by galarina | 2007-11-29 23:15 | 映画(ら行)

サンシャイン2057

2006年/イギリス 監督/ダニー・ボイル

「かなり抑制されたSF作品」

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なぜか「中庸」という言葉を思い浮かべてしまった。SF大作と聞いてまず想像するのは壮大な物語とダイナミックな宇宙の映像だろう。しかし、本作品は、そのいずれもが抑制の効いた見せ方になっている。なるほど。映画館に見に行った方々の評価が芳しくなかったのもうなずける。シネコンにSF大作を見に行く人が期待するものを満足させてくれるものは、ここにはないかも知れない。

でも、私はそれなりに面白かった。それは、SFアドベンチャー的要素を過剰に盛り込まない行為、すなわち観客への裏切りを楽しむことができたから。まず本作、クルーをちゃんと紹介してくれない。宇宙船という閉じた空間で起きる人間ドラマ。ならば、まずはメンバー紹介をしてくれないとわからんではないか。なのに、物語はどんどん進む(笑)。しかも、イカロス1号はすでに行方不明になっているなど、まるで途中から見始めたような錯覚を覚える。ものすごく説明不足なのだ。これでつまずく人は正直多いかも知れない。しかし、私は、この語らなさは製作者の挑戦だと思って、そんなら受けて立つぞ、って気持ちになって一生懸命見てしまった。

「太陽の光に魅入られる」というコンセプトは、なかなか面白い。間近で見れば間違いなく視力を失う。なのにもっと近くで見たい、という欲求に逆らえないクルーたち。おそらくSFものって言うのは、宗教観とは切っても切れない。やっぱり宇宙に出ることは、神に触れることなのだろうし。でも、その宗教臭さの代わりに「太陽光」への畏敬の念をもってきた。それはなかなか新しい視点じゃないだろうか。

クルーが一人ずついなくなってしまう。まあ、ちょっと予測できる展開ではあるけど、最終的に核弾頭を投げ込む人物をヒーローにおだてあげたりしないのは好感が持てる。しかし、クルー同士の信頼や裏切りといった部分にもう少しドラマ性が欲しい。まあ、いろんな意味で裏切られる映画。そこを楽しめるかどうかですね。そして、全体的にとても地味なトーンなのに、船外で着る宇宙服だけが、目もくらむばかりのピッカピカの黄金宇宙服。これまた、妙な残像。
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by galarina | 2007-11-15 00:00 | 映画(さ行)

スターダスト

2007年/アメリカ・イギリス 監督/マシュー・ヴォーン
<TOHOシネマズ二条にて鑑賞>

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ニール・ゲイマンのベストセラー・グラフィックノベルを映画化したファンタジー超大作。越えてはならない壁の向こうに落ちた流れ星を探すため、壁の外に広がる魔法の国を旅する青年の冒険を描く。

確かに、ハリーにしろ、指輪にしろ、昨今のファンタジー映画ってのは、壮大になりすぎだと思う。それは、大人も一緒に見に行くんだ、というのをどう捉えるかってことにもなるんだけど、あんまりたくさん盛り込むと見ていて疲れるってこともあるわけで。その点、本作のようなおとぎ話というのは、見ていてラクなのね。子どもと一緒に見て、ただ単純に面白かったね!と言える。かくして、王子様とお姫様は結ばれました、めでたし、めでたし、という結末の作品は、最近なかなかお目にかかれないように思う。

物語はとてもオーソドックスで、さえない男の子が冒険の旅を経てたくましく成長する。そこに、王位継承の鍵である宝石探しが絡んできて、魔女やら王子やらがそれを追いかけて、主人公も巻き込まれていく。ただ、このお話のユニークなところは、空に輝く星が地球に落ちてきたら、美しい人間の女性の姿になっているということ。しかも、この落ちてきた星が「金星」なんですよ。「金星」=「ヴィーナス」でしょ。でも、演じるクレア・デインズがねえ…ちょっとヴィーナスってイメージじゃないのよね。もう少し華奢な人が良かったなあ。

魔女役のミシェル・ファイファーは、ちょっと気の毒なくらいフケメイク。美女になったのは一瞬ですからね、後はどんどんシミとシワが増えていく、という。いやあ、ツライ役だったろうと心中お察しします(笑)。でも、ラストの魔女の館での一騎打ちはなかなか迫力がありました。

王位継承者の7人の王子が次々と殺されて幽霊になるんだけど、王位が誰か決まらないと浮かばれないって言うんで、この世に浮遊してんの。で、殺し合った兄弟なのに、幽霊になった途端やたらと仲良くなっちゃって、あっちこっちでツッコミを入れる場面が面白い。強面の船長が実は変な趣味があった、とか、笑えるシーンがかなり多いのも良かった。

決して深いメッセージのある作品ではないけれども、旅の先々で空飛ぶ船に乗ったり、魔女と戦ったりっていうシーンは、やっぱり映画館のスクリーンだから味わえる醍醐味。それは十分に味わうことができました。
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by galarina | 2007-11-04 23:05 | 映画(さ行)

ラヴェンダーの咲く庭で

2004年/イギリス 監督/チャールズ・ダンス

「恋心を表現するさじ加減」
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時は1936年。初老のジャネットとアーシュラ姉妹は、ある夏の朝、海岸に打ち上げられた若い男を見つける。姉妹の看病により次第に回復したアンドレア。しかし、妹のアーシュラが彼に恋心を抱き始め…

冒頭、浜辺を散歩する老女二人の後ろ姿がシルエットのように浮かび上がる。ベテラン二大女優マギー・スミスとジュディ・デンチの競演ともちろん知っての鑑賞なのに、どっちがどっちなのかわからない。なぜなら、一人の老女の後ろ姿がとても小さくて儚げに見えるからだ。背の高さから言ってジュディ・デンチなのだろうが、雰囲気が彼女のイメージとはあまりに違う。果たして、やっぱり先のかわいらしい後ろ姿は彼女であった。

本作は恋する乙女を演ずるジュディ・デンチが見どころ。先日見た「あるスキャンダルの覚え書き」のイメージが残っていたせいもあろうが、あまりの豹変ぶりに驚いたの、なんの。もちろん、年を取っても恋することはすばらしい。だけども、嫌味を出さずに表現するのは難しい。時代設定もあるし、年甲斐もなくと言う世間体もあるけど、高ぶる気持ちを抑えつつ、恋する乙女の浮き足立つ様子をジュディ・デンチは巧みに演じていた。いそいそとおめかししたり、うるんだ瞳で見つめたり。彼がいなくなった時の落胆と嗚咽。叶わないのは承知の上でも、誰かに恋をすることでしか味わえない心の高ぶりを私も今ひとたび経験してみたい!と思わせてもらった。

まあ、実のところ、もうちょっと恋の行方が二転三転して、ドラマチックな展開になる方が好みなんだけど、この年の差だとリアリティがなくなっちゃうんだろうな。私が印象的だったのは、姉のジャネットが何かにつけて妹の名を呼ぶ「アーシュラ…」という響き。恋に走る妹を諌めたり、慰めたり、励ましたり。長年共に暮らしてきた姉妹だから、多くを語らずとも伝わるいろんな「アーシュラ…」と言うひと言にふたりの深い結びつきを感じた。話の中心は老女の恋だけれども、年老いた姉妹が互いに思いやりあう姿もとても素敵な作品。
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by galarina | 2007-09-12 23:14 | 映画(ら行)