「カーサ・ガラリーナ」にお引っ越ししました


by galarina
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タグ:アメリカ映画 ( 152 ) タグの人気記事

カンフーハッスル

2004年/中国・アメリカ 監督/チャウ・シンチー

「家族全員で大爆笑できる作品ってそうそうない」
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映画館で見たのに、テレビで見て、やっぱり爆笑しました。「○○の達人」の○○がどいつもこいつも、思わずぷーっと吹き出してしまうような馬鹿馬鹿しさです。こりゃ、まるでドラゴンボールだね、なんて言ってしまい、なんのこたーない、ドラゴンボールが香港クンフー映画に多大な影響を受けているんでしょうから、なにをか言わんやです。

馬鹿馬鹿しい描写があまりにクオリティ高くて、天晴れと言いたいです。本場クンフー映画の実力と、Mr.Boo以来、綿綿と培われてきたコメディセンス、そして最新のCG技術。何もかもが、馬鹿馬鹿しさに向けて最大限のパワーで集結しています。その圧倒的な「突き抜け感」が本当に見ていて気持ちいい。下品でしょうーもないギャグも多いんですけど、それらが脱線せずにしっかりと作品の中に組み込まれているのは、作り込みがしっかりしているからに他ならないと思います。見どころと呼べる格闘シーンが惜しげもなく次から次へと出てきて、家族全員で「がはは」と大笑い。これぞ、一家団欒の極みです。

主演のチャウ・シンチーは、とっても私の好みなんです。突然「気」の流れが変わったなんて、都合のいい展開もご愛敬。白いチャイナブラウスに黒いズボンとカンフーシューズを履いて、バッタバッタとなぎ倒す姿は素直に「キャー、カッコイイ~」。そもそも、私が20代の時クンフー映画にあまり興味が持てなかったのは、ジャッキー・チェンのルックスが…(以下省略)。と、いうわけで新作が6月下旬に公開されるようです。「少林少女」を楽しみにしていた息子につまらないらしいから止めておけ、と説得したオカンとしては、こちらに期待。インディの新作よりも、シンチーの新作を楽しみにしている親子であります。

少し話は変わりますが、実はこの「カンフーハッスル」をテレビで見た次の日に、日本の空手映画「黒帯」を見たんですね。(数日前にレビューしました)香港のクンフーは技のレベルの高さに加えて、エンタメ精神にあふれ、少々下品だろうか思い切り笑い飛ばすほどの大らかさ。片や、「黒帯」は神棚を奉った道場で鍛錬にいそしみ、横やりを入れるのは帝国陸軍の将校。なんだかね、もの凄い温度差を感じてしまったんです。やっぱりアクション映画はスカッとしている方が私は好きだな。
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by galarina | 2008-05-14 11:49 | 映画(か行)

最高の人生の見つけ方

2008年/アメリカ 監督/ロブ・ライナー
<MOVIX京都にて観賞>

「味わいが足りない」
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評判が良くて観にいったんですが、正直私は物足りなかったです。

二大俳優に頼りすぎで脚本に粗が目立ちます。そもそも死ぬ前にしたいことが、お金持ちでないとできないことばかりってのはいかがなもんでしょう。もちろん、エドワードとカーター、双方の願いを叶えていくわけですが、どうせ死ぬならゴージャスにやりたいことをやってしまおうぜ。そんなことばかりが目立っています。反発しあっていたふたりの関係性が、もう二転三転してさらに友情を深め合う展開にして欲しかった。エドワードの娘との再会も含め、後半あまりにもさらっと行ってしまいます。こんな展開、私でも書けそうって言ったら言いすぎでしょうか。

神を信じないエドワードと信心深いカーターという設定なのも、そこで反目しあったり、亀裂が生じたりするのかと思いきや、何もなし。じゃあ、なぜそんな設定にしているのかと突っ込まずにはいられません。あちこちに「思わせぶりな伏線」を敷いていながら、結局それらは単なる味付けとして存在しているだけで、物語そのものを突き動かすものではない。「死」を前にした人間同士だからこそ、もっと絞り出すような感情表現やエピソードがあってもいいのではないでしょうか。葬儀での泣かせるスピーチの後「知らない人のために役に立つ」という項目にチェックを入れる。ここだけは、面白いひねりだと思いましたが、あとは全てが予測どおり。下手に泣かせようとしていないのはいいですが、深みが足りなかった。

そして、この邦題はどうでしょう。「最高の人生」そこまで断言しちゃう?そりゃ、ありあまるお金があればね、と皮肉りたくなります。原題は「THE BUCKET LIST」で、劇中では「棺桶リスト」と訳されているのですが、BUCKETっていわゆるバケツのこと。アメリカでは、この単語が棺桶と言う意味を持つのでしょうか。その辺り、英語に詳しくないので何とも言えませんが、バケツなんてものが比喩として使われていることには、何か自嘲的な意味合いが込められているような気がしてなりません。「死ぬまでにしたい10のこと」(こちらは秀作)という邦題を意識して、敢えてかぶらないようにしたのでしょうか。原題が持っている(のかも知れない)悲哀をこの邦題が遠ざけてしまったように感じます。
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by galarina | 2008-05-13 22:17 | 映画(さ行)

スパイダーウィックの謎

2008年/アメリカ 監督/マーク・ウォーターズ
<109シネマズ箕面にて観賞>

「ぴりっと小粒で」
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人間を脅かす存在の妖精が森に住み、主人公の屋敷の周りには妖精たちの侵入を防ぐためにストーンサークルが敷かれている。本作のこの基本構造、日本で言うところの「鬼」と「結界」とそっくり。なので、感覚的な部分で日本の子供たちは全く違和感なくこの世界に張り込めるのではないでしょうか。その後展開される出来事も屋敷と家族にまつわることに終始していて、実にコンパクトで身の丈サイズのファンタジーと言えます。

開けてはならない本を開けてしまう、やんちゃな主人公の言うことをママが信じてくれない、などお決まりなパターン部分もありますが、グロテスクでリアルな妖精の造形が面白い。妖精と言うよりもクリーチャーと呼ぶのがふさわしいような生き物ばかり。ちょっと気味悪かったり、おバカだったりして、愛嬌があります。また、妖精の秘密を知ったスパイダーウィック氏は囚われの身になっているというビターな展開も、大人の観賞に堪えうるストーリーと言えるでしょう。原作を読んでいないと楽しめないということもないですし、老若男女、年齢を問わず、誰が子供と一緒に見ても楽しめるという点において、とても評価できる作品じゃないでしょうか。ラストのオチもなかなか面白いです。
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by galarina | 2008-05-11 16:59 | 映画(さ行)

ノーカントリー

2007年/日本 監督/ジョエル・コーエン
<TOHOシネマズ梅田にて観賞>

「ハビエルの不気味さをとことん味わうことこそ、この作品の醍醐味」

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ずいぶん前に見に行っていたんですが…。

「アカデミー受賞」という冠は鑑賞者に、どうしても様々な先入観を与えてしまうので、良し悪しだと思うのです。私もこれまでコーエン兄弟の作品は「ブラッドシンプル」や「ファーゴ」「バーバー」など何作も見ていますが、個人的にはウマが合わない監督です。確かに映像は非常にスタイリッシュだと思うのですが、彼が取り上げるテーマにあまり共感できた試しがありません。というわけで、この「ノーカントリー」ですが、やはり「なぜこの作品がアカデミーを獲ったのか」という目線でどうしても見てしまうんですよね。それは、避けた方がいいに違いないのですが。

さて、本作はとどのつまり、物語としてはとてもシンプルで、最近の犯罪はワシの手に負えんとサジを投げる老保安官の物語。もちろん、そこには1980年のアメリカが投影されていて、その一時代を見事に切り取った作品なんだろうと思います。現代アメリカを考察するにも、この時代がターニングポイントとして重要ということでしょう。現金を持ち逃げするのが、ベトナムからの帰還兵であるということもミソで、例えば一部をネコババしてしらを切ることもできるのに、まるで自ら地獄行きを望むかのように、または自ら挑戦するかのように、全ての現金を持ち逃げしてしまいます。

そこには、ベトナムで味わった敗北感を取り戻すためとか、いろんな理由を見つけることができるのでしょう。ルウェリンのようなベトナムを経験した人なら、ルウェリンがなぜあそこまで全額強奪&逃避行にこだわったのか、十人十色の理由がひねり出せるのかも知れません。

そして、亡き父の後ろ姿を夢に見たというラストシークエンスも、アメリカという国そのものが持っていた父性の喪失、ということでしょう。ここは、非常にわかりやすいエンディングです。殺し屋が象徴するところの理解不能なものに押しつぶされていく、アメリカ人の苦悩、嘆き、あきらめetc…。

しかしですね、アメリカの来し方行く末に興味のない私にとっては、正直勝手に嘆いてらっしゃい、という感じなの。ぶっちゃけ、アメリカ人がアメリカを憂うという構図に何の感慨も持てないし、どう転ぼうとアメリカのやることは全て自業自得。外部の圧力によってにっちもさっちも行かなくなっているアフリカ諸国などの状況と比べると、憂う前にアンタが世界にまき散らしている悪行をまずは何とかしなさいよ、とか思ったりしてしまうのです。あまのじゃくですから。

しかし、この湿っぽい自己反省のような作品を俄然エンターテイメントとして面白くさせているのは、とにもかくにも殺し屋シュガー(ハビエル・バルデム)の不気味さにあります。彼の存在感がその湿っぽさを凌駕している。そこが面白かった。そして、その不気味さをあの手この手で印象的に見せる演出に、コーエン兄弟でしかできないオリジナリティがあふれています。スイッチの入っていないテレビの暗いモニターに映るシュガーのシルエット、アスファルトでごろごろと引きずられるガスボンベ。

最も秀逸だったのは、ガソリンスタンドのおやじとの全く噛み合わない会話の後のコイントスのシーンでしょう。理解できない、意思が通じない、そんなコミュニケーション不全を見事に表現しています。ここは本当に恐ろしかった。見終わった後だからこそ、これがなぜアカデミーなの?とか考えますけど、観賞中は、とことんシュガーの不気味さに圧倒され、ラストまであっと言う間。神出鬼没の殺し屋が引き起こす脇の下に汗をかくような緊張感をとことん楽しみました。
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by galarina | 2008-05-08 09:57 | 映画(な行)

ショートバス

2006年/アメリカ 監督/ジョン・キャメロン・ミッチェル

「その孤独はセックスでないと埋められないのか」
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人間とは何て哀しい生き物なの。誰も彼ももがき苦しんで、ほんのちっぽけでもいいから、誰かとの絆を求めている。その性の有り様が赤裸々であればあるほど、その滑稽さの向こうにそれぞれが抱える孤独が透けて見える。誰かと繋がっていたい。その欲望を満たすのは、文字通り肉体的に繋がるセックス。

ありとあらゆるセックスのカタチが描写される本作。J・C・ミッチェルのチャレンジャー精神はすごいと素直に感嘆。バイブレータのネーミングは「愛のコリーダ」ですか。セックスを通して、人間存在そのものを捉えようと言う意欲は伝わる。

しかしである。果たして人生セックスが全てなんだろうか。そんな疑問も覚えて当然。心から愛する人のものを受け入れられないことは絶望なの?愛する人とのセックスでオーガズムが得られなければ不幸なの?そんなはずはないのだ。そっと肩を寄り添うだけで、手と手を握り合うだけで満ち満ちた幸福感を得られることはある。しかし、そう断言できる私は今幸福だからなんだろう。もっと深く、深くと相手を傷つけてまでも、求めずにはいられない。それほど、彼らの心の空洞は大きい。もしかしたら、この映画は自分の幸福度を知るリトマス試験紙なのかも知れない。彼らの渇望が理解しがたければしがたいほど、今の自分は幸福なのかも。

それでもなお、一人ひとりが抱える孤独の由縁をもう少し丁寧に描いてくれたら、と言う思いは残る。やはり、同性として、ただひたすらにオーガズムを追うソフィアの姿は、目を覆いたくもなった。叡智を意味するソフィアと名付けられていることから、監督が彼女に込めた意図は慮ることはできるものの、背景の少なさから彼女に共感するのは、とても困難。肉体的反応としてのオーガズムを得られたからと言って、果たしてその向こうに幸福が広がっているのか、と言う疑問はぬぐえない。

ラストに提示されるのは、性の解放区とも呼ぶべき楽園。狂おしい渇望にあえぐ人たちへ贈るハッピー・エンディング。9.11後のN.Yに、どうか希望が生まれますようにと言うJ・C・ミッチェル願いがそこに現れている。
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by galarina | 2008-05-02 15:52 | 映画(さ行)
2006年/アメリカ 監督/マーティン・キャンベル

「ボク、スパイなんかやめます」
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冒頭のパルクールの第一人者セバスチャン・フォーカンを追い詰めるシーンがすばらしい。CGやワイヤーを使わずに、限界まで走って、走って、跳びまくって。追いかけっこという極めてシンプルなアクションシーンを最初に持ってきたことで、この映画は生身の体で勝負するんだ、ということがよくわかります。ダニエル・クレイグはよく付いていってますよ。このシーンでもうお腹いっぱい!

もともと007シリーズには、何の思い入れもなく、すぐに女とデキちゃう無敵のスパイなんて、むしろ興味がない方。しかし、ダニエル・クレイグは、しっかり体張ってアクションシーンこなしていて天晴れです。というよりも、陳腐なストーリー展開はもう時代に受け入れられなくなったってことでしょう。人間だから失敗もする。そのリアリティを逆手にとって、新たなボンド像を創り上げた。このボンドには母性本能をくすぐられます。スマートと言うよりもダメ男テイストの方が強い。だって、辞めますってメール1本はないだろうよ。でも、体はスゴイんですって、ことで許す(笑)。007シリーズは、すぐに女を引っかけるもんで男性向けと思ってましたけど、新たな女性ファンをしっかりつかみましたね。

それにしても、旬の映画です。旬を逃して見ると、それだけ味も落ちちゃう感じがする。公開時、話題になっている時に見るべき作品だと思わされました。だって、せっかく見たのに、今頃見てやんの~って指を差されてるような気分。それはつまり、話題性や新鮮味にあふれた作品ってことですから、Newボンド誕生は、大成功ってことだったんでしょう。次作は映画館で見ます。
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by galarina | 2008-05-01 15:08 | 映画(さ行)

タロットカード殺人事件

2006年/アメリカ 監督/ウディ・アレン

「ウディ、ますます絶好調」
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なんとまあ、肩の力の抜けた軽やかな作品でしょう。これは、まるで老練なJAZZミュージシャンのアドリブ演奏のよう。これまで、何度も何度も演奏してきたからこそ出せる味わい、隙のなさ。ウディ監督、ロンドンに拠点を変えてから、ますますノリにのっていませんか。実に楽しい95分でした。

前作はセクシー路線だったスカーレット・ヨハンソンが本作ではキュート娘に変身。スカーレットのプロモーション・ビデオだと感じる方がいたら、それこそこの映画のすばらしさの一つかも知れません。といいますのも、このサンドラは記者志望の割にはおマヌケですし、すぐにオトコに引っかかるし、本当はどうしようもないキャラ。でも、非常に魅力的に見えるのは、ひとえに彼女の演技力とウディの演出のおかげでしょう。ビン底丸めがねをかけ、口を開けて歯科矯正の器具をパカパカと動かす彼女のかわいさと言ったら!こんな仕草が愛らしいなんて、ちょっと他の女優では考えられません。次作では、どんな女性を演じるのか、今から楽しみ。(って、次も出るって勝手に決めつけていますが)

背景は殺人事件ですけど、んなこと何の関係もないですね。まあ、本当にどーってことないお話で、素人探偵のドタバタ喜劇です。だって、現場になんでタロットカードが置いてあるかなんて、真相はちっとも明らかにされませんもの。でも、テンポが良くて、ユーモラスで、みんなおしゃべりで、何もかもがいつものウディ流。このワンパターンノリは、まるで吉本新喜劇のようです。ラストのドッチラケなんて、吉本ばりに椅子から転げ落ちそうになりました。それでも、こんなに小粋なムードが出せるんですもんね、流石です。どこまでも我が道を行くウディ・アレンに感服致しました。ああ、楽しかった。
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by galarina | 2008-04-20 23:35 | 映画(た行)

キング・コング

2005年/アメリカ 監督/ピータ・ジャクソン

「予想外の傑作」
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仕事帰りにしょっちゅう行くビックカメラ京都店のJR連絡口ド真ん前の62インチ液晶でいつもいつもこの映画を流してました。(この前行ったらようやくスパイダーマンになってた)いやはや、ビックカメラのチョイスは正解!これ、大画面で見たら迫力倍増でしょう。初めて我が家のテレビの小ささが悔しく思えました。

ナオミ・ワッツ好きで随分前にレンタルしていたのですが、ゴリラと人間の愛ってどうよ…と結局見ないまま今に至り激しく後悔。実に型破りなパニック怪物映画の傑作でした。次から次へと現れる恐ろしい生き物たち。そもそも最初の原住民たちの描写に度肝を抜かれるんですが、休む間もなく恐竜は現れるわ、超キモいムカデやら軟体動物やらが襲ってくるわで、息突く暇もありません。また、これら島に棲む者どものCG描写のレベルの高さに圧倒されっぱなしでした。結局この孤島でのサバイバルが171分という長尺の実に2/3ほどを占めているんですが、全くダレません。さすが指輪三部作を撮り上げたピータ・ジャクソン。

そして、何と言ってもナオミ・ワッツ。「マルホ」「21g」よろしく、極限状態で脅える演技が最高です。おまけに、スリップ一枚で泥だらけになって、飛ばされるわ、走らされるわ、叫ばされるわ。よくぞ、ここまでやりました。精神的に追い詰められる役もたいへんでしょうか、これほど体力的にハードな仕事をこなすのも一筋縄じゃ行かないと思います。惚れ直しました。

アンのコングに対する感情的なセリフが非常に少ない。ここがいいんです。こういうシチュエーションだと、コングに対して「私が助けてあげるわ」とか「かわいそうに」なんて話しかけたりしがちじゃないですか?大衆に対しては「彼を見世物にしないで!」とかね。でも、そういうしみったれたセリフが一切ないんですよ。途中で気がついて、注意深く見ていたのですが、徹底的に陳腐なセリフをカットしてます。このハリウッド大作特有の生っちょろさ、わかりやすさを排除していることが、作品に凄みを与えています。終盤のNY凱旋以降は、人間のエゴイズムがぐいぐいと迫り、ラストに至っては、何と落涙。まさか、泣かされるとは夢に思ってなかった!尺は長いですけど、それだけの醍醐味があります。張り切って大画面買ったぜ!という方は休日のじっくり観賞にピッタリな1本ではないでしょうか。
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by galarina | 2008-04-16 22:45 | 映画(か行)

潜水服は蝶の夢を見る

2008年/フランス・アメリカ 監督/ジュリアン・シュナーベル
<京都シネマにて観賞>

「蜜を吸えない蝶の哀しみ」
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突然倒れて、病院で一命を取り留め、片目でまばたきするしかないという悲惨な状況に陥ったジャン・ドゥ。しかし、彼のモノローグが、関西弁で言うところの「ぼやき」に近いモノがあって、何だかコミカルな雰囲気が漂います。また、ジャンの目線で描くことによって、病院関係者があの手この手で世話をするのも、ありがた迷惑のようにすら見えます。これだけ気の毒な病状だと、普通はかわいそうだと同情を誘うような演出にするんでしょうけど、全然そんなことはないのです。

ずっと映像は、ジャンの片目が捉えたものです。そして物語も中盤にさしかかった頃、ようやくジャンの状態が顕わになります。唇が歪み、目を剥いた彼の姿は、我々をぎょっとさせますが、ここで観客の視点が転換します。つまり前半は、ジャンの立場で周りの人々をとらえ、このシーンからはジャンを取り囲むひとりの人間としての視点に切り替わるのです。本来ならば死に至るような発作を起こした人が、実に体の不自由な状態となって命を取り留めたこと。それは、本人にとってどういうことか、周囲の人間にとってどういうことか。観客が両方の視点からいろいろと思いを馳せることができる。だから、観た後に何度も思い起こして、あれこれと思いふけることができるのではないでしょうか。

さて、ジャンの周りには、美人ばかり集まってきます。言語療法士、理学療法士、別れた内縁の妻、まばたきを読み取る秘書。あまりにもみなさんとびきりの美人なので、これは明らかに何か意図があるのではないか、と思いました。それは、タイトルにある「蝶」です。潜水服に身を包んだような何もできない自分を蝶に見立てる。だとすれば、周りの美女は「花」ではないでしょうか。蝶は花から花へと飛んでゆきます。彼の視線が常に彼女たちの美しい足元や胸元に伸びていることを思えば、そんな想像も膨らみます。しかし、ジャンは決して美しい花を愛でることはできない。そこに、「男」としての根源的な欲求を満たせぬ哀しみを私は感じ取ってしまいました。

自由な自分を想像する時によく出てくるイメージは「鳥」なのですけど、この「蝶」に例えるあたりが、なんともたおやかで優雅でフランス映画(資本はアメリカですが)らしいなと思うのです。尽くして看護してくれる妻がいるのに、愛人への未練が断ち切れないジャンの身勝手さなんかもね。「本」という形あるものを残したことに意義はあるのでしょうが、ジャンにとっては耐え難き苦悩ばかりの日々だったように思います。それにしても、まばたきを読み取る周囲の人物の忍耐強さには頭が下がります。果たして、私にできるだろうかと考えてしまいました。結局を死を目の間にした人を描く、ということは、それを周りの人々がどう受け止めるのか、どう受け入れるのかを描くことなのだと痛感したのです。
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by galarina | 2008-04-06 23:49 | 映画(さ行)

バンテージ・ポイント

2008年/アメリカ 監督/ピート・トラヴィス
<TOHOシネマズ梅田にて観賞>

「90分にぎゅっと凝縮」
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こういう手が込んだ作品、結構好きですね。しかも、上映時間が90分程度とコンパクトなのがとてもいい。最近、無駄に長い映画多いですからね。ここは、ワタシすごく評価高いです。逆回しという手法に溺れず、しっかりと誰もが納得できる結論にまとめあげた手腕も見事。非常にすっきりとして良い脚本ではないでしょうか。

テキパキとカメラワークを指示するテレビ局のプロデューサー、シガニー・ウィーバーのシーンから始まるのですけど、あのカメラを何度も切り替えるリズミカルな展開がそのまま作品のスピードに繋がっているんですよね。これは、まるでオートバイの発進みたいです。1速からエンジン全開。2速、3速とギアをあげていくんですが、その度に主人公が変わる。それで、何度も逆回しがあって、いいかげん飽きたなって頃に、一回物語をひっくり返すんです。これが巧い。普通、ひっくり返すというのは、ラストに持っていきたいところなんですけど、これで一度観客は目が覚めるわけです。ラストは、ゴールまで直線コースをアクセル全開。

このカーチェイスのシーンも非常にダイナミックでハラハラします。ヨーロッパの石畳を車で追いかけっこするというのは、最近のハリウッド作品でよく見かけますが、「ナショナル・トレジャー」よりも断然興奮しました。それにしても、何台車を壊したんだろう…。

舞台にスペインのサラマンカという街をチョイスしたのも、とても良かったんじゃないかと思います。というのも、何度も逆回しをするという手法上、しつこく街並みが映ります。特にメイン会場を捉えたロングショットは毎回登場しますが、不思議と飽きないのです。みんながよく知っているヨーロッパの都市ならば、このしつこい逆回しも手伝って、見ていて飽きてしまったんじゃないでしょうか。赤茶けたシックな石造りの街並みが気ぜわしさを緩和しているような気がしました。

見終わってあれこれ考えるという類の作品ではないですが、観客の興味をとらえて離さないということで、かなりのクオリティ。面白いから見て!と誰にでもオススメできる作品だと思います。
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by galarina | 2008-04-01 21:49 | 映画(は行)