「カーサ・ガラリーナ」にお引っ越ししました


by galarina
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タグ:アメリカ映画 ( 152 ) タグの人気記事

2007年/アメリカ 監督/ポール・トーマス・アンダーソン

「セックスとドラッグを抜きにしてアメリカを見つめる」

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「ノーカントリー」はもちろん、「ダークナイト」もしかりで、「悪」を巡る大作が、今年のアメリカ作品では目立ちました。邦画もですが、2008年の映画は豊作の年と言えるのではないでしょうか。重厚で見応えのある作品に恵まれた年のような気がします。

さて、「ブギーナイツ」「マグノリア」ですっかりやられた私ですが、今作のポール・トーマス・アンダーソン監督は敢えてドラッグとセックスを封印して、アメリカを描こうとした。その代わりに持ってきた題材が「石油」なのでしょう。

人間不信の男がばったばったと周りの人間を地獄に突き落とす物語かと思っていたら、予想を裏切られました。ダニーよりも、むしろポール。イーライを演じるポール・ダノがきっちりタイマン勝負を張っています。油田をバックに人々の神たらんとした男と、イカサマ宗教をバックに神たらんとした男のガチンコ対決に酔いました。「リトル・ミス・サンシャイン」でもニーチェに傾倒する寡黙な青年を演じていましたが、本作のキレっぷりは見事です。中盤、出番は少なくなるにも関わらず、ラストまでこのタイマン勝負は続きます。それは、スクリーンに映らなくとも、ダニエルが常にイーライの影に脅え、イーライを凌ぐために、己を奮い立てているのがびんびんに伝わってくるからです。もちろん、それを感じさせるダニエルの演技もすばらしいのですが。

「ノーカントリー」にしろ「ダークナイト」にしろ、善をあざ笑うかのような悪の存在を浮き彫りにしていますが、それは何かと対立的に描かれています。「ノーカントリー」では、なす術もない保安官がおり、「ダークナイト」では自己犠牲により立ち向かうバットマンがいます。しかし、本作では欲と欲との壮絶なぶつかり合いが延々と繰り広げられ、最後にはまるで子供のケンカのごとき殴り合いによる共倒れで終焉を迎えます。私はこのエンディングにおいて「ノーカントリー」で味わった虚脱感は感じませんでした。むしろ、ひとつの時代が幕を閉じた、これにてお終い、と言う印象です。

それは、このダニエルという男が私には終始嫌な奴に思えなかったことも大きいかも知れません。体を張って油田を掘り起こし、意地と虚栄で企業の差し向けるネクタイ族と対抗し、駆け引きの道具とはいえ幼子を引き取って育てたダニエルという男の人生。開拓者とも言うべきそのバイタリティに私はとても引きつけられました。しかし、そんな彼も最終的には自らの手を血に染めて、ケリをつける。それは決して褒められたケリの付け方ではないのですか、金も名誉も手に入れた人間が結局何者かに怯え続け、己の手を血に染めねば解決できぬ人間の業のようなものをまざまざと感じさせられるのです。油田の掘削シーンを始め、広大なアメリカの大地で繰り広げられる壮大な人間物語。存分に堪能しました。
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by galarina | 2008-11-11 14:17 | 映画(さ行)

ブーリン家の姉妹

2008年/アメリカ・イギリス 監督/ ジャスティン・チャドウィック
<TOHOシネマズ梅田にて鑑賞>

「ため息のDNA」

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タイトルが「ブーリン家の姉妹」ですので、ひとりの男を奪い合う姉妹の確執にとことんスポットが当てられています。ですので、史実をひねり過ぎはないかとか、王様は政治もせんと女のことで頭がいっぱいすぎる、と言った突っ込みどころは満載なのです。それでも、ある程度は歴史的に間違いないのですから、このドロドロ劇をとことん堪能しようではありませんか。本当のところは、もっと悲惨な物語が隠されているようですし。

多くの方が連想されたように、観賞後私も「大奥」を思い出しました。政治の道具として利用される女性たちの波瀾万丈な生き様。その人間性などまるで無視されたようなひどい扱いぶりに同性として腹立たしい思いでいっぱいになる。ところが一方で、誰が生き残るのか一寸先は闇というサバイバルゲームをワイドショー感覚で楽しんでいる自分がいる。そんな自分に嫌悪感を感じたりもして。結構、この手の作品って、「かわいそう」と「オモロイ」のアンビバレンツに悶え苦しむのです。これは、きっと女性特有の感覚でしょうね。

そして、生まれた赤ん坊が「女の子」であった時の静寂。喜ぶ者はひとりもいない。無音のスクリーン。でも、私にはため息が聞こえるのです。女で残念、と言う皆々のため息が。命の誕生。それは、最も喜ばしき瞬間。なのに、女はこうして何世紀もの間、女で残念という刻印をDNAに刻み込まれ続けてきているように感じて居たたまれなくなる。だから、晩年のメアリーは幸福に過ごした、というラストのナレーションにも安堵感を感じるどころか、ごまかしのように聞こえる。やっぱり、この手の作品を見ると、女性として賢く生きるって、なんだ?と思わされるのです。だって、男性として賢く生きる、という文脈は存在しないでしょう?

さて、作品に戻って。フランス帰りで洗練されたというアンが、「あんま、変わってないやん」というところがちょっと残念。史実では6年も待たせたんですってね。だったら、なおさら変身ぶりを見せて欲しかったなあ。宮殿もセットを組んだということですし、衣装も豪華絢爛。歴史大作としてのスケール感はかなり堪能できました。女性が頭にかぶっている、顔を五角形の鋲なようなもので覆うアレはなんというのでしょうかね。既婚者がかぶるものでしょうか、ずいぶんイカツイ。フランス王朝のロココファッションは、もっと軽やかで優雅なんですけど、そういう違いも面白かった。

それにしても、やっぱりイギリスは階級社会。「大奥」ならどんなに身分が低かろうと男の子さえ生めば安泰なのに、正式な王位継承者でなければ私生児でしょ。アンにしてもメアリーにしても、王を取り巻く貴族たちが出世するための道具。「大奥」でも男たちの出世のためにという背景はあるけど、「大奥」という箱は与えられているので、案外日本の方が環境は上かもと思わされます。だって、アンの最期はとても壮絶なんですもん。「エリザベス」及び「ゴールデン・エイジ」が未見なので、基礎知識ができたことだし、見てみようと思います。
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by galarina | 2008-11-05 15:07 | 映画(は行)

ダイ・ハード4.0

2007年/アメリカ 監督/レン・ワイズマン

「三尺玉あげっぱなし」
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最初から最後まで、銃撃、爆撃のオンパレード。観客をびっくりさせればそれでいいだろうって作品に感じられてダメでした。もちろん、エンターテイメント大作を否定するつもりは全くありません。ビルがドッカーンと爆破したり、ヘリコプターがくるくると回って墜落したり、それを見ることで非日常的な興奮を味わえるのも映画の醍醐味の一つだと思います。ただ、冒頭街の機能が麻痺する様が描かれますが、一体何人の死者が出ていることでしょう。なのに、「恐怖」については、何も描かれていません。あらゆる破壊は、マクレーン刑事が体を張って何とかするためのエサでしかなく、そういった物語の進め方は、全く私は好きになれないのでした。

サイバーテロ組織が小粒に見えるという感想がありますが、それは俳優の力量は小さい原因で、やはりのべつまくなしにドッカンドッカンやっていれば、敵味方の対立軸が薄まっても仕方ないとしか言いようがありません。シリーズが進むにつれて、製作者側が「前作よりもスゲーのを観客は期待しているんだ」と目くじら立てて、一切合切作品に放り込んでしまった、そんなあせりすら感じられます。そういう点では、むしろ昔とさほど変わらない語り口でいつも通りに仕上げた「インディ・ジョーンズ」の新作の方に潔さを感じます。マクレーンの娘との確執も、オタク野郎との相棒劇も、全ては爆撃音にかき消されてしまいました。
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by galarina | 2008-10-06 16:25 | 映画(た行)

トランスフォーマー

2007年/アメリカ 監督/マイケル・ベイ

「後半の展開に唖然」

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つかみはOK。車がロボットに変化する、そのCGの凄さに素直に驚嘆。何でこんなにナチュラルな映像になるんだろうと。

カタールでの無差別攻撃、ボロ車に振り回されるサム、国防省でデータを盗むマギーと3つの物語が並行に描かれていく前半の1時間くらいは、結構面白かったです。それぞれのストーリィに謎が隠されていて、どう結びついていくのかとてもワクワクしたのです。ところが、ロボット戦士が5人現れて、これはマジンガーZ?またはガンダム?とも言うべきマンガ的な展開になってからは全くダメでした。ロボットは普通にしゃべりかけるし、お茶目な行動したりするし。うそ~ん。

「トランスフォーマー」って言うおもちゃもアニメも知らない私は、こういうものだと微塵も思っていなかったので、緊張感あふれる前半部とのギャップが大きすぎました。ロボットをかばい、涙するサム。こういう展開でいいんでしょうか…。物凄くお金はかかってますけど、日曜日の朝の子供向け番組を観ているような気分になって、もうテンション下がりっぱなし。話も荒唐無稽過ぎて全く駄目でした。救いはヒロイン、ミカエラを演じる女優、ミーガン・フォックス。とても美人でミステリアスな雰囲気がいいですね。ガンガンにトラックを乗り回して後半大活躍。近年のエンタメ大作系ではいちばん魅力的でした。
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by galarina | 2008-10-02 08:35 | 映画(た行)

ヒロシマナガサキ

2005年/アメリカ映画 監督/スティーブン・オカザキ

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世界で唯一の被爆国、日本が当たり前にしなければならないことが、全くできないでいる。本作を見て、まずそのことを痛感しました。その虚しい現実に打ちのめされそうになりました。原爆の経験と歴史を伝えられるのは、日本人にしかできないのに、もはや伝えることができる人たちがこの世から消え去ろうとしているのです。

痛みを共有することが難しい世の中になりました。感情的な発言はすぐ槍玉にあげられ、相手の立場に立つ前に自己主張ばかりする。世の中はいつからこんなに乾いてしまったのかと虚しい気持ちになることが増えました。それでも、映像の力は偉大です。被爆者たちの証言の生々しさ、その圧倒的にリアルな言葉は観る者の胸を打ちます。

被爆した日本女性がアメリカに渡り無償の治療を受けていた。それをテレビ番組で放映し、被爆した日本人牧師とエノラゲイの乗組員を握手させる。アメリカ的プロパガンダに辟易しつつも、全ての歴史は発信する者、受け止める者によって、さまざまな解釈が可能であり、一面をもって語ることができないことは重々承知。その事実を知ることから、全てはスタートするのです。ですから、本作で初めて見る映像の数々は、全て私にとって実に貴重な経験でした。

なぜ日本の中学校や高校は修学旅行で広島や長崎に行かないのでしょう。なぜ日本は平和教育にもっと力を入れないのでしょう。もしこの映画を全国の中高生に見てもらう運動をしたら、思いもよらない団体から圧力でもかかってしまうのでしょうか。今すぐ始められること、たとえそれがごくごく小さな一歩でも始めなければ、とりかえしのつかないことになってしまうのでは。ひとりでも多くの日本人に見ていただきたい作品です。
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by galarina | 2008-09-14 00:09 | 映画(は行)

ハンコック

2008年/アメリカ 監督/ピーター・バーグ

「鮮やかな転調」

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今流行りの悩めるヒーローものから、どれほど個性的なものに仕上がっているのかをポイントに観賞。何の予備知識もなく見た方が面白いという周囲の声に従いましたが、これネタバレしたら、面白いこと何にもなくなりますやん!と、いうわけでとっても感想の書きづらい作品です。

まさしく、ネタバレできない後半への物語の転調ぶりが実に鮮やかです。これが、この作品の一番いいところですね。ええっ?と思っている間にあれよあれよと、全く違う物語が始まる。強大なパワーゆえに嫌われ者になっているハンコックですが、彼の投げやりな言動は、記憶喪失の天涯孤独な身の上から来ています。その彼の孤独感が、この転調を境に浮き彫りになっていきます。

それでもかなり荒唐無稽で、説明不足な感もあるのは事実。そこは敢えて語らず90何分にまとめあげることを優先したのかなという気がします。コンパクトに仕上げることを、優先した、というのは、それはそれでアリな感じもします。説明不足によるモヤモヤ感もハンコック演じるウィル・スミスの孤独感がきちんと伝えられていたので、あまり気にはなりませんでしたね。むしろ、彼の取った選択にちょっと胸を締め付けられたりして、うるっときそうになりました。

ただ、カメラがぐらぐらと揺れるのが終始気になりました。冒頭のベンチのシーンは、ハンコックがアル中だから、彼の目線を描写しているんだろうと理解できます。それでも、大きなスクリーンに映るアップの顔がぐらぐらと揺れているというのは、気分的に耐え難いのです。映像関係のお仕事の方にお尋ねしたところ、これはステディカムではないかとのこと。やはり、アクションシーンでなく、人を映す時はカメラは固定して欲しいと思う、旧型人間なのであります。

さてさて、明かされた秘密の件ですが、これは突っ込めば突っ込むほど、宗教的な世界観が絡んできそうです。本作では、突っ込めるほど明らかになっていないので、何とも言いようがありませんが、この隠し具合はどうやら「ハンコック2」を作ろうという製作者側の意図が見えます。そうなった時に、しっかりと世界観が構築できるのかというのがポイントになると思います。私は、アダムとイブの物語なのかな、と思っているのですが。あっ、ネタバレ?
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by galarina | 2008-09-08 21:10 | 映画(は行)

スクール・オブ・ロック

2003年/アメリカ 監督/リチャード・リンクレイター

「一生懸命な大人でいようぜ」

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ぶっ飛びデューイの一挙手一投足に腹を抱えて大笑い。ロックを愛する自己中男を演じるジャック・ブラックの無軌道ぶりがおかしいの、なんの。ロックオタクっぷりを、堂々と子供たちに伝授するシーンがツボでした。特にウケたのは、伝説のギタリストやドラマーのビデオを子供たちに見せてるところ。好きなシーンだけ編集して、つなげてんの。いるいる、こんなヤツ。遊びに行ったら、部屋で延々こういうの見せられて、ウンチク語られたりすんのよね。まあ、オンナにはもてないタイプ(笑)。

全ての生徒1人1人に適材適所で役割を与えてあげるって言うのが、すごくいいんです。日の当たるバンドメンバーだけでなく、裏方も含めて「スクール・オブ・ロック」だって言う考え方。大人数の子供たちをまとめあげるって、結構難しいです。でも、照明担当、衣装担当…etc。彼らに対して、デューイが「いいぞ!すげえ!」って、褒めてやるから、みんな生き生きし始める。デューイは用意周到に子供たちをまとめようなんて全然思ってない。そこが見ていて爽快なんです。ぶっちゃけ、自分がコンテストに出たいがため。でも、子供って、一生懸命な大人にはつべこべ言わずについていくもんなんですよ。我々大人は、一生懸命な姿を子供に見せているだろうかって、ちょっと考え込んじゃいました。

ただ、一つだけひっかかることがあって、それはジャック・ブラックに頼りすぎなんじゃってこと。もし、違う俳優がデューイを演じたら、ここまで面白くなるかしら?もちろん、ジャック・ブラックありきの作品ってことはわかっている。でも、どこかで「彼が何とかしてくれる」という甘えがなかったかな?どうも、そう思わせてしまう脚本なんだな。もっともっと、磨けたはずですよ、この脚本。後半部、もう少し子供との絆、または校長とのエピソードに深みが出ればなお良かったな。でも、現在「2」の製作が進行中とのこと。次回は、映画館で見たいと思わされる作品でした。
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by galarina | 2008-08-26 17:59 | 映画(さ行)

カンフーパンダ

2008年/アメリカ 監督/マーク・オズボーン
<梅田ピカデリーにて観賞>

「しっかりカンフーの醍醐味が詰まっている」
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アニメと思って侮っていたら、大間違い。予想外のツボでした。

ちょっと懐かしい水墨画タッチの2Dアニメがオープニング。 これね、小さい頃テレビで見ていたアニメの「孫悟空」(だったと思うのだが)を思い出して、 すごくノスタルジックなムード。 そして、アクションシーンが、非常に工夫されていて、バリエーション豊か。 よくこれだけ考えられるなあ~と感心しまくり。 やっぱり、アクション映画をたくさん撮ってるハリウッドならではって感じです。 動物同士の戦いですから、何でもあり。 これがね、実写のワイヤーアクションよりもすごくすんなりと入り込める。 ワイヤーはやっぱり嘘くさいですけど、アニメですからどれだけ飛ぼうが、 弾けようが全然OK。 悪党タイ・ランの脱獄シーン、ファイブとの対決シーン、そしてポーとタイ・ランのクライマックスと、 ダイナミックなアクションシーンが本当に見ていて楽しい。

一番いいな~と思ったのは、がははと声をあげて笑えるシーンがたくさんあること。 私も息子も、何度笑ったことか。 太ったパンダがタイ・ランのパンチを受けて、顔がぼにょぼにょ~んと揺れたり、 でっぱったお腹で相手をやっつけたり。チャウ・シンチーの「ありえねー」な感じに似ています。 修行中にぶたまん一個をもぎ取ろうと、 師匠とお箸でチャンバラみたく戦うシーンもユーモアがいっぱい。 主題歌「カンフー・ファイティング」もB級っぽいこのチープな感じがすごく合ってるんです。

子供のように愛し、育てたホワイト・チーターが悪の化身となってしまい、笑うことを忘れた師匠が ダメパンダとの出会いによって、暖かい気持ちを取り戻すという物語もとても良いですね。

ダメ男がなぜか戦士に選ばれてしまうということも、師匠の元で修業することも、 懐かしいオープニングも、カンフーソングがエンドロールに流れるところまでも、 全てが「ドラゴン・キングダム」にソックリ! 観賞前は、そのことが気がかりだったのですけど、別にかぶっちゃって気になる、なんてことは全くなかったですね。ユーモアと言う点では断然こちらに軍配が上がります。帰路、息子はDVD買う!と息巻いておりました。
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by galarina | 2008-08-25 17:20 | 映画(か行)

ダークナイト

2008年/アメリカ 監督/クリストファー・ノーラン
<TOHOシネマズ梅田にて観賞>

「何かもが凄すぎて絶句」

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(エンディングについて触れています)

既に多くの方が傑作と評し、アメコミ映画の最高峰と絶賛し、ジョーカーの提示する「悪」について、様々な方が様々な角度で語られているので、既にもう書くことはないんじゃないか。そんな風に思い、観賞してからずいぶん経つのに何も書けずにいました。圧倒されたとか、考えさせられたとか、実に平凡な言い回ししか浮かばず、どうすればこの世界観が伝えられるのかと筆も進みませんでした。

各俳優陣がすばらしいのはもちろんですが、個人的に興味深かったのは、物語の着地点です。抗うことのできない絶対悪に対してどう立ち向かっていくのか、というのは、911以降ハリウッド映画の共通テーマのように繰り返し語られてきました。ヒーローはいない。復讐してはならない。あまりにも同じテーマが多く、またどの作品も、結局抱える問題に明確な答を出せないジレンマがそのまま表現されてしまった、そんなもどかしさを感じずにはおれません。ところが、「ダークナイト」では、しっかりと結論が出されます。しかも、アメリカ映画としては、驚くべき結論ではないでしょうか。闇の世界に生きる。サクリファイス、自己犠牲と言う精神。ゴッサム・シティが世界、バットマンがアメリカ、ジョーカーがテロリストと考えた場合、バットマンが選んだこの道をアメリカ人は一体どう受け止めただろうかと考えずにはいられません。

非業の死を遂げたヒース・レジャー。ジョーカーを演じたことが、彼の死に何らかの影響を及ぼした、そう考えても全くおかしくはないほど、狂気が宿っていました。舌なめずりする仕草や独特のアクセントを加えた喋り方。彼がいかに自ら創意工夫して、己の中から絞り出すようにこの役を作り上げたのかが、実に良くわかります。病院を爆破するシーンで、スイッチをまるでおもちゃのように扱う。あのコミカルさが却って生々しく、背筋が凍りました。そして、主演のクリスチャン・ベール。私にはヒースの引き立て役とは思えなかった。善が悪を呼び、悪が善を呼ぶ。そんな、世界観が構築できたのも、彼いればこそだったのではないでしょうか。そして、マイケル・ケイン、モーガン・フリーマン、ゲイリー・オールドマン。前回に引き続き、脇役のすばらしさは目を見張ります。こんなに脇が光っている作品って、ちょっと思い出せないですね。

善から一転して悪へと転化する「トゥー・フェイス」。その成り立ちは原作とは違うようですが、彼の存在が「ジョーカー(悪)VSバットマン(善)」という単純な対立構造からさらに一歩深い世界を作り出しているのは、言うまでもありません。アーロン・エッカート扮するデントが、自らを犠牲にして高らかに正義の使者ごとく立ち上がったにも関わらず、愛する者の死によって「社会のため」に生きることよりも、「個人の私怨」に生きることを選ぶ。このデントの生き様にもまた様々なメタファーが隠されています。

とにかく善悪の概念が揺れ動き、混沌とする様を描き出す脚本が秀逸。登場人物の配置の仕方、バランスの取り具合、何かもパーフェクトではないでしょうか。バットモービルなどのハイテク装備や基地内の様子は、近未来的ではありますが、色彩も少なく、実に無機質な作りで、何と「謙虚」だろうと思わずにはいられません。一方、爆破シーンやカーチェイスの場面は、徹底的に迫力を追求し、とめどない破壊をイメージさせます。また、ハンス・ジマーの音楽は、同じく担当した「ワールド・エンド」のようなわかりやすい主旋律を持ったものではなく、どちらかと言うと重低音のBGMに徹しているかのようで、これが作品のイメージとどんぴしゃり合っています。全てを統括した、監督クリストファー・ノーランの才能にただただ驚くばかりです。総合芸術の極みと呼ぶべき作品ではないでしょうか。
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by galarina | 2008-08-23 13:38 | 映画(た行)
2008年/アメリカ 監督/マイケル・パトリック・キング
<TOHOシネマズ梅田先行上映にて観賞>

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(完全にネタバレですので、未見の方はご注意ください)

ドラマの映画化って好きになれないジャンルですけど、これは本当に楽しかったです。シーズン6まで続いたドラマは、最初はシングルウーマンの奔放な生き様(sexシーンも含めて)がメインでしたが、 後半は女同士の友情にシフトしていきます。 映画版でも、この後半部をきちんと受け継ぎ、この4人の結びつきの強さ、 長年の親友だからこそ分かり合える感情がしっかりとクローズアップされていてとても良かったです。

さて、このドラマ。4人もメンバーがいると、誰に感情移入するかって、人それぞれなんですよね。私は当初ミランダ派で、終盤はサマンサ派でした。ところが、この映画版。私の気を引いたのは、意外や意外、シャーロットでした。私はドラマ版の彼女が本当に苦手でね~。自分中心主義だし、空回りして周りを巻き込む人で、最も私の嫌いなタイプでした。しかし、シーズン6でハリーと結婚してから、天性の人の良さが光り始めます。そして映画版では、まさにその優しさや素直さがキャリーを救うんですね。

キャリーがビッグに花束を投げつけた後、続いてシャーロットが「ひどいヤツ!」って罵るシーンにはほろりとさせられましたし、再びビッグとキャリーがよりを戻すのも偶然シャーロットが居合わせたことによるものだし。いちいち「きゃ~!」と奇声をあげるシーンも何だか微笑ましくて、今回の映画版のキーパーソンだったように思います。

このドラマのもう一つの醍醐味はファッションですが、 キャリーが有名ブランドのウエディングドレスを次々と試着するシーンはうっとりしてしまいました。 (ただ、これはプロデューサーも兼ねるサラ・ジェシカ・パーカーの職権乱用かな?なんて感じてしまったんですけどね。 まあ、つまり自分がいろいろ着てみたかったんではないか、と) また、引っ越しのためクローゼットの洋服を処分しようと自宅でファッションショーを繰り広げるシーンも楽しい。 他の3人が「持って行く」「捨てる」のプラカードをあげるところは、このドラマらしくてとても良かった。 ドラマ版オープニングのチュチュが出てくるあたりは、ドラマファンへのサービスですね。

式をすっぽかされたシーンは、泣けましたね。あれは、完璧キャリーの気持ちになってました。花束で殴りかかりたい、その気持ちよくわかるぅ~。

さて、スティーブは相変わらずGOOD GUYでしたが、ちょっと老けてましたね。ビックリ。一度限りの浮気ぐらい…という展開で、むしろ認知症の義母の話で二転三転するのかと思ったのですが、それはありませんでした。そして、それ以上に残念だったのは、サマンサの結末。キャリーが結婚すると、4人中3人がカップルになってしまうので、脚本上ひとりはシングルでいてもらわないとってことなんでしょうか。乳ガンの時期を支え続けてきたスミスくんと別れるなんて!シンジラレナ~イ!ふたりのエピソードに泣かされっぱなしだっただけで、本当に残念。しかも、スミスくんの出番が少ないのも悲しい…。でも、ひとりの男に縛られない、という選択肢を選んだサマンサ姐さんは、本当に男前だ!

女体盛りだの、お腹を壊しただの、馬鹿馬鹿しいシーンもSATCならでは。SATCファンのお友だちとギャハハと笑ったり、うるうるしたり。実に楽しい2時間を過ごしました。
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by galarina | 2008-08-22 23:54 | 映画(さ行)