「カーサ・ガラリーナ」にお引っ越ししました


by galarina
カレンダー
S M T W T F S
1 2 3 4 5 6 7
8 9 10 11 12 13 14
15 16 17 18 19 20 21
22 23 24 25 26 27 28
29 30 31

カテゴリ:映画(さ行)( 86 )

17歳のカルテ

1999年/アメリカ 監督/ジエームズ・マンゴールド
c0076382_010326.jpg

思春期には誰だって、思う。私は何のために生きているのだろう。私に生きている価値はあるのだろうか、と。そんな時期に親の離婚だとか、彼(彼女)とのトラブルだとかがきっかけになって、精神的にひどく追い詰められることは誰にだってありうる。この映画では、そんな様々な精神的ダメージを受けながら生きてゆく少女たちが描かれている。

ウィノナ・ライダー演じるスザンナは、文章を書くことが好きな頭のいい少女。この子は、まじめで頭が良すぎるんだね。だから、物事を深く考えてしまう。で、薬をひと瓶飲んで自殺をした結果、クレイモアという精神病院に入れられる。スザンナは「内に向かう」タイプで、いろいろ悩んではひとりで抱え込んでいる。役としては非常に地味なんだけど、ウィノナ・ライダーはこの役にあっていたと思う。どうしても、リサを演じるアンジェリーナ・ジョリーの演技に食われてしまうんだけど、これはもう役自体がそういう関係性だから仕方ない。確かに脱走後、再び戻されて魂の抜けきったような演技や、辛辣に相手を打ち負かす悪魔のごときアンジェリーナ・ジョリーのキレっぷりは、スゴイ。この2人の対比は非常にうまく描けていた。

ただ、私が驚いたのは、看護師のウーピー・ゴールドバーグの存在感。この人には、ものすごい包容力を感じる。画面に映っただけで、「全てあなたに任せます」って感じ。何だろう、このとてつもない安心感は。アタシだけかな。黙って微笑むだけで、私は全部わかってるわよってオーラがびしばし出るんだなあ。だから、この人は修道女とか、看護師とか誰かを見守る役がものすごくはまる。

リサの奔放なところにひかれ、振り回されながらもスザンナは最後にしっかりと自分の心の着地点を見つける。もちろん、それは友人の自殺という悲劇がきっかけになっているのだけど、その心の流れに、私は素直に共鳴できたな。「自分を見つめる」ということに、とても真摯に取り組んでいるウィノナ・ライダーの演技がとても良かったからだと思う。


人気blogランキングへ
ブログ村 映画ブログ
[PR]
by galarina | 2006-07-23 18:07 | 映画(さ行)

SPIRIT-スピリット

<TOHOシネマズ二条にて>
2006年/アメリカ 監督/ロニー・ユー 
c0076382_15564065.jpg

とにもかくにもジェット・リーのアクションを見るための映画。アクションだけで、見て良かった!と思わせてくれる俳優なんて、今どき何人いる?ジェット・リーの武術家としての集大成がここにあるんじゃないかな。少林寺の頃からファンの人にとって見れば、パワーダウンしたなんて言うのかも知れないけど、格闘オタクでもない私は十分すげえや、と思った。

特に前半の次々と繰り出される決闘シーンが素直に楽しめた。アクション監督は「マトリックス」のユエン・ウーピンで、ワイヤーアクションも入っているけど、そんじょそこらの俳優がやるワイヤーアクションとはやっぱ迫力が断然違う。街の広場にしつらえた円形の決闘場で、次々と相手をなぎ倒すジェット・リーは、まさに敵なし。見ているだけで楽しい。これぞアクションの醍醐味。

戦いに疲れた男が山奥に籠り、異文化と接することで自分を取り戻すというくだりになって思わず私は心の中でつぶやいた。「こりゃあ、ラストサムライと一緒じゃねーか!」しかし、ジェット・リーはトム・クルーズみたいにへいこらと異文化にかぶれた上に村の娘といちゃついたりはしない。ああ、良かった。下手なロマンスでも入ったら台無しだぜ。ジェット・リーの海外作品には、そんなアホなと言うロマンスのシーンが必ずあって、興ざめするんだな。「キス・オブ・ザ・ドラゴン」の相手役はあのブリジット・フォンダですぜい。どう見ても身長差が合わない。そんなシーン入れるんやったら、もっとアクションシーン入れてくれ!と思ったもの。

最後の決戦相手として中村獅童が出てくるけど、彼はジェット・リーが無数に戦う相手の1人に過ぎない。彼との決闘シーンよりも、天津で最後に戦うチンとの対決が圧巻。友人が経営するレストランでのアクションシーンは、酒壷が次々に割れ、床が抜け落ち、そりゃもうレストラン丸ごと破壊しちゃう。爆弾や銃でドッカンドッカンやるよりも、断然スカッとする。正直、最初は「また日本人が悪役かよ」というひっかかりがあったんだけど(しかも、日本人のせいで死ぬというのは史実とは違うらしい…)、そんなことももういいや!と思わせてくれるほど、ジェット・リーのアクションに惚れ惚れしちゃったよ。

人気blogランキングへ
[PR]
by galarina | 2006-07-20 09:43 | 映画(さ行)

ショコラ

2000年/アメリカ 監督/ラッセ・ハルストレム 
c0076382_15594867.jpg

物語の導入が非常に童話的。北風吹く寒い日に、真っ赤なフード付きのコートを着た美しい母と子がやってくる。この最初のくだりでストーリーに引き込まれる。空き家を借りて、せっせとチョコレートショップを開くまでの準備のシーンは、まるで絵本を見ているよう。大きな釜に入れた熱いチョコレートをぐるぐるとかき回したり、様々な形のトリュフ・チョコをショーウィンドウに並べたり。なんとまあ、おいしそうなこと。私が村の住人なら、村長の言うことなんか目もくれずにチョコレート買いまくりだな。

女主人ヴィアンヌを演じるジュリエット・ビノシュがとても魅力的。大きく胸の開いたブラウスを着て、派手なパンプスを履く様は、村の女たちとは対照的。でも、好戦的な態度に出るのではなく、さりげない優しさで、みんなのハートをがっちり掴んでゆく。このあたりは、よそ者である私も見習わないとなあ、と考えさせらる。根も葉もない噂を立てられたり、あからさまに嫌がらせをされるのだけど、決して屈せず、自分のやり方をつらぬいていく。こんな風に振舞えたらいいなあ。

見終わったら心にじんわりくるような作りは天下一品のラッセ・ハルストレム監督。あえて、欠点をあげるとすれば、特にけなすような所もない代わりに、胸をぎゅーっと締め付けられうような鮮烈さも驚きもないことだろうか。でも、決して平凡な作品というわけではない。やはり、一人ひとりの人物描写がとても丁寧なところがこの映画の大きな魅力なんだろう。

物語中盤から流れ者の男、ジョニー・デップ登場。珍しく正統派の男前。なじめん。娘役の女の子、どっかで見たことあるなあと思っていたら、「ポネット」で史上最年少のカンヌ主演女優賞(当時4歳)を取ったヴィクトワール・ティヴィソルだった。この作品でも、旅を続ける少女のつらさをうまく演じている。人間として大切なのは、物事を否定することではなく、受け入れられる寛容さや優しさを持つこと。しごく全うなことだけど、心にしみた。まあ、ともかくチョコレートがたまらん、旨そう。おいしいもんは、ハートを溶かすのだ。

人気blogランキングへ
ブログ村 映画ブログ
[PR]
by galarina | 2006-07-10 22:47 | 映画(さ行)
1993年/香港 監督/チェン・カイコー 

「傑作歴史大河ロマン」
c0076382_1625796.jpg

程蝶衣を演ずるレスリー・チャンの演技に息をのみ、京劇の美しさ、中国の激動の歴史に心揺すぶられる3時間。2時間以上の映画には耐えられない体質の私でも、この映画は3時間があっという間。少年時代が約40分ほどあるけど、だいたいこういう一生ものを語る映画は少年時代の描写がつまらんのが常なんだが、この映画は違う。同じ男同士でありながら、小豆が石頭を愛するようになる心の変化に素直に感情移入できる。京劇と言う非常に伝統的な世界で行われる、仲間同士のいじめやとてつもなく厳しい修行の描写にも胸を締め付けられる。

何より、レスリーがすばらしい。彼は京劇の女形の役だが、本当に美しいこと、美しいこと。彼が愛する段小樓(チャン・フォンイー)と共に劇中に演ずる京劇『覇王別姫』(はおうべっき)のストーリーと2人のストーリーが見事にオーバーラップしていく。姫を演ずる蝶衣は小樓を愛している。だから劇中、姫という役を通してその愛を訴え続ける。でも、劇は劇、と割り切り、全く意に介さぬ小樓。しかも、遊女の“菊仙”と突然結婚してしまう。小樓の大馬鹿者。

“菊仙”を演じるのは中国を代表する女優、コン・リー。立場的には憎まれ役だが、彼女の演技がこれまたすばらしい。女のしたたかさ、強さ、そして時にかいま見せる母性。蝶衣も恋敵なんだけど、自分を捨てた母もまた遊女であったため、心から憎みきれない。ふたりの間には、敵同士でありながら、心の底でお互いが足りないものを求め合っている、そんな不思議な関係性が生まれていく。

清朝末から日本統治時代、共産党政権樹立、文化大革命という時代の流れと共に、何が良くて、何が悪いかという価値観がすさまじい勢いで変わっていく。社会主義が台頭し、派手な衣装は民衆の前で燃やされ、さらし者にされた上、お互いを告発、罵り合う壮絶なラストシーンは息をのむ。また、劇中の京劇のきらびやかさも圧巻。レスリー・チャンが化粧をして舞台に上がったその様は、見るものを圧倒する。まるで、色彩の洪水。

03年4月に自ら命を絶ったレスリーと蝶衣の悲劇がダブって仕方がない。そしてこれほどの演技をしているのに、レスリーが主要な映画祭でいずれも主演男優賞をとっていない、というのはどうも解せない。切なくて、切なくて、見終わった後も胸が痛い。でも、本当にいい作品を観たという至高の満足感にひたれる、壮大な大河ロマン。文句なし。

人気blogランキングへ
[PR]
by galarina | 2006-07-10 09:35 | 映画(さ行)

ジョゼと虎と魚たち

2003年/日本 監督/犬童一心 
c0076382_11122987.jpg

邦画の純粋なラブストーリーで、これは!という作品に出会えることはあまりない。大体旬の若手女優を起用して、センチメンタルな音楽とありきたりなストーリーで泣かせようという作り手の魂胆が丸見えで、見終わったら「アホか」という言葉しか出てこない。だけど、この映画は違う。正直妻夫木くんは、この映画を見るまではただの人気俳優の1人だと思ってたけど、この映画を見てからはれっきとした映画俳優だな、と認識を改めた。それぐらいいい。

妻夫木くん演じている恒夫は、いわゆるどこにでもいそうな軽薄な大学生だ。そんな彼がジョゼというへんてこな女に出会って、自分自身も変わってゆく。でも、結局最後の最後に軽薄な大学生の根っこの部分は変わることがなかった。結末は悲しい。だけど、私にはこの結末があまりにリアルに感じられて怖いくらいだった。ジョゼの部屋を出て行った恒夫が、そのすぐ後で女友達と待ち合わせをしていて、しかもその女の目の前で別れのつらさに泣いてしまう。ほんとにどうしようもない男。だけど、なんか許せてしまう。そこは妻夫木くんの演技力によるところが大きいと思う。カンチは許せなかったけど、恒夫は許せるぞ。

そして、ジョゼを演じる池脇千鶴。もう、強烈なキャラクターを自分のものにしてる。この子、すんごい口悪いんだな。初めて出会った恒夫に「アンタ」呼ばわりやし、「アホか」とか「どっかいけ」とか大阪弁で連発。普通、こんな子好きにならんやろう、と思うのだが、なんとも魅力的。まっ、こんなにぶっきらぼうな女が料理を作らせるとうまい。そんなギャップがいいんだな。足が不自由ということで台所の椅子から突然ドサッと落ちるシーンは、毎回ドキドキする。ジョゼの危うさとかぶっきらぼうさを象徴したシーン。

好きになればなるほど、相手のために何かしたいと思う。でも、それが行き過ぎると空回りしたり、相手はそんなこと望んでなかったりして、臆病になったりする。でも恒夫は、ジョゼの笑顔が見たくて、がんばる。他人から見れば、同情や偽善と言われかねない行動も、恒夫にとっては純粋な愛情から出た行為。その末に行き着いた結末だからこそ、二人は受け入れられる。恒夫の愛という贈り物をもらったからこそ、ジョゼはようやく外界に飛び出す勇気を得たのだ。しかしまた、あんなに人を愛することはもうないことも、ジョゼはわかっている。いつも通り鮭を焼く彼女の表情は、晴れやかで、そして、切ない。

人気blogランキングへ
[PR]
by galarina | 2006-07-08 19:51 | 映画(さ行)

シャイニング

1980年/イギリス 監督/スタンリー・キューブリック
c0076382_1682854.jpg

ジャック・ニコルソンの恐ろしさはいわずもがな、なんだけど、特筆すべきは妻役のシェリー・デュバル。この人のこの「ホラー顔」は、何ですか!あまりにもハマりすぎてて、ちょっと笑いが出てしまうほど。しょっぱな登場するシーンで、思わず吹き出してしまった。この人がムンクの叫びしたら、そりゃ「絵になる」だろうな、と。で。まさにその通りだった。

さて、本題。非常に印象的な「絵」が多数頭に残る映画。エレベーターから血の波が押し寄せるシーン。子供が三輪車でホテルの廊下を走るシーン。双子の姉妹が登場するシーン。フラッシュバックのように鮮烈に蘇る。まるで自分の目でシャッターを切ったように、頭の中にこびりつく。こういうところがキューブリックの絵作りのすごいところ。

とにかく「正面アングル」。廊下の手前から奥を映す。ホテルの玄関から奥を映す。しつこいくらいに真正面。これを見ていると、美術の時間に習った、遠近法の描き方のスケッチを思い出す。なぜ、ここまで正面なんだろう。実際、私たちの目に映る景色のほとんどは真正面の構図ではない。やはり「絵」として見せたかったのか、または「見ろ!」と頭を押さえつけられているような感覚を起こそうとしたのか。奇妙な感じというのは、この3人の家族そのものにも言える。まず、この夫婦が全然夫婦っぽくない。まったく釣り合わない。そして、超能力を持つ金髪のかわいい息子が、これまた全然この夫婦の子供に見えない。この3人はどう見ても家族に見えない。この居心地の悪さも、変な恐ろしさに結びついているのかも知れない。

原作者である、スティーブン・キングはこの映画を酷評したらしい。というのも、原作ではしっかり描かれていた主人公やその家族の人物描写が映画ではごっそり抜け落ちているから。確かに、主人公ジャックは、ただ取り憑かれてキレまくってる親父でしかないからね。でも、あのキューブリックがヒューマニズムとか、親子愛とか映画に持ち込むわけないよ。そういうのをそぎ落として、ただただ恐ろしくも美しい絵作りに、完璧に打ち込む。これでこそ、キューブリック。それにしてもジャック・ニコルソンは、完全にイッてる。だって、冒頭ホテルに面接にやってきて、椅子に座ったその時からもう目がイッてる。すでに取り憑かれてる。見てて寒気した。いやあ、ホントにすごいな、この人は。

人気blogランキングへ
[PR]
by galarina | 2006-07-07 21:46 | 映画(さ行)