「カーサ・ガラリーナ」にお引っ越ししました


by galarina
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カテゴリ:TVドラマ( 44 )

ハゲタカ 5

2007年/日本 NHKドラマ

「恋愛モードまるでなし。それでいいのだ」
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常に挑発的な態度で日本企業に攻撃をしかけてきた鷲津が初めて受けて立つ側となる第5回。かつて鷲津によって父親を事故死に追いやられた「西乃屋」の長男、治がIT社長にのし上がり、挑戦状を叩き付ける。本社に隠れて裏で画策を練り始める鷲津、その真意は三島製作所の存続にあるのだが、栗山千明演じる三島由香に特別な思いがあるのかどうか…。

予期した通りではあるが、このドラマには色恋沙汰は一切描写なし。由香が鷲津の真意を知ったからと言って、二人が抱き合うわけでもなし、言葉をかけることすらない。この辺、ちょっと色気のある脚本家なら、ふたりのロマンスを描きたいところなんだろうけど、ぐっと我慢。見ている私も鷲津のラブシーンなら見てみたいけど、これまたぐっと我慢。つらいとこだが、全体の硬質なムードを損ねるくらいなら、恋愛描写は入れない方がいい。これ、社会派ドラマの鉄則。

今回の佳境はテレビ番組での討論会だが、キャスターを本物のNHKアナウンサーが務めているため、とてもリアルだし落ち着きがある。この辺は民放が作るとやたらと嘘くさくて、派手な演出になるんだろうな。で、ラストに鷲津が撃たれる場面で、第一回の冒頭に繋がっていく、という構成もうまいねえ。頂点に立った鷲津がついに人間らしい気持ちで行動したら、それが裏目に。果たして彼は冷徹な男に戻るのか、新たな道を見つけるのか。大空電気の行く末だけでなく、主人公鷲津の人間性を、どのスタンスで着地させるかが最終回への焦点へとなっていく。

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<親父のDNAを見せつける松田龍平>
インターネットの世界でのし上がってきた西野治。人物背景から言って、もろホリエモンがモデルなんだけど、似ても似つかぬ男前です(笑)。それにしても斜に構えた物言いといい、孤独感のにじみ出る佇まいと言い、父・松田優作にすごく似てきたなと今回しみじみ感じた。

「御法度」でデビューした頃は、若さが邪魔していきがってるだけのイメージだったが、段々年相応に影のある男道を突き進んでいる模様。こういう冷たいキャラクターがうまい俳優は、浅野忠信やオダギリジョーなどがいるけど、松田龍平は俺なんかいつ死んだっていいと言わんばかりの虚無的な表情が印象的。手を差し伸べても、逆に刃物で刺されそうな凄みを本作では見せている。
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by galarina | 2007-09-07 23:03 | TVドラマ

ハゲタカ 4

2007年/日本 NHKドラマ

「キャスティングの大勝利」
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いよいよハゲタカの狙いは日本を代表する大手メーカーへ。レンズ作りを基本に戦後大企業と成長した大空電気の大株主となったホライズンは大胆な人員削減を提案するが、決してリストラしないことを主義とする大木会長と真っ向から対立する。家族主義&終身雇用を死守するか、ドラスティックな改革で会社を立て直すか。構図としては、よくあるパターンだし、これまでも散々扱われてきたテーマではある。しかし、大木会長のカリスマとしての存在感をバックに真っ向から両者が対立する様は見もの。というのも、この回から新たに菅原文太、大杉漣、田中眠というビッグネームお三方が参戦。役者陣の層がハンパなく厚くなるからだ。

病床の大木会長が語る「モノ作りの原点」。大空電気の事業内容を見れば、キヤノン+松下がモデルかと思うが、シャープなり、サンヨーなり、ホンダなり、日本のメーカーにお勤めの方なら、我が企業に置き換えて見ることができるだろう。大木会長の熱意にほだされて何とかまとまりを見せる株主総会。うーん、それでいいのかあと思っていたところへ、「とんだ茶番だ」と言う松田龍平のセリフがすかさず入る。本作、視聴者として、時には日本企業側の気持ちになるし、時には改革者の気持ちにもなって、両サイドを揺れ動く。その揺らし方が絶妙。この両者の対立が一体どのように収集がつけられるのか、と最終回に向けて期待は膨らむばかりなのだ。

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<これでもかと声のイイ俳優を集めた脇役陣>
「ハゲタカ」の重厚感の大きな一翼を担っているのは渋すぎる脇役陣。しかも、やたらと低音ボイスが心地よい中年俳優をどっさりつぎ込んでいる。宇崎竜童、中尾彬、嶋田久作、志賀廣太郎、大杉漣…。特にハゲタカファンドにお勤めの嶋田久作と志賀廣太郎は、出演シーンは少なくても声だけで存在感ピカ一。中尾彬にしても、いつもの悪代官みたいな役回りではあるのに、あくどさが浮き出ず全体の登場人物に馴染んでいる。それは、おそらく同じトーンの声の役者が集まっているからではないかと思う。

今回、このドラマを見ていて、声質が似通った役者陣が多いと言うのは見ていてこんなに落ち着くものかと思った。出力レベルが一定、とでも言うのだろうか。まさか、声だけでキャスティングはしていないだろうけど、落ち着きと存在感、全体のバランスなど、キャスティングの勝利と言ってもいい。よく民放のドラマにおいて、この俳優が出ている時はなぜかこの女優も一緒出ている、ということがよくある。そういう場合は、ほぼ間違いなく同じ事務所のセット売り、というやつだ。NHKにも全くないとは言わないが、民放ほどは事務所の売り込みや企業の思惑がキャスティングを左右しないもんなんだろう。全6回というコンパクトなドラマの中で全てのキャストがぴしっと決まった爽快感がこのドラマには満ちている。
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by galarina | 2007-09-03 23:58 | TVドラマ

ハゲタカ 3

2007年/日本 NHKドラマ

「それぞれの再出発」
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金融素人の私には何から何まで目からウロコなストーリーだけれども、この第三回の「サンデートイズ」が民事再生法を適用されてからのプロセスも「倒産した会社ってそうなるんだ!」という驚きの連続であった。スポンサー決め、そして入札と、こうなりゃつぶれた会社は「どれだけの価値があるかを図るモノ」。そこで働く人も、会社の歴史も、そんなもん、関係ないったらありゃしない。その間に行われる丁々発止を見て「金の亡者」と決めつけるのは簡単だが、価値のあるものには投資する、利益の出ないものは切り捨てる。それが資本主義だし、こんな時だけ浪花節になったとて、会社が再生するわけでもない。

しかし、あまりにドライなやり方は日本人の心情には馴染まない…ってホントにそうですかねえ。バブル期のようにウハウハ儲かってる時には、モラルとか思いやりとか全く関係なしに浮かれぽんちになってた日本人。それが、形勢が悪くなると、いきなりそういう大義名分を出してくるなんておかしいでしょ。このドラマは、3つの企業の顛末を描いているけれども、実はどの企業の栄枯盛衰も、日本人という国民が「お金」に対して見せてきたスタンスを見事に切り取っていると思う。

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<病を乗り越えて主演した柴田恭兵>
肺ガンであることが判明し、本ドラマの撮影も延期されたとか。そして手術後の復帰を待ってクランクイン。それだけの価値はある演技だったと思う。手術の影響からか、幾分声量が落ちた感じがするが、却ってそれが芝野らしい慎重さや思慮深さに結びついていた。柴田恭兵と言えば、あぶない刑事などの弾けたイメージがどうしても拭えないが、本ドラマでは最初から最後まで苦悩しっぱなし。常に人のやりたがらない仕事の矢面に立ち、正義を貫こうと奔走し続ける。

腐りきった金融業界の正義や倫理観のシンボルとして芝野は描かれており、最終的には正義が勝つという結末。それは、もちろんドラマ的大団円と穿った見方もできるが、やはり第一回から第五回までの芝野の苦悩と人柄があるからこそ、この結末には大きなカタルシスがある。病み上がりの痩せた顔つきで言葉少なに苦渋の表情を見せる柴田恭兵は、私は今まで見たことのない柴田恭兵だった。
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by galarina | 2007-08-30 23:05 | TVドラマ

ハゲタカ 2

2007年/日本 NHKドラマ

「ハゲタカは企業を食い尽くすワルか?」
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第一話で描かれていたのは、バブルの波に乗ってゴルフ場経営に手を出したばかりに本業の旅館を手放さねばならなくなった「西乃屋」。第二話&第三話では、宝石や着物など私物に金をつぎ込む女社長(名古屋在住の名物社長、またはアパホテル社長を彷彿させる)が経営する「サンデートイズ」。いずれも会社が傾くのは自業自得に思える。確かに鷲津の言う「あなた達を救いに来ました」という高飛車な言葉にはムカツクけれども。

それでも、やはり諸悪の根源は、社長の経営者としての手腕と、長期視点に立たずに金を貸し続ける日本の銀行のせい。しかし、ドラマはあくまでも「ハゲタカ」を悪党として描くことに徹する。それは、そうすることで、逆に「ハゲタカ」へのシンパシーを視聴者が持つようにするためではないか。そして、日本企業の甘えの体質を浮き彫りにするため。私はそう受け止めた。

それにしても、本ドラマ視聴率が5~6%前後だったとか。そんなにみなさん、金融業界のドラマに食指が動かないもんですかねえ…。

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<見事なイメージチェンジに成功した大森南朋>
いつからか、彼が出ていない日本映画はないというほど露出が目立つようになり、「第二の田口トモロヲ」と私は勝手に命名していた。しかしひねくれた役やアクの強い役が多く、金縁眼鏡のアメリカ帰りの金融マンでしかも主人公なんて務まるのかしらと心配していたが、嬉しいことに杞憂に終わった。

得てしていい俳優は、演技者としての力量以外に、「影」を感じさせる生来の魅力を持ち合わせている。つまり、母性本能をくすぐる男。本作では、銀行の貸し渋りのせいで取引先のおやじさんが自殺したという暗い過去を引きずる役。主役ではあるが、ダーティーヒーロー。そこが、彼本来の「影」の部分とうまく呼応して魅力的な男、鷲津を作り上げた。

常に冷酷な言葉を吐き続ける鷲津だが、その言葉の裏には彼なりの優しさや葛藤があるのではないか、ついそんなことを思わせてしまう色気がある。各人物の心理状況に迫る演出からか、アップのシーンが多く、個人的にはやや多様し過ぎなのでは?と思う部分もあるが、金縁眼鏡から遠くを見つめる鷲津の悲しげな目は、多くの女性ファンを鷲づかみにしたことでしょう。(ダジャレじゃありませんよ)って、傷を持つ男にめっぽう弱いワタシだけかな(笑)。
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by galarina | 2007-08-29 23:59 | TVドラマ

ハゲタカ 1

2007年/日本 NHKドラマ

「久しぶりの五つ星ドラマ」
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日本のドラマがさっぱり!面白くなくなった昨今、久しぶりに5つ星のドラマに出会えた。そもそも、「ヴァイブレータ」でハートをぶち抜かれた大森南朋主演ってことで、興味を持ったのだけど、実に骨太なドラマで役者陣の演技も見応え抜群。こんなに必至でドラマを見たのは、いつ以来だろう。未見の方はDVDが既に発売されているので、ぜひご覧頂きたい。

バブルが弾けてから、現在に至るまでの日本を描く本作。ホワイトナイトやら何とかパラシュートなど、金融専門用語が飛び交い、ホリエモンやら村上ファンドを思い出させる。しかしながら、ホリエモン出現以降、日本の金融マネーの本当のところというのは、メディアによるワイドショー的お祭り報道のせいで、その根幹たるやなんなのか、私のような金融素人にはさっぱりわからなかった。メディア批判でこのレビューの文字数を増やすつもりは毛頭ないが、彼らの報道姿勢による功罪はとてつもなく大きいと私は思っている。

で、バブル後の日本は、どのようにして坂道を転がり落ちたのか、そのプロセスの中で日本が失ったものは、得たものは何なのか。このドラマを見れば実によくわかる。しかしながら、本作は「金融入門手引書」的ものでは全くなく、前面に打ち出されるのは人間ドラマとしての凄みである。何と言っても、そこがドラマとしての5つ星たる由縁である。

最近の民放発の人間ドラマと言えば、「華麗なる一族」や「白い巨塔」などが挙げられるだろうが、それでもこれらのドラマには、物語をドラマチックに仕上げようという演出が見られ、それは一も二もなく民放だからしょうがいないのだけれど、「ハゲタカ」には、盛り上げてやろう的演出は極力抑えられている。小道具などの見せ方や金融用語がテロップで入るなど、全体のメリハリとしての盛り上がりはあるが、とにかく役者陣の演技は昨今のドラマにはない抑制ぶりと言っていい。

主演の大森南朋と柴田恭兵、松田龍平、田中眠。特にこの4名の存在感がすばらしく、1人ずつレビューを書きたい衝動がただ今抑えきれません。見ていない方はぜひ。個人的には、大森南朋ファン、あまり増えないで欲しいんだけどね。
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by galarina | 2007-08-28 23:58 | TVドラマ
1989年/アメリカ 監督/デヴィッド・リンチ
<episode15~episode18>

「超能力捜査官、Mr.クーパー」
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episode16をもって、一連のローラ・パーマー事件はひとまず終了。ここをシーズン1からシーズン2のボーダーラインにもってくればいいのに、なんでこの切り方なのだろうか。

リーランドの見事な狂いっぷりを見せて、事件としては収集をつけた。この結末を見れば、娘の死後どんどんおかしくなっていく様子は、犯人としての伏線だったわけで、最初から犯人は示唆されていたわけだ。私は全く気づいていませんでしたが。で、これから物語の本流は、「闇の世界を牛耳るボブ」の正体探しになっていく。

ツイン・ピークスがアメリカンドラマの元祖のように言われるのは、登場人物たちの裏の顔を暴きながら複雑な人物相関図を作り上げていくこととに加えて、超常現象や超能力といった要素をふんだんに取り込んでいるからだろう。この要素は、その後のドラマ「X-ファイル」あたりに引き継がれているのではないだろうか。

そして、どうやらこれからはクーパーの超能力捜査で悪魔の正体に近づきそうな気配。そう言えば最近のドラマ「ミディアム」って言うのも、霊能者が捜査するって話なんでしょ?(見てないけど^^)こういうところも元祖と言われる由縁ですかね。

というわけで、vol.4~は、「超能力捜査官、Mr.クーパー」ってタイトルに変えた方が良さそうな展開になりそう。クーパー自身が強烈なキャラクターとして人気が出たから、それもアリなんだろうけど、しかしここに至ってやはりこのドラマではローラの魅力が大きかったんだなということに気づく。悪魔に魅入られた女、ローラとはいかなる少女だったのか。「世界一美しい死体」にまつわる淫靡なムードこそがツイン・ピークスの根幹であったのだ。キラーボブがローラのイメージに対抗できるだけの強烈な魅力を放つことができるのか。vol.4以降のポイントはそれだと思う。
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by galarina | 2007-08-20 23:19 | TVドラマ
1989年/アメリカ 監督/デヴィッド・リンチ
<episode11~episode14>

「あれ、終わってるじゃん?」
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シーズン2から1枚のDVDに4話ずつ入っているのだが、episode14の醸し出すムードが明らかに他の3つと違う。で、クレジットをよく見てみると、やはりこれだけがリンチ本人の監督作品だった!えらいもんですねえ。というわけで、この4話を見比べてリンチ的なるものは何かを探ってみる。そういう視点でこのvol.2を見ると思ったよりも楽しめるかも知れません。しかも、犯人がわかるしね。

で、episode14の何が違うのかと言われると、やはり、「奇異なるもの」を創り出す才能。印象的なのは終盤ローラの母セーラがあのチリチリ髪振り乱して、階段を匍匐前進する様子とリーランドとキラーボブが入れ替わる映像。確かにepisode11、12にも印象的なシーンはあるけど、どうも「狙った絵作り」という感じなの。他にも、ゆっくりと回るカメラワークや、けだるいムードが立ちこめるような演出など、奇異なものが突飛に見えない全体の統一感があって、さすが本人監督だな、と。

それから、リンチ作品には「馬」が幻覚のイメージとしてよく出てくるのだけど、これはどういう意味があるのかしら。室内に馬がいる映像って、すごく居心地悪い。夢判断なんかだと、馬は「性的衝動」を表しているので、やっぱりそっちの線かな、と想像してみたり。

で、episode14でついに犯人発覚。ここから、映画版「ローラ・パーマー最後の7日間」に突入しても全く違和感ない終わり方なんですよ。でも、シーズン2、この後DVD4枚もあるんですよね…(笑)。さて、さて、どうなることやら。
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by galarina | 2007-08-14 20:53 | TVドラマ
1989年/アメリカ 監督/デヴィッド・リンチ
<episode8~episode10>

「さらなる混沌に突入」
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episode7までに提示された多くの謎が一つずつ回収されていくのかと思いきや、物語はますます混沌としていく。個性的なツイン・ピークスの人々も、ドラマの人気上昇と視聴者の期待の高まりからか、手を替え品を買え、より個性的に描かれようとしているが、調子っぱずれのオルゴールのように何だか心許ないただの変キャラへと移行しているだけのよう。そんな中、ハリーとは犬猿の仲のアルバートの嫌味がだんだん冴えてくる。ダラダラし始めた物語のツッコミのような役割を果たしている。

しかし、この期に及んで、「宇宙からの信号」なんてものを持ってくるのは、大阪弁で言うところの「いらんことしー」。本来は「クーパーの夢」と「人々が見るボブの幻想」というこの2つで、十分非現実的な面白さは表現できているはずで、そこに新たな超常現象を持ち込むのは、明らかに面白さが拡散してしまったと思う。そろそろ何か一つでも解決しないと、という差し迫った状況でようやくリーランドの逮捕を持って来たんじゃなかろうか。

人気が出たから物語が増えてしまったんだろうが、このepisode8~10で、ジョシー、ハンク、ホーンたちの裏の顔を一気に暴いていれば、物語としては絶対面白くなったと思う。つまり、日本のドラマでもよくある1クール分でしっかり結論を出していれば、全10話で実に質の高いドラマとして終われたことだろう。

この引き延ばし作戦にこれからまだまだおつきあいせねばならんのか、と思うとちょっとツライ。
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by galarina | 2007-08-02 23:08 | TVドラマ
1989年/アメリカ 監督/デヴィッド・リンチ
<episode5~episode7>

「道化師、リーランド」
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ツイン・ピークスの登場人物全員に「裏の顔」がある、という事実が明らかになるvol.3。とりわけ、香港美女ジョシー・パッカードの正体がだんだんわかってきて、パッカード製材所の火災をもって、シーズン1終了。膿を出すだけ出しておいて、さあシーズン2でどう処置する?と期待も高まるのだが、実はシーズン2に入ってもなかなか処置は進まない(笑)。その分、リンチワールドをたっぷり楽しむとしましょう。

vol.3で印象的なのは、ローラの父親、リーランドのキレっぷり。本来、娘を殺された当事者であり、普通の価値観で言えば、娘の仇を取るとか、妻をいたわるとか、父親としての役割があるんだけれども、リンチはこの殺された娘の父親をとことん狂わせていく。リーランドがしがみついた娘の棺が墓穴の中でぎっこんばったんとアップダウンする様子はどう見ても笑うしかなく、以降リーランドは物語のピエロとしての役割を担うことになる。

陽気にステップを踏み、歌を歌う狂ったリーランドと、常にしかめっ面でキラーボブの幻影を見ては叫び声をあげるローラの母セーラ。この夫婦ふたりの対比が実に面白い。娘が殺されたわけだから、面白いという言葉は道徳的には正しくないが、名コンビぶりが見ものと言っても過言ではないほど、ふたりの演技がキレている。セーラの叫ぶ時のあの顔。あれは、誰にも真似できるものではありません。リーランドは躁、セーラは鬱。人が精神的に不安になる局面の表と裏を、リンチはこの夫婦に分担させているのではないだろうか。
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by galarina | 2007-07-20 23:28 | TVドラマ
1989年/アメリカ 監督/デヴィッド・リンチ
<episode2~episode4>

「小人のダンスに魅せられて」
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vol.1で、リンチワールドの幕が開き、どいつもこいつもクセ者だぜ!って言う怒濤の展開が見られて、いよいよ捜査はどうなる?ってことでvol.2。

ところが、クーパー捜査官は自分の見た夢を手がかりに捜査するわ、チベット密教の夢からヒントを得たという占いみたいな捜査法は取り入れるわ、FBIのくせに実に非科学的なやり方で犯人を捜し始める。このトンチンカンぶりに引いてしまう人もいるに違いない。しかしながら、ローラを殺した犯人を母親がフラッシュバックで見たり、森に潜む悪魔という伏線がしっかり張ってあるから、人智を超える何かがこの事件に絡んでいるってことを受け止めて見続けるしかない。まあ、私はその作業を困難とは全く思わないのですけれど。

ツイン・ピークスは「町には木しかない」と言われるほどの田舎町として描かれている。人々も昔からの知り合いばかりで、平和に暮らしている。しかし、その裏では、日頃の妬みそねみがあって、意外な人物同士の繋がりがある。そこへ、都会からひとりの捜査官がやってくる。FBIの切れ者だ。本来ならば、よそ者として疎まれる立場の彼が、町の人を敬い、町に溶け込むことを最優先とし、やがて、人々は彼に全幅の信頼を寄せる…。

と、こういう展開。どっかで見たことあるよなあ…。で、最近気づいた。これって「金田一シリーズ」も一緒じゃん!よそ者としての視点って結局観客の視点でもあるわけです。だから、よそ者である主人公がどんどん裏に隠されたものを暴き出すプロセスって、見ている私たちも実にスリリングに感じられる。こういう構図は探偵物では王道のパターンなのかしら。

そして、episode2のラストシーンについに来ました。「小人と赤いカーテンの部屋」。私は、このシーンが「ツイン・ピークス」にどっぷりハマった人と、去ってしまった人を分けたボーダーラインではないかと思う。episode2と言えば、物語はまだ始まったばかり。その段階で、早くもリンチワールドが最高潮に達する。それは「俺の撮りたいように撮るから」という宣言のようにも見える。小人のダンスに魅せられ、カーテンの向こう側を覗いて見たいと感じた人は、さらに深みにハマっていくこととなる。
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by galarina | 2007-07-19 23:25 | TVドラマ