「カーサ・ガラリーナ」にお引っ越ししました


by galarina
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ギプス

2000年/日本 監督/塩田明彦

「関係性の映画」
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フェチ道全開。ギプス、松葉杖、眼帯、包帯、車椅子。病院プレイが好きな人にはたまらないアイテムがそろっています。終盤はクローネンバーグの「クラッシュ」にも似た世界へ突入。義足のジッパーとぎりぎりと締め上げるようなスタイリッシュな映像美はないものの、物語がどう進むのかまるで先の読めない不安感は、こちらが上かも知れません。

「私がギプスをはめると何かが起こる」という環。そのぎこちない歩みに、とめどなく惹かれる人がいる。もちろん、性的な意味合いで。こういうテーマだけでも十分に面白いです。松葉杖の女の後をまるで魔物に取り憑かれたようにフラフラを追う人々がいるということ。その深層心理は一体何か。実に興味深いですね。単にギプスの中を覗いてみたい脚フェチ心理だけではないように思います。このテーマで2000文字くらいは書けそうです。

さて、作品の見栄えを文章化すると、極めてキワモノムードの高い作品に思われがちですが、本作の真髄は「和子」と「環」という2人の女性の関係性を描くことに終始しているということでしょう。前作「月光の囁き」のSM的恋愛関係はやや特殊でしたが、本作ではそれを女同士の力関係に置き換えています。環に触発された和子はバイト先で横暴に振る舞ってみたり、松葉杖をついて環の気分を味わってみたり。相手より優位に立ちたい、相手から必要とされると嬉しい、相手に裏切られると憎らしい…etc。徹底的に、1対1の人間関係が織りなす心理模様が描かれていくのです。そこには、友情を築きたいとか、愛しあいたい、という目的は一切見えてきません。だから、先が全く読めないのです。けだるいギターのBGMもツイン・ピークスのよう。妖しげな塩田ワールドにどっぷり引き込まれました。
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by galarina | 2008-09-04 13:15 | 映画(か行)