「カーサ・ガラリーナ」にお引っ越ししました


by galarina
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フランシスコの2人の息子

2007年/ブラジル 監督/ブレノ・シウヴェイラ

「私だって、できることなら夢を子供に託してみたい」

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息子たちは一方的に音楽をフランシスコから強要されていたのだろうか。私には、とてもそうは思えなかった。音楽は、家族の夢であり、愛であり、潤滑油だった。ありったけの作物や父の形見と交換して、アコーディオンとギターを購入したフランシスコに妻は一度は眉をひそめたけれども、彼のその一途な思いがただの我が儘などではないことを悟っていたように思う。フランシスコは、生涯を通じて「音楽」という贈り物を子供たちに贈り続けたのだ。どん底まで貧しくなろうとパチパチと電気を付けたり消したりして無邪気に喜び、土地を手放した悲しみにくれることなく慣れない土木工事に取り組み、発売日の決まらぬ楽曲を同僚たちにも呼びかけ何度もラジオ局にリクエストし、そうやって彼は、いつも前向きに生きてきた。そんな父を喜ばせたいと思わない息子がいるだろうか。

あんなに音痴だった息子が少しずつ音楽の実力を身につけ、認められるようになる喜び。旅に出る息子を手放す寂しさ。家族の悲喜こもごもを描く前半部がとてもいい。一方、ミロズマルが成長してからを描く後半部は、実話ということもあり、スターになった彼の足跡を追っただけの感が強く、物語の深みにやや欠けるのが残念。

さて、本作のもう一つの楽しみ方。それは、鑑賞後、自分が誰の目線でこの物語を捉えたかを確認するということ。私は母親だけど、すっかりフランシスコ目線、つまり父親目線だった。しかし、他の方の感想を見るに、母親目線の方もいれば、子供目線の方もいるようだ。私自身は、先日見た「スクール・オブ・ロック」じゃないけど、大人ってもっと子供に体当たりで挑んでいかないといけないんじゃないかって、最近つくづくそう思ってる。だから、フランシスコがとことん彼らに情熱を傾けるその様が、それが時には思慮浅く見えようとも、何だか羨ましくて仕方なかった。実際の映像がかぶってくるエンディング。私には少々蛇足に思えた。だって、「僕が旅立つ日」を歌った切ない歌詞の楽曲がとてもすばらしくて、あの切ない旋律にしばし浸っていたかったんだもの。
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by galarina | 2008-08-27 17:17 | 映画(は行)