「カーサ・ガラリーナ」にお引っ越ししました


by galarina
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中国の植物学者の娘たち

2005年/カナダ・フランス 監督/ダイ・シージエ

「映像の美しさは必見」

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孤独な魂がたとえようもなく美しいものに出会えば、おのずとそれを愛するようになるもの。これ、必然なり。ふたりが愛し合っていることに微塵の疑いもないが、発端は孤児として簡素な生活を送っていたミンが、初めて圧倒的な美を目の前にし、ひざまづきたい衝動にかられたことではないだろうか。それほど、蒸した薬草の上でまどろむアンの裸体は美しかった。それゆえ、あの薬草が幻覚を引き起こすという話は、余計なものとすら感じられたのだが。

ダイ・シージエ監督は中国で生まれ、フランスで映画を勉強したとのこと。だからだろうか、観客が期待するアジアン・エキゾチックなムード作りがあまりにツボを得ていて、どのシーンもため息が出るほど美しい。中国人監督ゆえ、その描写は誇大表現ではないのだろうと、安心してこの世界に入り込むことができた。ハリウッドがさんざん犯してきたジャパニーズ・エキゾチズムの間違いを、誰か日本人監督が正してくれないものだろうかと思わされる。「さくらん」じゃダメなんだよ。

アンの虜となったミンの心の移り変わりをもっと感じたかった。ふたりの間に肉体関係はあるが、それもまた孤独なもの同士が体を温め合っていることの延長線上の行為のように思える。ならば、ふたりの結びつきは肉欲ではなく魂。しかしラスト、悲劇に向かいながらもふたりの様子のあまりにもさばさばとしたあっけなさが物足りない。あくまでも清らかな心根にこだわりたいのはわかるが、ふたりの純粋な愛を前にして感極まって涙あふれる、そんな感情も残念ながら湧いてこないのだ。しかし、この映像美は必見。ふたりの愛の形よりも、ふたりの愛を彩る植物園に心奪われた。
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by galarina | 2008-06-16 23:35 | 映画(た行)