「カーサ・ガラリーナ」にお引っ越ししました


by galarina
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星になった少年

2005年/日本 監督/河毛俊作

「音楽の力で泣かせる作品ではないはず」

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当たり前だけど、音楽は映画にとって、とても重要な要素。だから、双方がしっかりと溶け合うように作品を仕上げるべきなのに、音楽が流れると急にボリュームがぐわ~んと上がって、「さあ、泣いてくださーい」とごり押しされる。本作は、音楽の力など借りなくても、話そのものが十分に感動的。これ見よがしに坂本龍一の音楽をかぶせる必要など全くないのに、なぜこうなってしまうのか。「世界の教授」に対する遠慮か、それとも盛り上げたい一心か。いずれにしても、この音楽の使い方は、物語がそもそも持っている吸引力を弱めているとしか思えない。それは、がんばって演技している俳優にとっても、作曲家にとっても、失礼な使い方ではなかろうか。

私は坂本ファンなので敢えて言うけど、彼の音楽は旋律がとても特徴的ゆえに、作品の中で音楽が一人歩きしてしまう。かなり神経質に扱わないと、作品のイメージごとごっそり持って行かれる、かなり取り扱い注意なシロモノだと思う。

そして、このような感動作をそれなりの完成度でもって仕上げる力が日本映画には、まだまだ足りないなあというのを痛感する。若くしてタイに渡り象の調教師を目指した少年が志し半ばであっけなく事故死してしまう、というプロット(しかも、実話)は、とても個性的だし、つまらない小細工などしなくても、確実に多くの人々の心を掴む作品になるはず。なのに、それができない。家族間の確執に迫っていないし、演出も凡庸。この素材を韓国へ持っていったら、きっと一定レベルの感動作に仕上げてくるような気がする。オーソドックスな物語をオーソドックスにきちんと仕上げる。そんな、映画を作る基礎体力がこの作品には欠けている。常盤貴子は母親には全く見えないし、高橋克美も存在感が薄すぎる。ミスキャストだと思います。物語をいちばん引っ張っているのは、象の存在。それが、せめてもの救いです。いい素材なのにとても残念な仕上がり。
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by galarina | 2008-03-05 23:33 | 映画(は行)