「カーサ・ガラリーナ」にお引っ越ししました


by galarina
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スウィーニー・トッド フリート街の悪魔の理髪師

2007年/アメリカ 監督/ティム・バートン
<TOHOシネマズ二条にて観賞>

「悪夢を描けば天下一品のティム・バートン」

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(ラストシーンについて触れています)
さすがティム・バートンの映像美でした。使用する色のバリエーションを極力抑えています。例えば、黄色やオレンジといった暖色系の色遣いはほとんど出てこない、それによって、真っ赤な血の色を際だたせています。そして、ベースにあるグレーや深緑、暗いブルーなどの色合いは、錆びた鉄を思わせるようなざらつき感を伴っています。

そして、血の色よりも、むしろ人物の青白い顔の浮かび上がりようが、気味悪い。この異様なまでの顔の白さ、まるでパペットのよう。これは監督お得意のストップモーション・アニメを本物の人間で実現させた作品ではないかしら。色遣いが「コープス・ブライド」にそっくりですもの。ミュージカル仕立てで、現実離れした異世界として作品を描けたことも、人形劇のようなムード作りに一役買っています。

哀れな殺人鬼、スウィーニーを演じるジョニー・デップが本当にステキ。本来ミュージカルならば、もう少しオーバーアクトであるのが正解かも知れません。しかし、スウィーニーは常に陰鬱です。ティム・バートンは復讐心がメラメラと燃え上がるような殺人鬼には敢えてしなかったのでしょう。妻と子供を奪った奴らに仕返しをする決意は固めているものの、既に何もかも失ってしまった抜け殻のような男がスウィーニー。だから、歌がうまくて、演技も大振りな役者は、監督が思い描くスウィーニーとはおよそかけ離れているはず。ジョニー・デップは抑えた演技ながらさすがの存在感で悲しき殺人鬼を演じきりました。お見事。歌もうまい。

ミセス・ラヴェットの夢想シーンが暗い物語に唯一明るさをもたらしています。極悪非道な悪人が、人並みの幸せを思い描くと言う、何とも滑稽でブラック・ユーモアたっぷりのシーン。浜辺でしましまの水着を着て憂鬱そうに海を眺めるスウィーニーに、思わず笑いがこみ上げる。ブラック・ユーモアと言えば、死体が流れ作業のように地下室に落とされるシーンも、実にティム・バートンらしい。「チョコレート工場」の流れ作業を思い出しました。

そして、あまりにもあっけないエンディング。若者と娘はあの後どうなったのだという疑問は残りますが、抱き合うスウィーニーとルーシーをどうしてもラストカットにしたかったのかも知れません。お互いの鮮血にまみれながら、ようやく巡り会った2人。「悪」と「ロマンチシズム」を常に融合させてきた、実にティム・バートンらしいエンディングではないかと思うのです。
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by galarina | 2008-01-21 22:53 | 映画(さ行)