「カーサ・ガラリーナ」にお引っ越ししました


by galarina
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サンシャイン2057

2006年/イギリス 監督/ダニー・ボイル

「かなり抑制されたSF作品」

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なぜか「中庸」という言葉を思い浮かべてしまった。SF大作と聞いてまず想像するのは壮大な物語とダイナミックな宇宙の映像だろう。しかし、本作品は、そのいずれもが抑制の効いた見せ方になっている。なるほど。映画館に見に行った方々の評価が芳しくなかったのもうなずける。シネコンにSF大作を見に行く人が期待するものを満足させてくれるものは、ここにはないかも知れない。

でも、私はそれなりに面白かった。それは、SFアドベンチャー的要素を過剰に盛り込まない行為、すなわち観客への裏切りを楽しむことができたから。まず本作、クルーをちゃんと紹介してくれない。宇宙船という閉じた空間で起きる人間ドラマ。ならば、まずはメンバー紹介をしてくれないとわからんではないか。なのに、物語はどんどん進む(笑)。しかも、イカロス1号はすでに行方不明になっているなど、まるで途中から見始めたような錯覚を覚える。ものすごく説明不足なのだ。これでつまずく人は正直多いかも知れない。しかし、私は、この語らなさは製作者の挑戦だと思って、そんなら受けて立つぞ、って気持ちになって一生懸命見てしまった。

「太陽の光に魅入られる」というコンセプトは、なかなか面白い。間近で見れば間違いなく視力を失う。なのにもっと近くで見たい、という欲求に逆らえないクルーたち。おそらくSFものって言うのは、宗教観とは切っても切れない。やっぱり宇宙に出ることは、神に触れることなのだろうし。でも、その宗教臭さの代わりに「太陽光」への畏敬の念をもってきた。それはなかなか新しい視点じゃないだろうか。

クルーが一人ずついなくなってしまう。まあ、ちょっと予測できる展開ではあるけど、最終的に核弾頭を投げ込む人物をヒーローにおだてあげたりしないのは好感が持てる。しかし、クルー同士の信頼や裏切りといった部分にもう少しドラマ性が欲しい。まあ、いろんな意味で裏切られる映画。そこを楽しめるかどうかですね。そして、全体的にとても地味なトーンなのに、船外で着る宇宙服だけが、目もくらむばかりのピッカピカの黄金宇宙服。これまた、妙な残像。
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by galarina | 2007-11-15 00:00 | 映画(さ行)