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by galarina
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ツイン・ピークス シーズン1 vol.1

1989年/アメリカ 監督/デヴィッド・リンチ
<プロローグ&episode1>

「類い希なる才能。リンチの“焼き付ける力"」
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ようやくレンタルでリリースされた「ツイン・ピークス」。あれから15年以上たっているというのに、プロローグでの名場面をことごとく覚えているということに驚く。ビニールにくるまれたローラの死体を始め、暗い階段とシーリングファン、暗闇に揺れる信号機、不気味なふくろうなど、それらの映像はそっくりそのまま記憶の中のものと符合する。まるでローラの母親が叫び出す瞬間に見るフラッシュバック現象のようだ。

改めて感じるのは、リンチの映像は一連のシークエンスというのではなく、「ストップモーションの強烈なイメージ」として、脳内に流れ込んでくるような衝撃を持っているということ。先にあげた印象的なシーンにおいても、まるで私の網膜に焼き付けられていたような感じだ。そこで、ふと思い出すのがデヴィッド・リンチは画家を目指していたと言うエピソード。今でも個展など開いたりしているが、彼の絵描きとしての才能がこの独特の“絵力”に結びついているのではないかと思うのだ。

また、彼はツイン・ピークスシリーズで多くの印象的な「アイコン」を作りだしている。ドーナツ、剥製の鹿の頭部、ボイスレコーダー、ローラのポートレート…。数え上げるときりがない。これらの「小道具」は犯人は誰かという本筋とは関係ないが故に妙な違和感と共に我々の記憶の中にぶら下がっている。リンチはストーリーをないがしろにする作家ではないが、やはり我々に「イメージを焼き付ける」ということにおいて、類い希なる才能を持っていることをひしひしと感じる。語ったり、説得したりすることは訓練すれば上昇するスキルのように感じられるが、イメージを提示するということは、やはり天賦の才だろう。

そして何より、彼のすばらしさは、人を不快にさせないということ。カルト作家と呼ばれる人たちは、時に人間の見たくもない部分を無理矢理見せ、観客に不快感を与えることがある。しかし、リンチは観客を不安にさせても、不快にはさせない。確かにドキッとする映像には違いないが、嫌悪感を催すことはない。リンチワールドとは、とことん魅惑的で甘美な世界であるからだ。

アメリカのドラマ界を一変させ、多くのフリークを生み出した「ツイン・ピークス」だけども、今見てもリンチ印いっぱいの幻想ワールド。新作「インランド・エンパイア」までに、何とか全部見ておこうと思う。
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by galarina | 2007-07-18 22:48 | TVドラマ