「カーサ・ガラリーナ」にお引っ越ししました


by galarina
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寝ずの番

2005年/日本 監督/マキノ雅彦

「生きた証に下ネタを残そう」
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そりゃまあ、下品な言葉のオンパレードで、ところどころ耳をふさぎたくなるような脱線ぶりもあるんだけれど、見終わって思うのは、私も死んだらこうやってドンチャン騒ぎして欲しいなあってことなの。お通夜で死んだ人間の話を酒の肴に祝宴をするってのは、この上ない供養やなあとしみじみ思うわけです。まあ、その話が100%下ネタなんですけどね。

その100%の徹底ぶりというのは、なかなか見上げたもんで、下ネタ以外で故人を偲ぶシーンはほとんど出てこない。それでも、最終的には「あの人はええ人やった」となるんですね。人を称えるのに、高尚な話なんか必要あらへん。ちょっとおもろい下ネタ話の一つや二つあったらええ。あんまりまじめに生きてたら、見送る人もネタ話がない。結局人間、生きてるうちにどんだけアホできるか言うことです。

それに死体の横たわった空間でこれだけ下品な話をするってのも、なかなかシュールなことでね。結局人間のすることを突き詰めたら、セックスすることと、排泄すること、この二つだということでしょう。それが死体を目の前にして死を実感できる場においては、最もふさわしい話題にすら思えてくる。一方セックスと排泄の話をこれでもかとすることで、見送る人間は生を実感している。「死んだ人間」と「生きてる人間」が共に集う空間だからこそできる、どこまでも下品な宴なんでしょう。

今思い出すに、人間とは突き詰めれば「セックス」と「排泄」というような考えは、原作者の中島らもちゃんもよく言っていたことのように思えます。生前のらもちゃんと津川雅彦氏に繋がりがあったかどうかは知らないけど、実にこのらもワールドを了解した上での作品という感じがします。

さて、本作は、テレビでは流せない放送禁止用語が連発で、かなりどぎつい言葉も出てきます。しかし、これが許せるのも、ここが「お通夜の席」やから、というのがポイントです。こんな会話、居酒屋でしてたらつまみ出されます。本当に故人と親しいものだけが集う閉ざされた空間だからこそできる、そこまで言うかの下ネタ話。またそれに、クソまじめに「ほほう」と唸る大人たちが実におかしい。

長々と続く下ネタ合戦がかったるいなあ~と思ったところで、回想シーンが入ったり、幽霊が出てきたりと物語の締め具合もいい感じ。また、中井貴一のとっぽい落語家が案外イケる。この人は、すっとぼけた役の方が似合うと思う。ほとんどが関西出身の俳優陣の中に実にうまく溶け込んでました。そして、富士純子が実に美しいですなあ。彼女の撮り方には監督の意気込みを感じました。下ネタを共有できる人と一緒に見て大笑いしてください。ちなみにボリュームは隣人の苦情が出ないようあまり大きくしないことをオススメします。
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by galarina | 2007-05-24 22:32 | 映画(な行)