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「カーサ・ガラリーナ」にお引っ越ししました


by galarina
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スパイダーマン3

2007年/アメリカ 監督/サム・ライミ
<MOVIX京都にて鑑賞>

「詰め込みすぎでラストのセリフが効かなかった」
スパイダーマン3_c0076382_21432052.jpg
(ラストシーンについて触れています)

何とまあ、てんこ盛りの内容なんでしょ。有頂天になって恋人からは見放されるわ、誤解したまま敵となった友人は記憶喪失になるわ、おじさんを殺した犯人は脱獄するわ、おまけに自分自身が変な生命体に体を乗っ取られるわで。ちょっと何でもかんでも入れすぎでしょ。まあ、これがシリーズ最終作なら、いろんなことに白黒付けるってんでこういう展開も仕方ないか、と思ってたら、続編もあるかも?ってことらしくおいおい。(ただし主役の二人が続行するかは不明らしい)

そもそもスパイダーマンの醍醐味ってのは、ニューヨークのビル群を蜘蛛の糸を飛ばしながら飛び回る様子にあるわけで、今作においてはその目玉部分に工夫が見られなかったのが残念。飛び出た糸をどう使いこなすかってことで「こんなやり方もあったのか!」ってあたりを見たかったんだけどなあ。敵ともみ合ってビルのすき間を落下していくなどスピーディなアクションシーンはCGべったりな感じで、もっとアイデアが欲しい。

だってね、スパイダーマンの悪役ってのは、素粒子の実験だの、核実験だの、浮世離れした実験ミスで生まれた生き物でしょ。これがどうもピンと来ないのよ。全シリーズ「本当はイイ奴」が「たまたま」科学実験で悪者になったという設定なんだけど、キャラの描き込みが不足しているから、本当はイイ奴だったという部分があまり生きてないのね。だから、本来はメインとなるべき敵との対決が醍醐味にならないの。

やっぱり原作がアメコミだし、人物の描き方をどうこう言っても仕方ないのかも知れません。でも、それならなんでこんなに物語をてんこ盛りにしたのかってこと。苦悩するスパイダーマンを通じて伝えたいものがあるんでしょ。最近どの映画もそうなんだけど、「911」の影響で「復讐しない」ってコンセプトを入れたいのよね。なら、なぜそこにもっと焦点を絞らなかったのか。散漫な物語にしたためにそのコンセプトがあまり伝わってこない。せっかくスパイダーマンに「ぼくは君を許すよ」という重要なセリフを言わせているのにちっとも効いてないの。

そういう意味では、「他人のために人生を犠牲にすること」と「彼女に寄り添うこと」の間で揺れた前作の方が、物語の軸がしっかりしていて良かったなあ。

とまあ、あんまり辛口でも何なので、面白かったのは黒い糸が全身をまとわりつくように増殖するシーンやサンドマンの生成の仕方かな。あとフレンチレストランね。ここはかなり笑った。こういうシーンの方が印象に残ってたりして…。
by galarina | 2007-05-12 22:07 | 映画(さ行)