「カーサ・ガラリーナ」にお引っ越ししました


by galarina
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ブラッド・ダイヤモンド

2006年/アメリカ 監督/エドワード・ズウィック
<MOVIX京都にて鑑賞>

「骨太で壮大。アフリカ問題を突きつける渾身の力作」
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非常にすばらしかったです!本当に期待以上の出来映え。私はこの日をもって、ダイヤモンドはもちろん、あらゆる宝石を欲しいなんて絶対に言わないと誓いたい。それほどインパクトのある作品だった。

まず、物語の構造の組み方がすばらしい。政治及び経済的な問題点は、実に様々な面から切り口が設けられていて、観客は多様な視点からこの「紛争ダイヤ」について考察することができる。ダイヤで設けたい企業、それを欲しがる市場、利権を取り返すために結成されるテロ組織と内紛問題、アパルトヘイト政策、そしてアフリカの貧困…etc。数え上げるときりがないほど「紛争ダイヤ」を取り巻く問題は複雑に絡み合っている。

このことが、「○○が悪い」「○○を変えれば紛争ダイヤはなくなる」と言った一元的な解決論は、どうあがいても出てこないのだ、という圧倒的なリアリティを持って観客に迫る。確かにそれは、悲劇的なことだけど、イージーなハーピーエンドや短絡的な収集の付け方をすれば、真の意味での「紛争ダイヤ」問題を観客に伝えることはできない。

そして、この複雑な政治・経済問題に、ダニー、ソロモン、マディ、三者三様の「個の物語」が絶妙に絡み合っている。しかもこの「個の物語」の中にも、復讐心、親子愛、人間同士の信頼、メディア批判などの要素が巧みに織り交ぜられている。これほど多様なメッセージが破綻することなく、一つの壮大な物語として成立しているなんて、全く何と素晴らしい作品なのだろう、と驚嘆せずにはいられない。

幾重にも重なるメッセージを一つの物語として紡ぎ上げる脚本力に加えて、私がとても感心したのは次の二つ。一つ目は、銃撃・爆撃シーンのリアリティ。街中でダニーとソロモンが逃げるシーンやラストの空爆シーン、そして少年兵の発砲シーンなど、まさにこれがアフリカの現実なのだと目の前に突きつけられるような痛みが体を突き抜ける。これは、娯楽大作でのお祭り騒ぎのような爆薬の無駄遣いとは明らかに一線を画するものであり、まさに「暴力の恐怖」を我々にまざまざと見せつけるものであった。

そして、二つめはレオナルド・ディカプリオの演技。これは、もう参りました。本当に素晴らしかった。複雑な生い立ちを持つダニーという男の魅力を存分に伝えていました。決して善人ではないけれど、これほどまでに生きることにタフな男は見たことがありません。元傭兵であったという設定にそぐわぬ体当たりの演技、そして悲しい過去を持つ繊細な魂。体の演技と心の演技、共にパーフェクト!で、ああ、これほどまでに絶賛したアメリカの役者は最近いないかも…。

最初の飛行場での取引シーンで彼がアフリカ訛りのような英語をしゃべるんですけども、ここですでに私はぐいーっと惹きつけられましたね。そこにいるのは、レオ様なんかじゃない、というのが迫ってきて。私は、レオナルド・ディカプリオの作品はあまり見ていないのですけど、これからはきちんと見ていこうと思います。もちろん、ジェニファー・コネリーとジャイモン・フンスーも良かった!

というわけで、ストーリー、役者の演技、問題定義の在り方など、全てがすばらしかった。実は、「ラスト・サムライ」で「下手なラブストーリー入れるなよ」と鑑賞後にツッコミましたが、それがエドワード・ズウィックに伝わったのでしょうか?本作はつまらない恋愛は省いて、実に骨太な見応えのある作品になっています。ぜひ、多くの人に見て欲しい!
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by galarina | 2007-04-21 22:19 | 映画(は行)