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「カーサ・ガラリーナ」にお引っ越ししました


by galarina
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Shall we Dance? シャル・ウィ・ダンス?

2004年/アメリカ 監督/ピーター・チェルソム

「夫としての「ケリ」をつけたジョンに拍手!」
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アメリカでリメイクされたのだから、アメリカ人が感情移入できるように改変するのは当たり前。オリジナルと比較することでこの作品の魅力が損なわれるのはもったいない。むしろ、私はオリジナルの持つ「小津」的ワールドをできるだけ損なわないように作られたんだな、と感心した。

日本と同じようにアメリカにもサラリーマンの悲哀はある。それは遺言専門の弁護士という設定で十分に出ている。道を歩けば弁護士に当たるというアメリカ社会で、死亡後の事後処理に明け暮れるジョンが語るナレーションは、アメリカ人のハートにしっかりと染み入るものだったのではないだろうか。

ほとんど同じ脚本でたった一つの相違点。これをどう見るかによって評価は分かれるようだ。正直、私はこの改変をとってもステキだと思っちゃった。つまり、アメリカ人は、オリジナルの役所広司の「ふんぎりのなさ」に「ケリ」をつけてくれたのです。もちろんオリジナルは大好きな作品ですが、あの時感じた「やっぱり最後まで奥さんはおいてけぼりだな」と思った私の感情にしっかり答が出されていて、このラストの展開はもしかしてオリジナルより好きかも!?と思ってしまったくらい。

このふんぎりの付け方って言うのは、日本人とアメリカ人の違いを実にシンボリックに表現していると思いますね。この改変は、アメリカ人の「奥さんへのおべんちゃら」かも知れないですけど、やっぱり120分の中できちんと答を出してあげる、というね。オリジナルは専業主婦ですが、リメイク版はキャリアウーマンでしょ。今時の女性なら、リメイク版の方がむしろ心情的にはしっくり来るんじゃないかな。

もう一組のペアも竹中直人と渡辺えり子ほど、キャラが立ってないと言う人もいるようですが、果たしてそうでしょうか?我々は日本人で、そもそも竹中直人のコメディアンとしてのキャラを知っているからそう思えるだけ。探偵事務所の助手がいちいち格言めいたことを言う辺りもシャレてます。

周防監督の作品が好きなので敬遠していましたが、もっと早く見れば良かった!と後悔しているくらい。夫としての「ケリ」をきちんとつけるリチャード・ギアは役所よりエライ!と私は拍手してしまいましたよ。エンドロールで出演者たちのその後も描かれていますが、これもアメリカらしくってGOOD!
by galarina | 2007-03-19 13:55 | 映画(さ行)