「カーサ・ガラリーナ」にお引っ越ししました


by galarina
カレンダー
S M T W T F S
1
2 3 4 5 6 7 8
9 10 11 12 13 14 15
16 17 18 19 20 21 22
23 24 25 26 27 28 29
30

花よりもなほ

2006年/日本 監督/是枝裕和

「それでもボクは仇を討たない」
c0076382_1891318.jpg
来ましたね。心にじーんと。
この映画は是枝監督の「911」への返答だと感じた。

宗左は「父から仇を討ってくれ」と死に際に言われ、「仇がどこにいるのかもわかって」いながら、結局仇は取らない。それが全て。仇を討って全員が切腹してしまう赤穂浪士の面々と、仇を討たずに長屋のみんなとの暮らしを選ぶ宗左を対比させて描いていることからも、それは伺える。「仇討ちは儲かる」というシーンもしかり。

しかも、この両者を同じ長屋に住まわせている辺りに、是枝監督の強い心情が伺える。そのほのぼのとしたストーリー運びとは対照的に、表現方法としてこんなやり方があったのか、と私は軽い衝撃を覚えました。

つまりは「生きろ」ということです。何だか途中で「硫黄島の手紙」を思い出してしまった。

そして、長屋の面々が実に魅力的。特に木村祐一はおいしい役どころだねえ。「来年も咲くから、潔く散る」なんてこの映画の本質を彼に語らせる辺り、是枝監督はよほど役者としてキム兄を見込んでいるんだなあ、と感じたのは私だけかな。彼が同じ是枝組の西川監督作品「ゆれる」で実に頭の切れる検事役をこなしているのを観ると、ますますそう感じてしまう。

一見して、実にオーソドックスな長屋の人情物語に、深いメッセージがたくさん織り込まれている。「花よりもなほ」というこのタイトルも秀逸。何だかやらわかで抽象的で、適当につけたようなこのタイトルの意味が、最後まで観ると合点がいきます。

強い批判精神を、柔らかなタッチで描き我々の心に染みこませる。そんな実に映画的な感動を味わえるお手本のような作品。是枝監督のメッセージを、多くの人に受け取って欲しいと思いました。
[PR]
by galarina | 2007-03-12 18:09 | 映画(は行)