「カーサ・ガラリーナ」にお引っ越ししました


by galarina
カレンダー
S M T W T F S
1 2 3
4 5 6 7 8 9 10
11 12 13 14 15 16 17
18 19 20 21 22 23 24
25 26 27 28 29 30

嫌われ松子の一生

2006年/日本 監督/中島哲也

「楽しかったけど」
c0076382_13211229.jpg
この映画のタイトルは「嫌われ松子の一生」です。松子の一生を映し出す映画です。じゃあ、松子はどんな人生だった、と言いたかったのか。それは、ただひとえに男に愛されたかった女の人生です。松子は愛されたかった。それは、小さい頃に父に愛されなかったトラウマでもあります。病弱の妹ばかりをかわいがった父。もっと私を愛して。そんな思いが数々の男たちとの出会いの発端であります。

なんですがね、どうも松子が愛した男たちが、みんなただの通り過がりの男に見えちゃって。もともと、松子ひとりでずんずん暴走していく物語だから、どうしてもそうなっちゃうのはわかる。でも、一人ひとりの男たちと松子の間にもう少し濃密なものが欲しいな、と感じてしまったな。そんな中で松子と最も濃密な関係性を見せてくれたのは、男じゃないんだけど、黒沢あすかだった。

この作品の黒沢あすかは、すごくいい。「六月の蛇」は苦手だったんだけど、この気っぷのいい姐さん役はハマってましたなあ。出てくる役者、みんながみんなすごく有名人ばっかりで、ほんとオールスターキャストって感じだっただけに、逆に黒沢あすかの無名性が良かったんだろう。「まっちゃん!」と呼びかけるその様が非常に堂に入ってて、このキャラクターに命が吹き込まれてた。後は、みんな存在感はあるのだけど、血が通ってないっていうのかなあ。確かに、みんなキャラは立ってました。だけども、先に言ったように松子との関係性がすごく希薄なのよ。

松子の苦しみ、愛への渇望、どこまでもついてない人生に思わずぐっと来る場面も、そこかしこではあったのだけれど、全体の印象としては「松子と楽しい仲間たち」って感じになってしまった。

もちろん、このとんでもない暴走っぷりと極彩色の映像は中島哲也の才能がいかんなく発揮されていると思う。そこに世界はある。どんどん不幸になっていく松子に感情移入できなかったかというと、そうでもないし。だけど、この物足りなさは何だろう。

たぶん途中からね、これは中谷美紀のための映画という感じがしてきて、それが邪魔をしちゃったんじゃないかな、と自己分析。スクリーンに松子を見るのではなく、ここまでがんばってる中谷美紀というのを見いだしてしまった。

松子の最後の男を演じる伊勢谷友介がとてもカッコイイ。まだまだ下手ですけど、確実に存在感が出てきてますね。それから、やっぱり荒川良々。ったく、いつもいつも、まいっちゃうね、この人には。全部、喰っちゃうもんね。「見た目はイマイチだけどつぶらな瞳で…」ってナレーションで荒川良々が映って、思いっきり吹き出してしまった。

松子と他の人物の関係性なんて、そもそもそんなに深く描くつもりはなかったんだとは思う。ひたすら、やみくもに走る松子を追い続ける映画なわけだから。でも、そこに私は物足りなさを感じたんだから仕方がない。前作「下妻物語」は、テンポのいい映像にロリータとヤンキーという異なる分子がぶつかり合う、濃密な関係性が描かれていた。個人的には、そういう映画の方が私は好みなんだな。
[PR]
by galarina | 2007-03-07 23:49 | 映画(か行)