砦なき者
2007年 03月 04日
2004年/日本 監督/鶴橋康夫 脚本/野沢尚
「テレビを信じてはいけない」
「破線のマリス」に引き続き、テレビ局の功罪をよりセンセーショナルに描いた傑作。テレビドラマだけど、DVDも出ているので多くの人にぜひ見て欲しい。
「破線のマリス」よりもメディア批判はさらにパワーアップしてる。実際公式HPの原作者よりというページで野沢氏自身が、『この「砦なき者」のテーマは、テレビを信じてはいけないということ』、と言い切っている。テレビドラマというジャンルで曲がりなりにもギャラをもらっている人が、ここまで痛烈な批判を行う勇気はあっぱれだと思う。
そして、恋人の自殺はメディアの報道にあると訴えて一躍カリスマになっていく妻夫木聡が非常にいい。実は、私はオンエア当時、この悪役を妻夫木君がやると聞いて、少々不安だった。でも、蓋を開けてみればなんの、なんの。影のある青年を見事に演じてる。2003年の「ジョセと虎と魚たち」、2004年の「砦なき者」で妻夫木聡は、確実に演技派への階段を上ったと思う。
妻夫木聡演じる八尋樹一郎は、報道の被害者という世間の同情をうまく利用してカリスマになっていく。これは、メディアそのものが「叩かれることに慣れていない」ことをうまく利用しているわけだ。つまり、被害者だと訴えられたことで萎縮してしまい、彼に対してまるでお手上げ状態。お祭り騒ぎは上手だが、批判されるとめっぽう弱いメディアの体質。しかし、メディアをそのように甘やかしているのも私たち自身なのだ。メディアに映るものを本質と受け取ってしまう、大衆心理の愚かさ。我々、日本人は実に「批判精神」が欠けている。
メディアに復讐したい男、八尋と八尋によって人気キャスターの座を追われた長坂(役所広司)が対決するラストシーンもすばらしい。揺れ動く人間心理を巧みに描く野沢尚氏の脚本が、一級品のドラマを創り出す。最初から最後まで続く緊張感は見応え充分。見終わった後、確実にメディアなんて信用できない、という気持ちになるだろう。そして、そんな批判精神でメディアを捉え続けた野沢尚のドラマがもう見られない、という事実もまた、深く胸に迫る。
「テレビを信じてはいけない」
「破線のマリス」に引き続き、テレビ局の功罪をよりセンセーショナルに描いた傑作。テレビドラマだけど、DVDも出ているので多くの人にぜひ見て欲しい。
「破線のマリス」よりもメディア批判はさらにパワーアップしてる。実際公式HPの原作者よりというページで野沢氏自身が、『この「砦なき者」のテーマは、テレビを信じてはいけないということ』、と言い切っている。テレビドラマというジャンルで曲がりなりにもギャラをもらっている人が、ここまで痛烈な批判を行う勇気はあっぱれだと思う。
そして、恋人の自殺はメディアの報道にあると訴えて一躍カリスマになっていく妻夫木聡が非常にいい。実は、私はオンエア当時、この悪役を妻夫木君がやると聞いて、少々不安だった。でも、蓋を開けてみればなんの、なんの。影のある青年を見事に演じてる。2003年の「ジョセと虎と魚たち」、2004年の「砦なき者」で妻夫木聡は、確実に演技派への階段を上ったと思う。
妻夫木聡演じる八尋樹一郎は、報道の被害者という世間の同情をうまく利用してカリスマになっていく。これは、メディアそのものが「叩かれることに慣れていない」ことをうまく利用しているわけだ。つまり、被害者だと訴えられたことで萎縮してしまい、彼に対してまるでお手上げ状態。お祭り騒ぎは上手だが、批判されるとめっぽう弱いメディアの体質。しかし、メディアをそのように甘やかしているのも私たち自身なのだ。メディアに映るものを本質と受け取ってしまう、大衆心理の愚かさ。我々、日本人は実に「批判精神」が欠けている。
メディアに復讐したい男、八尋と八尋によって人気キャスターの座を追われた長坂(役所広司)が対決するラストシーンもすばらしい。揺れ動く人間心理を巧みに描く野沢尚氏の脚本が、一級品のドラマを創り出す。最初から最後まで続く緊張感は見応え充分。見終わった後、確実にメディアなんて信用できない、という気持ちになるだろう。そして、そんな批判精神でメディアを捉え続けた野沢尚のドラマがもう見られない、という事実もまた、深く胸に迫る。
by galarina
| 2007-03-04 14:07
| TVドラマ