「カーサ・ガラリーナ」にお引っ越ししました


by galarina
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隠された記憶

2006年/フランス=オーストリア=ドイツ=イタリア  
監督/ミヒャエル・ハネケ

「罪と向き合う」
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(ラストシーンについて触れていますのでご注意下さい)

ミヒャエル・ハネケ、フランソワ・オゾン、黒沢清。この3人を私は勝手に「ざわざわ3兄弟」とネーミングしている。彼らは、人の心をざわつかせるのが非常にうまい。正直、人間的に信用ならない人物ではないかとさえ思いたくなる(笑)んだけど、きっとご本人にあったら全くそのようなことはなかろう。

さて、ハネケ監督のざわざわ作戦、この作品ではいきなりオープニングからやってくれます。どこかの家を遠景でとらえたストップモーション。全く画面が動かない。すると、微妙に上下に揺れ始める。これ、これ、この感じ!と叫びそうになりました。いやあ、これだけの演出でこのざわつき感が出せるって、やっぱ才能だな。

テーマは罪。人はどれだけきちんと罪に向き合っているか、罪を罪と認識しているか、それが1本のビデオテープをきっかけに顕わになっていく。誰か知らない人から一方的にビデオテープを送りつけられているという設定から、どうしても「犯人は誰か」と考えたくなるんだけど、これは、犯人探しは二の次のこと。「罪ときちんと向き合えない人間の墜ちていく姿」を描くことこそが、この映画の最大のテーマだろう。

それに、ささいなことがきっかけで、夫婦なんてすぐにダメになるんだってことがよくわかる。だいたいね、嫌がらせのようなビデオテープが送られてきて、これは誰の仕業なのって夫婦がグチグチ言い合っているなんて、実にどーってことない話ですよ、話そのものは。それがね、ここまで深いものになるわけだから、ハネケってすごいなあ、と素直に感心しちゃう。

さて、ラストシーンなんだけど、これはほんとにいろんな解釈ができる。確かに、思わせぶりなシーン。「あの人」と「あの人」が話をしているわけです。で、ふたりが共犯だった、と結論づけたくなるんだけど、どうも私にはあるひっかかりが。それは、ラストシーンもまたビデオテープに見えたんですよ、私には。つまり誰かがあれを撮っているように、私には感じた。

それから、服装。ラストシーンだけ夏の服装なの。ピエロはTシャツだしタンクトップの人もいる。ところがね、物語に出ている人々は、いつもコートやジャケットを羽織ってた。つまり、ラストシーンは、本編の話から、少し時間が経っているか、またはこの物語より以前の映像、ということ。そのどちらかでこのシーンそのものが持つ意味は異なってくる。

いずれにしても、これは誰かと一緒に見ていろいろ語りたくなる映画だ。ネットで検索すれば、それはそれは、いろんな解釈が見て取れる。あなたは、ラストシーンにどんな解釈を与えるだろう。

そうそう。このラストシーン、黒沢清の「キュア CURE」を思い出したな。
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by galarina | 2007-03-03 01:12 | 映画(か行)