「カーサ・ガラリーナ」にお引っ越ししました


by galarina
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フラガール

<梅田シネ・リーブルにて>
2006年/日本 監督/李相日

「観客を呑み込むクライマックス」
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ダンスものの映画って好き。目覚めたのは「愛と哀しみのボレロ」のジョルジュ・ドンだった。(ふる~)バレエって、軽やかなお嬢様なの踊りだと思っていた私は、彼のダンスを観て頭をカナヅチで殴られたくらいショックを受け感動した。ダンスものがラストにダンスシーンを持ってくるのは王道だけど、それでも感動できる。ダンスにはその力があると思う。

フラガールの最後のダンスシーンもすばらしい物だった。特に蒼井優のソロはすばらしかった。さすがバレエの経験者らしく、ターンがとてもきれい。ひとりだけ白い衣装で色白の彼女にはぴったりだったし。おさげでもんぺ姿の田舎の子から見事に孵化して蝶になっていく。「おれの人生はおれのもんだ!」と叫ぶ姿にはうるっとなってしまった。出演者がしっかりと訓練してフラダンスを会得しているその努力には、素直に拍手を送りたいと思う。

落ちぶれたSKDの元ダンサーまどか先生を演じるのは松雪泰子。最初はやる気を見せない彼女がやがて生徒たちの真剣な姿に刺激され、よそ者と疎まれながらも賢明に立ち向かう姿も良かった。特に銭湯に乗り込むシーン。気概のある強気な女がよく似合う。エツ様のお尻もしっかり拝めて、ワタクシちょっと興奮。こんなことでキャーキャー言ってたら「愛の流刑地」はどうなるんだ。今から先が思いやられる(笑)。

それから炭坑で働く東北弁の中年女を演じる富士純子は、今までの着物が似合うしとやかな日本女性と言ったイメージとは180度違う。しかし、非常に存在感を見せていた。あの時代のかあちゃんは、自己実現なんか関係なくてただ生きていくことに一生懸命なんだ。こんな汚れ役への挑戦は、もしかして娘の影響かな。

それから、しずちゃんね。これが意外と良かったんだわ。あの泣き顔は役者でっせ。でっかいでくのぼうみたいな田舎女を実にうまく演じてましたよ。閉ざされていく炭坑の街。だけど、フラガールたちは、見せ物呼ばわりされながらもその情熱で何とか炭坑の街に光を取り戻そうと賢明にがんばる。ラストのダンスシーンでスポットライトを浴び、観客の大歓声を受けて大団円。

物語としての予想は大体つくんだけれども、観客として素直に喜び心から良かったね、と言えるエンターテイメント作品は、観ているものを暖かい気持ちにさせてくれる。それもまた、映画としての一つの大きな役割だと思う。また、そういった王道な作品が高いクオリティを保てるのは作り手と役者が非常に丁寧に真摯に取り組んでいるからこそだと言える。

ただね、どうしても納得がいかないのは、くどい演出とカメラワーク。もう少し観客に委ねて欲しかった。例えば、敢えて自分で罪をかぶったまどかの周りでフラガールが号泣するシーン。そこでカメラがぐる~っと回りながら泣き顔をひとりずつ映していく。なんかクサイんだなあ。ひと昔前の青春ドラマみたいでね。せめてあと10%抑えた演出にしてくれたら、というのも正直な感想。

でも、「ウォーターボーイズ」や「スィングガールズ」などと比べると、さびれゆく炭坑の街、女性の自己実現といったテーマをうまく織り込みながら深みのある作品に仕上がっていると思う。私はラスト、ハワイアンの音楽をBGMにヘルメットをつかみトロッコに乗り込む豊川悦司のスローモーションのシーンが印象的だった。生きるために炭坑を捨てられない男たちもまた、それぞれの生き方を全うしようとしている。その対比がいい。ここで映画が終わってくれたら、もっと余韻が楽しめたなあ。

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by galarina | 2006-10-05 23:10 | 映画(は行)