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「カーサ・ガラリーナ」にお引っ越ししました


by galarina
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メメント

2000年/アメリカ 監督/クリストファー・ノーラン
メメント_c0076382_17101086.jpg

(ネタバレです)
「騙されることを楽しめるか」
結局この映画はそこに尽きるように思う。「これは映画じゃない!」と当時叫んだのは私の夫。その気持ちもよくわかる。最後に示される大どんでん返しがもし事実ならば、それまで必至になって集中して記憶して、主人公と共に追い続けたことは、真相ではなかったんだから。

つつき始めれば、キリがない。サミーの話が実は自分のことだったなら、なぜ10分しか記憶が持たないのに、そのエピソードは記憶として保持し続けているのか。だって、サミーの話ってのは、妻がレイプされた後の記憶を自分で捏造した物でしょ。その時彼はすでに記憶障害だったんじゃないの?

この映画を「とことん楽しみたい」人はDVD見て、それこそメモ取りながら矛盾点を解明していく喜びを得られると思う。だけども、一度目の観賞で「もういいや」と思った人は、結局映画としての快楽を得られなかった112分になってしまう。

メメントは話が巻き戻っていくが、こういった時間軸をいじることで謎を楽しむ映画は他にもいっぱいある。例えば、時間、そして現実と夢が入れ替わる「マルホランド・ドライブ」。これだって、一度見た限りでは、よくわかんない。だけども、映画館で味わった映画的快楽がないか、と言えばそんなことはない。そこには、紛れもなくデビッド・リンチの世界が広がっているからだ。

では、メメントはどうだろうか。
私、個人としては「映画は120分という枠の中で、“初見の”観客が映画的快楽をきちんと感じられること」が基本的に大切だと、思っているので、メメントに関してはちょっと否定的。そもそも、この超小刻みなリバース物語の構造だけは、見る前に知っておかないと、本当に何の予備知識もなく見始めた人は始まってすぐに置いてけぼりをくらってしまうだろうから。

だけども「これは映画じゃない!」と言い切ってしまうほどの度胸もない。だって、知りたがり屋の私はやっぱり、あそこはどうなの?じゃああれは?なんてやっぱり何度も見てしまうから。「そういう人をターゲットに作ってるんだよ」なんて開き直られたらぐうの音も出ないんだけど。

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by galarina | 2006-09-26 17:47 | 映画(ま行)