「カーサ・ガラリーナ」にお引っ越ししました


by galarina
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2004年/日本 監督/大林宣彦

「宮部作品の映画化は難しいなあ」
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出演者総数107名!これだけの登場人物がいれば、おのずと「観客が物語をきちんと整理できること」が主眼になるのも致し方ないだろう。あの人は誰だっけ?どういう関係だっけ?それはいつだったけ?といちいち思考が停止することのないよう、極力配慮がなされている。

「証言者スタイル」は原作にならっており、インタビュアーに向かってそれぞれが語りかける、という手法。このスタイルは大きな長所と短所を同時に併せ持っている。長所は「物語が整理されて追いやすいこと」。実は、私この原作読んだことあるのだ。なのに、あまり内容を覚えていない。それは、おそらくミステリである以上、犯人はこいつだ!というカタルシスを得たいのに、やたらと登場人物が多くて、最後に息切れしてしまったのが原因だと思う。

宮部みゆきの小説は、殺人事件はあくまでも切り口であって、書きたいものはその裏に隠された社会問題。しかも、一つではなくて幾層にも重ねられた社会問題ゆえに、じっくり腰を据えて読む必要がある。その点映画化されてみると、人物同士の関係性が素直に理解できた。基本的なことだけど、これだけ登場人物が多ければそれが最も優先順位が高くなるのは至極当然だと思う。「なぜこいつとこいつが繋がっているのか」それこそがこの本の最大のテーマでもあるわけだしね。

さて短所は、情緒的な感情の揺れや登場人物への思い入れが少なくなること。切ない、とか、つらいという感情の起伏は正直観ている間、私は感じることができなかった。もし、感情に訴える部分があったとすれば、いわゆる「大林ワールド」が繰り出す映像だったのかも知れない。しかし、私はこの大林ワールドが苦手なのだ。しかも、1995年の東京という設定の割にはインテリアや街並みが「昭和ノスタルジィ」過ぎやしないか。しかも、インタビュアーがいる、という前提に立った、証言者がお茶やコーヒーを出すシーン。あれがすごく気になった。それは時に1つだったり、2つだったり、4つだったりするんだもん。最後には、聞き手は私でしたなんて作家が出てくるし。あれはいらんかったよね。(監督も)

と、文句いいつつ、やはりこれは原作の持つ主題があまりにも広くて深いことが大きなポイントなんだろうな。「模倣犯」にしてもあの分厚い上下巻を映画にするのは非常に厳しかったもんね。この物語が提示するテーマは実に複雑に絡み合っている。都市問題、核家族、不況、地域社会の崩壊etc…。その背景を浮かび上がらせることが最大の使命だとしたら、この映画は成功だと言えるのかも知れない。

最後にすごく評価できるところが1つある。それは出演者が全員ノーメイクってこと。特に女優陣。彼らが素顔で語る様は、まさに証言としてのリアリティを存分に引き出していた。


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by galarina | 2006-09-11 22:15 | 映画(ら行)