「カーサ・ガラリーナ」にお引っ越ししました


by galarina
カレンダー
S M T W T F S
1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30 31

博士の異常な愛情

1964年/米・英 監督/スタンリー・キューブリック 
c0076382_1671979.jpg

頭がおかしくなった将軍の命令一つで、次々と悲劇的な展開になって、最終的には人類滅亡という最悪の局面を迎えるというブラックユーモア満載のコメディ。この映画の本当のタイトルは「博士の異常な愛情または私は如何にして心配するのを止め水爆を愛するようになったか」という、人を食ったようなタイトルで、悪ふざけもいい加減にしろ、と言われるのを敢えて喜んでいるような感じ。

時代背景は「米ソ冷戦時代」なんだけど、正直今も全然変わってないな、というのを痛烈に感じる。この映画が作られたのが1964年で、すでに40年近く経っているが、抑止力のためという大義名分のもと、軍事力をどんどん拡張していることは何ら変わらないし、軍人は政治家に対してえばってるし、結局みんなご都合主義で本当に平和のことなんて誰も考えちゃあいない。

主演のピーター・セラーズは、英国大佐、大統領、マッド・サイエンティストの一人三役。特にストレンジラブ博士のキレっぷりは面白い。「総統!」と叫んで車いすから立ち上がり歩けるようになっちゃうシーンは、もうそこまでやるか、だね。また、やたらとソ連をバカにして、いつもガムばっか噛んでてトンデモ発言を繰り返すタージドソン将軍。確かにピーター・セラーズは怪演だけど、この人のキレっぷりもすごい。やるなら、ここまで徹底的にやらないとダメだよね、なんでも。

戦争を描いた映画の大半が「戦争をしてはならない」というもので、それを表現するために兵士とその家族を描いたり、大規模な戦闘シーンを撮影したりするんだけども、その手の映画ばかり見ていると、本当にこの映画の手法が新鮮に映る。道義的に考えて、これ笑ってもええんかい、というシーンの連続。ブラックユーモアという言葉でもまだ軽い。でも、かといって戦争を扱った感動大作よりも、深く心に残らないかというと、全くそうではない。中途半端に泣かせる映画よりも、よっぽど人間の愚かさというのをまざまざと感じさせる。

それにしても「よくもここまでやったな」と思う。今見ても強烈なのに、公開当時はさぞや反響が大きかったに違いない。マイケル・ムーアの「華氏911」も結構突っ込んでるけど、ここまで徹底的に政治家や軍人を馬鹿にして、よくもまあキューブリックはその後も仕事が続けられたもんだ。

人気blogランキングへ
[PR]
by galarina | 2006-07-08 11:51 | 映画(は行)