「カーサ・ガラリーナ」にお引っ越ししました


by galarina
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2001年宇宙の旅<美術編>


1968年/米・英 監督/スタンリー・キューブリック 
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とにかくこの作品は「美しい」のひと言につきる。あまりの美しさに何度唸ったことか知れない。人類の夜明けから宇宙時代に場面が一足飛びに変わって、最初に出てくるインテリアは、真っ白な宇宙ステーションの廊下に配置された、真っ赤なソファ。ソファ以外のインテリアは何もないが、その存在感のすばらしいこと。本当に全てのものが究極的にシンプルで美しい。宇宙船内部を見ただけでその完璧な美しさに私はクラクラしてしまう。

そして宇宙船はもちろん、スチュワーデスの制服や帽子、コックピットの電子機器、果ては宇宙飛行士が背負っているリュックサックに至るまで、ありとあらゆるものの、全てのフォルムが美しい。全くと言っていいほど隙がない。公開は1968年。あれから40年近く経とうとしているけど、およそ「デザイン」と呼ばれる全てものでこれ以上美しいものが出てきたであろうか?そんな風に思ってしまうほどだ。

結局本当に美しいものは徹底的に機能的でシンプルなものなのだ、と改めて認識させられる。NHK教育の「新日曜美術館」の丹下健三特集を見ていたら、彼が「機能的なものが美しいのではない。美しいものだけが機能的なのだ」と語っていたけど、それと同じ事はこの映画を観ればわかる。

しかし、現在我々を取り巻く「デザイン」と呼ばれるものには、なんとゴテゴテとした余計なものばかりくっついていることか。私は個人的には、60年代のサイケデリック模様だとか、デコラティブなインテリアが大好きだけれども、この映画の美術は、そういう個人的な趣味は超越して、全ての人が美しいと唸ってしまう圧倒的な力を持っている。完璧な美へのこだわりが、映画にとてつもない緊張感をもたらし、それがHALの反乱と言う事態をより一層恐ろしく見せている。

私は科学に関してちっとも詳しくないし、星の図鑑やプラネタリウムで聞きかじった知識しかない。それでもこの映画を観ていると、太陽系の惑星が描く軌道や土星の輪、月の満ち欠けなど、宇宙空間に存在する美しいフォルムが次々と脳裏をよぎる。映画のストーリーを追っているのだけれど、心は宇宙に飛んでいる、何だかそんな感じ。

個々の物の美しさがあまりにも徹底的であるから、全ての画面が絵画のように美しい。では、この作品は絵画的に楽しむものなのか、と言ったらそれは違う。確かに映像作家としてのキューブリックはすばらしいけれども、それ以上に映画がここまで我々に語りかけ、考えさせ、感じさせてくれるものなのだという驚きを与えられるからこそ、キューブリックは天才なのだと思う。

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by galarina | 2006-07-07 20:36 | 映画(な行)